栄養指導の為に病院へ行った翌日。
日曜日でした。
ふと目が覚めて携帯を見ると7時前くらいで、休日にしては早めに目が覚めたなぁと、トイレへ行きました。
用を済ませてペーパーで拭いて目を落とした時、「…えっ」と声が出てしまいました。
そこには血が混じっているおりものが付いていました。
水で薄まったような薄い赤色。
妊娠超初期にも何度かあったのですが、その時は二度目に拭いたら付かないくらい少量でしたので、何だろう…痛くも無いけど…もしかしてお尻から?とか呑気に考えながら、もう一度拭いてみると、今度はおりものは付かず…
薄い赤色のみ付くペーパー。
まだ付くということは…
今出血してる…?
しかも薄いとはいえ鮮血…
そう思った瞬間、血の気が引きました。
しかも色が薄いということは血が薄まってるってこと?何で?もしかして羊水出ちゃってるとかないよね?
念の為、もう一度拭いてみましたが…
やはり同じようにペーパーに付いてしまいました。
心臓が変な風にバクバクしていました。
出血が怖くて小走りも出来ずゆっくりベッドに戻り、主人に出血している事を伝えました。
「ただ本当に少量だから、様子見てもいいかもしれない」と私は更に口にしました。
多分自分がそう思いたかったのだと思います。
大丈夫、これは心配する出血じゃない、と。
しかし、主人は私の言葉を聞いて「病院に電話してみよう。産婦人科の番号分かるよね?」と即答で言われました。
携帯で実体験を色々読み漁っていた所為で、「そんな事で電話して来ないで下さい」的な事を言われたらどうしよう…と思いましたが、これで様子を見て!その判断を後悔するような事になる方が怖いと思い、少し震える指で産婦人科直通の番号に電話をしました。
(多分そんな事言うところは無いと思いますが…病院で生む以上、あまり迷惑な患者にはなりたくないな、と思っていたのかもしれません…)
何度目かのコールの後、電話が繋がりました。
産婦人科直通の電話なので、名前と診察券番号、現在の週数を伝え、朝の状態を説明しました。
電話に出てくれたのは看護師さんか助産師さんだったと思うのですが、「分かりました。先生に確認して来ますので、少しお待ち頂けますか?」と保留音になりました。
今思えば保留時間はそれ程長くは無かったと思うのですが、とてもとても長く感じられました。
再び電話が繋がると「もし来れるようであれば念の為来て欲しいとのことです。どのくらいで来られそうですか?」と言って頂けたので、30分以内には行けることを伝えました。
「分かりました。今日は休日になるので、救急の入口から入って下さい。慌てなくて大丈夫なので、気を付けて来て下さいね」とこちらの体を気遣って下さいました。
主人に病院に来るように言われたことを伝え、私も手早く着替えて車に乗り込みました。
赤ちゃんに何かあったらどうしよう…
昨日無理しちゃったかな…
考えれば考える程、嫌な想像ばかり頭に浮かびました。
この時ばかりは自宅から近い総合病院にして良かったと思いました。電話を切ってから20分程で病院に到着出来ました。
救急入口が分からずワタワタしましたが、無事に院内に入り、窓口で説明すると看護師さんが迎えに来てくれるとのことでしたので、救急窓口近くのソファーに座って待ちました。
この時、なんとなく股間が濡れているような感覚がしていましたが、元々おりものが多いのできっとおりものだろうと気にしないようにしていました。
出血が増えているなんて、考えたくありませんでした。
10分15分くらい経った頃、小走りで看護師さんが来て下さいました。
「お待たせしました。診察室に行きましょう。歩けますか?」
「はい、歩けます」
「分かりました。ゆっくりでいいですからね。エレベーター乗りましょう」
気遣われながら主人と一緒にいつもの産婦人科診察室に向かいました。いつもは人の居る待合室は暗く、がらんとしていました。
「今先生こちらに来ますから、待合ソファーで座ってて下さいね」
と促され、看護師さんは産婦人科診察室に入られました。
多分朝イチの日曜日だったので、人の少ない中、慌てて準備して下さっていたのだと思います。
「ここのライトのスイッチどこだっけ?」「診察室は◯番使うのでいいんだよね?」と二人の看護師さんの声が聞こえました。
多分私は相当不安な顔をしていたのだと思います。
待っている間、主人は何も言わず、私の背中をずっと擦ってくれました。
暫くすると、何度か見たことのあるベテランの男性の先生が診察室に入られました。
恐らく婦人科をメインで診られているのか、その先生には妊婦健診では診て貰った事がありませんでした。
