はじめは

小さな小さなひとしずくだった。


ただそれが静かに広がっていくのを感じていた。


家にこもって

病気の不安と向き合っていたおばちゃんは

杖をついて

一歩一歩確かめるように自分の足で歩いてきてくれた。

そして、それぞれのお店の品物を丁寧に見ながら

小さなぬいぐるみを見て目を細めた。

「私ね、こんな小さなものが大好きなの。」


おじちゃんは

精麻のブレスレットを嬉しそうに手に巻いてもらっていた。


ギャン泣きしてる赤ちゃんを連れた若いママさんは

大きく手を振りながらベビーカーをカラカラ押してニコニコやってきてくれた。笑


懐かしい顔ぶれや

お馴染みの顔ぶれや…

ひょこっと前を通りがかっただけの人まで…


それぞれの顔に

笑みが戻り


コミュニケーションが交わされ

そこが活気づいていく。


あとは波紋のように 

その広がりが私の手の届かないところまで

行ってしまうのを静かに見送った。


きっとその場にいた人たちは

目には見えない恐怖で

人々が分断されていた世界にいながらも

いろんな世代が集えることの大切さを

久しぶりに味わっていたような気がする。


とても小さなひとしずくだけど

大きな循環を確かに感じていた。


そんな人々の笑顔をみながら考える。


今一番大切なことってなんだろう。


やっぱり…

これから先、自分がどの世界に生きたいか、

決めることなんじゃないかな。


そしてそれは何度も何度も

軌道修正して良くて…笑


みんなで創り上げていく世界。


そんな余韻に浸りながら…

私の中にぼんやりとだけど、

不思議な感覚が生まれているのに気づいた。


うまく表現できないけど

どの大人もどの子も

まだ生まれていない子どもたちまでもが

みんなみんな私の子どもみたいな…


それほどまでに

すべての命が愛おしい。

涙が出るほど愛おしい。


そんな未来をイメージしながら

すべての命に優しい世界を生きていく。

今日もありがとう。