成果を一旦寝かせることがブラッシュアップにつながる
***見つめる鍋とは***
こんな経験はないでしょうか。
お腹が空いてカップラーメンを食べようと蓋を開けて、湯を注ごうとしたら湯が沸いていないことに気が付いた。
そこで湯を沸かし始めたがなかなか沸騰しない。
特に湧くのを待って、沸かしているヤカンを見ている時にはなかなか湧かないものだ。
ところが何かの拍子にヤカンから目を外して別のことをやりだすと目を外したヤカンは沸騰し始める。
沸騰する時間は同じでもそれに注視しているかしていないかで沸騰の仕方が違って感じられる、
見つめる鍋は煮えないとは、
見つめている間は鍋が煮えていかないように、物事に集中している間は新しいアイデアなども整理されていかない、
ということを例えているわけです。
***なぜ見つめると煮えなくなるのか***
この見つめる鍋は煮えない、という言葉は昔に読んだ「思考の整理学」(外山滋比古著)の中に出てくる話です。
ものごとに集中している時というのは集中のあまり周りが見えなくります。
ちょうどカメラの焦点を一点に集中させている時には周囲がボケて見えます。
ボケた周囲はアイデアがいっぱい出る状況に似ています。
しかし焦点に集中するあまりにアイデアを整理したり焦点に集めたりすることがうまくできません。
そこで必要なのが鍋から一旦目を離すこと。
つまり集中していたことから一旦離れる、寝かせるということになります。
休息をとって次の日に見返してみると、アイデアが一気にまとまって昨日考えもしなかった大きな成果につながることってよくあります。
この一旦寝かせるという、鍋から目を離す、見つめない、ということがアイデアの収束には欠かせないことのようです。
私にもたくさんこういう経験があります。課題に集中して取り組んでいるときに必ず壁に突き当たります。
新しいアイデアに行き詰まったり考えが出てこなかったりと。
そこで一旦寝かせて改めて取り組むと考えが及ばなかったことがひらめき、一気に解決の道が開ける、という経験です。
***アイデアの醸成には寝かせるという一工程がいる、
それが鍋を見つめないこと***
集中している間に一気に完成するというのが理想的な状態、しかしどんなものでも完成というのはあり得ないことです。
より良い状態にするためにも一旦できたもの、仕上げたものを寝かせてアイデアを醸成させていくことがどうしても重要になります。
そういう意味では”見つめる鍋は煮えない”というのはどんなことにも当てはまるような気がします。
そのためにもこういう表現で頭の中に留めておくと、必ず役に立つ時があると思います。