「はづきさん、診察室どうぞ」
声を掛けられたので、主人に荷物を預けて診察室に向かいました。
妊婦健診で使う診察室とは別のところに案内されました。一昨日の妊婦健診から腹部エコーになったのにな…と思いながら、診察台に乗る準備をしていると、やはりおりものシートには血が付いていましたが、少量でした。
出血量が増えていないのが救いでした。
診察台に座ると看護師さんが確認した後に台が動きました。
「はづきさん、今から診ていきますね。器具が入りますから力は抜いていて下さい」
「はい…」
やっぱり慣れない内診。カチャカチャと鳴る器具の音が静かな診察室に響いていました。
「確かに少し出血してるかな。今洗浄と消毒しますね」
処置をして貰っている際に、一昨日の妊婦健診で何か言われた事はあったか、性交の有無についても聞かれました。
「特に何も言われていないです。一昨日の健診から腹部エコーになりました。妊娠してからはしていないです…」
と不安でいっぱいでしたが、聞かれた事に対して答えました。
「これで内診は終わりです。支度が出来たら隣の診察室に来て下さい」
そう先生が声を掛けて下さると、台が下りました。思っていたより内診は短いものでした。
先生が特に何も言わなかったことが不安でしたが、何も言わないということは即入院とかそういった大事ではないのかもしれない、と思いながらさっさと着替えて隣の診察室に入りました。
先生の机の上にあるディスプレイに画像が映っていました。
「これがエコーの画像なんですけど、子宮口もちゃんと閉じているし、頸管の長さも今の週数通りといった感じなので問題無いです。赤ちゃんも元気でしたよ、安心して下さいね」
その言葉に心底ホッとしました。
じゃああの出血は?と思っていると先生が話を続けました。
「子宮口の近くにびらんがあったので、そこから出血していたのかもね。診察した時にはもう血は止まっているようでした。今回くらいの出血であれば、あまり気にしなくても大丈夫だけれど、生理2日目くらいの出血があった場合はすぐに来て下さいね」
出血量に関しては、妊娠初期にも言われた事でした。目安としては生理2日目くらいが受診の目安のようです。
それ言われても出血してたら心配になっちゃうよなぁ…と思っていたら、先生は「でも心配な時はいつでも電話して下さいね。不安な時は診察受けた方がお母さんも安心すると思うから」と付け加えて下さいました。
あー何も無くて良かった〜と安心しきっていたら、更に先生が話を続けました。
「今までの妊婦健診で何か言われた事ありますか?」
「いえ…血液検査で引っかかったくらいで…」
「そっか〜…。また画面見て貰えますか?ここが子宮口なんだけどね、子宮内側に何かくっついてるの分かります?」
確かに子宮口のすぐ近くに白い何かが写っていました。
私は勝手に赤ちゃんの頭か何かかな?と思っていたのですが…
「これね、胎盤なんです。はづきさんの場合、胎盤が大分下の方にあるみたいで、今の時点で子宮口に掛かっちゃってる状態です」
「は…はい…」
(えっ、胎盤が下だと何かダメなの!?)
「まだ週数的に胎盤の位置がこれから上がる可能性も十分あるからあまり気にしなくて大丈夫だけど、低いままだと出血しやすくなったり、場合によっては帝王切開での出産になります」
でも、今回の出血は子宮内からじゃないからそこは本当に大丈夫だからね。と言われました。
今まで手術はおろか、大きな外科的治療はしたことが無い私…。まさかの帝王切開の可能性が出てきた事にちょっと思考が停止しました
「カルテにも記載しておくので、26週くらいまでは様子を見ていきましょう。普段通り生活して貰って大丈夫ですからね」
そうして診察も終わり、先生にお礼をしてから診察室を後にしました。
休日の為、お会計は次回の妊婦健診とまとめて請求になると思うことを説明され、そのまま病院を後にしました。
主人には今回の出血の原因と胎盤の位置が下の方にある事を簡単に説明しました。
少量出血の場合は安静にするしか無いとの事だったのですが、自家用車にチャイルドシートが乗らない問題が発生しており、早急に車を買い替えなくてはいけない状態だった為、その日の午後も車の試乗に出掛けました
(元々ペーパードライバーのゴールドなので、私は主人に付き添うだけ)
が、やはり夕方には疲れてしまいダウン。
幸いな事にそれから出血はありませんでした。
妊娠前はコーヒーをがぶ飲みしていたのですが、妊娠後はあまりコーヒー欲も無くなり、悪阻が落ち着いてからはルイボスティーなどをよく飲んでいました