きっかけは一匹のトカゲの話からだった。
お友達から比叡山の無動谷で出会った金色のトカゲの話を
聞いたのだ。

特にアニコミュをされるとか
特殊能力があるとか
そういうことではなく
あまりにもそのトカゲが美しい黄金色をしていたのと、
そのお友達がとても心の優しい方であるということ。
いつもと変わらない日常の中に
ミラクルは転がっている。

「あの、失礼ですが、あなたさまは神さまの
お使いの方ですか?」

彼女が尋ねたら
トカゲはこくんと頷いたのだそうだ。
そこからこのトカゲさんは彼女を道案内してくれたそうだ。

ふと時間が空いたので、思い立って私をランチに誘ってくれた日。
車の中で彼女はこの比叡山での不思議な話を思い出していたのだそうだ。

こんな話をしてもきっと信じてもらえないだろうなぁ…と彼女は思っていたけれど、ふと、
美香さんなら信じてくれるかな、
今日会ったときにでも話してみよう。
そう思って話してくれたのだった。

ええ。
もちろん信じますとも。(笑)

そこから
あれよあれよという間に
比叡山行きが決まり
気づいたら私は霧の中にいた。


朝の比叡山。
琵琶湖の湖面方面から
山肌に沿って立ち昇っていく霧。


たっぷりと湿気を含んだ樹々。

どこを見てもとても幻想的な世界が広がっていた。

息を呑むような景色に
足を止めたくなるような衝動をおさえながらも
私たちは足早に無動谷に向かった。


ここから下り坂が続く。

目指すは明王堂。
明王堂はこの比叡山の広い山の中でも
1番南にある。
そこまでひたすら坂を下る。

明王堂に着くと
そこでお焚き上げをされている大阿闍梨さまとともに
不動明王のご真言を唱え続ける。

ノウマクサンマンダ バザラダン
センダン マカロシャダ ソハタヤ 
ウンタラタ カンマン

そのあと、般若心経。
そして大阿闍梨さまよりお加持を受ける。

なにせ全てがはじめてのことで…
緊張していたのと
なんとも言えない迫力とで
怖いとかではないんだけど
ちょっと圧倒されてしまった私。

はい、実はビビリです。(笑)

願い事を唱えてくださいと言われたけど
ひとつも浮かばなかった。
ただ、感謝。

そのあとでまたさらに階段を下に降りて
そこで精進料理をいただきました。

お世話をしてくださる小僧さんが
精進料理をいただく時のお作法を教えてくださいます。

おしゃべりしないで静かにいただくこと。
お椀はひとつひとつ手にとってから
お箸でいただくこと。
残さないこと。
最後はたくわんを一枚残しておいて、
お茶を注いでもらったお椀から順番にたくわんでこそげとって綺麗にすすぎながらお茶を飲み干すこと。

などなど…

お料理はご飯、にゅうめん、天ぷら(トウモロコシが美味しかった〜!)、お漬物。

しばらくすると
大阿闍梨さまが入ってこられ、
一緒にお祈りをしていただきました。

お食事中はめっちゃ緊張。
だってさっきの明王堂での大阿闍梨さまは
ちょっと厳しそうに見えたから…
お茶碗落としたらどーしよ!
そんな邪念煩悩が次から次へと…(笑)

大阿闍梨さまは
慣れていらっしゃるのか、手早くお食事を済まされ、では、お先に…と、お部屋を退出。

少し緊張が緩みます。(笑)

お食事が終わると
そのまま残ってお話を伺うことに。

小僧さんがコーヒーを運んできてくださり
大阿闍梨さまが戻ってこられて
お菓子を勧めてくださいました。

それがこれ。


かっ…可愛い…(๑>◡<๑)

お茶をいただきながら
大阿闍梨さまのお話を伺うひととき。

それはとてもお優しい
笑顔の素敵な
大阿闍梨さまのお姿でした。

仏門に入り
修行をするに必要なものとは…
固い意志ともうひとつは
覚悟。

千日回峰行という、
1年に100日、1日16時間かけて山の中約40キロの道のりを駆け回り、祠やお寺を拝んで回る修行があるのだけど
それを10年続けてやっと結願。

懐にはできなかったら自害する用の短刀を持ち、
やると決めたら後戻りはできない荒業や

また、今現在は12年間、山に篭るという修行もされているそう。

穏やかなお顔からはこんな厳しい行されるとは想像もつかないほど。

とにかくすごい方なのだ。
大阿闍梨さまにお目にかかりたかった私はもう大満足。

そのあとも弁財天や根本中堂を拝観して
帰ってきました。

まだまだ知らない世界があるのよのう〜
こんな世界を見せてくれた友人。
ご一緒してくれたお友達に感謝です。

家に帰って少しうとうとしていた私は
小僧さんの夢を観ました。
そこにはまた大切なメッセージが
あったようです。

その話はまた今度…


大阿闍梨さまからいただいた白檀のお線香。
母の仏壇にお供えして
朝から香りをいただいています。

今日も雨の静かな朝です。
今日もいい日に。