こんにちは!Sammyです。

イスラム世界はただいま絶賛ラマダーン中。

皆さんはラマダーンと聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

「ラマダーン=断食」という方程式は間違ってはいないものの、結構間違って理解している方も多いのが日本。

そんなラマダーンを体験できる機会がありましたので、今日はそんなお話しを。

 

イフタールって何? 

まずは、ラマダーンとは何かをおさらいしましょう。

ラマダーンとは本来的にはヒジュラ暦(イスラム暦)の第9番目の月の名称で、この月に断食が行われることから、現在では断食そのものを指す言葉としても理解されています。一日中断食を行うと思っていらっしゃる方も多くお見受けしますが、断食するのは日の出から日没まで。日の出前に早起きして食事をし、日没と共に再び食事を摂ります。この、日没後初めての食事を「イフタール」と言い、アラビア語では「断食を破る」という意味です。

 

 

東京ジャーミィでイフタールを開催 

東京・代々木上原にはトルコ政府によって建設された立派なモスク「東京ジャーミィ」があり、国道沿いに見えてくるミナレット(尖塔)はひと際目を引きます。そして、一歩敷地内に入ると、ここが日本であるとは到底思えないほど、イスラーム世界にどっぷりと浸れる空間が広がっています。
 
その東京ジャーミィでは、ラマダーン期間中毎日イフタールの食事会を開催しており、ムスリム(イスラム教徒)はもちろんのこと、非ムスリムでもイスラーム文化の理解や体験を目的として無料でこのイフタールに参加することができるのです(非ムスリムはウェブから申し込みが必要で、期間中1回のみ参加可)。
 
昨年、ファラーシャ・インターナショナル企画のバスツアーで訪れた際に初めてイフタールの食事会の存在を教えていただき、今年初めて申し込みをして参加してみることにしました。

 

せっかくの機会だから、断食も体験 

4月某日、いよいよイフタール参加の日がやってきました。

私はイスラーム教徒ではありませんから断食の義務はありませんが、それでもせっかくイフタールに参加できる機会を得たのだから、1日だけでも断食するイスラーム教徒の気持ちを理解してみようと思い、この日は起床からイフタール開始まで一切の飲食を断ってみました。

 

先に感想を述べておくと、空腹感は思ったほど強くはなかったものの、喉の渇きが結構辛かった。水や清涼飲料水をがぶがぶ飲みたい!という衝動に何度も駆られました。ヒジュラ暦は1年に11日ずつずれていくため、年によっては真夏にラマダーンの時期を迎えることもあります。4月でもこれだけ喉の渇きを感じたのですから、真夏だったらどうなってしまうんだろう?とちょっと気が遠くなったのでした。

 

イスラームの世界へ 

非ムスリムのイフタール参加の受付は17時30分からでしたが、その前に東京ジャーミィを見学したかったので、少し早く東京ジャーミィに到着しました。

 

モスクの中では思い思いにカーペットの上に腰を降ろし、メッカの方角に向かってお祈りを捧げる人やコーランを暗誦する人、友人同士で語らう人などの姿を見ることができ、正にイスラームの世界がそこにはありました。心なしかイスラームの国に行った時のような香りまでしてくるような気がしてくるのですから、不思議なものです。

 

 

 

 
17時半を少し過ぎた頃、受付が始まりました。名前を告げ、多目的ホールへと入ります。まずはここでラマダーンやトルコ料理についてや、本日のイフタールのメニューについての話を東京ジャーミィの広報の方からお話しを聞きます。
 
 
このイフタールのためにトルコ本国から有名シェフを招聘し、調理をお願いしているのだとか。この日のメニューは、
 ①エゾの花嫁スープ
 ②トルコの定番ピラフ
 ③茄子と肉の煮込み
 ④ドライいちじくのミルクプディング
の4種類。名前だけではイメージが湧かないだけに余計に期待が膨らみます。
 
 
一通り話を聞き終えると、仕切られたプラスチックのプレートを受け取り、食事を順番にもらっていきます。以前はアルミのプレートだったようですがこのような使い捨てのプラスチックのものに変わったのもやはりコロナの影響なのでしょうね。
 
 
 
 
もらい終わると再び多目的ホールへ。
今度は、真ん中を境に右側に男性、左側に女性と別れて座ります。ただし、真ん中と前方の壇上は家族や友人同士で来ている人達が一緒に座れる席になっていました。
 
 
席に座って待つこと数分、日没のお祈りを知らせるアザーンが流れ、イフタールのスタートです。喉の渇きがピークに達していた私は、テーブルの上に用意されていたミネラルウォーターをまずはガブガブと飲み干してから、食事に手をつけました。
 
 
まずはスープから。
トマトベースのスープの中にすりつぶした豆がたくさん入っている、中東に行くとよく出てくるスープで、美味しさと共にコロナの間ずっと行くことができなかった中東の国々を懐かしく思い出す味でした。
茄子と肉の煮込みは相性抜群!個人的に茄子が大好きですので、もっともっと食べたいと思いました。
トルコでは白米を食べることはまれで、多くの場合薄味をつけたピラフの形で供されます。それがまたおかずやスープとよくマッチするのですから不思議です。
そして、デザート。
ドライいちじくが入り、砕いたナッツがかかったミルクプディングは絶品!どんどんスプーンが進み、あと1つ、2つ、お代わりが欲しいくらいでした。
 
食べ終わった人から席を空け、次の人と変わっていきます。
ちょうど私たちが食べ終わった頃、日没後のお祈りを終えたムスリム達がイフタールにやってきました。先ほどモスクを見学していた時には想像できなかったくらいの数のムスリム達が集っており、その列は外の道路まで続いていました。月夜の東京ジャーミィの前に並ぶ彼らの姿は、正にイスラーム世界のそれ、そのものでした。
 
 

イフタールに参加してみて 

かつて、海外に住むイスラーム教徒の私の友人は、「ラマダーンは楽しいよ。イフタールがあるから頑張れるし、その連帯感がすごい」というようなことを言っていたことがあります。

断食することを「楽しい」と表現することに私は多少の違和感を感じたものですが、この日、朝から日没まで断食をし、人生で初めてイフタールを体験して、非イスラーム教徒ながら、少しばかりでもその言葉の意味、真意が分かったような気がします。辛い試練を耐えながらも、それは一人ではなく世界中に同じ試練を味わっている人が大勢いるという連帯感、1日頑張った後、皆で食卓を囲んで食事を楽しむ連帯感。そんな連帯感を強く感じたイフタール初体験でした。

 

また来年も参加してみようと思います。

興味を持たれたあなたも、来年は是非。

 

 

▼イスラーム世界を旅したくなったら、ファラーシャ・インターナショナルへ▼