村上さんだったらの224 | オッサンの徒然なるままに

オッサンの徒然なるままに

物忘れが酷いからここに記録として残す事にする。

もう言ってしまおう。

頭のいい人は、誰も傷つけないやり方で人を笑わせることができる。そして人を見るとき、本当に見なくてはいけないのは、その人の品なのだと思う。

さて。

ずっと手をつけられずにいた祖母の遺品整理に行ってきた。

古い家というのは不思議な場所だ。押し入れを一つ開けるたびに、時間が薄い埃と一緒に舞い上がる。忘れていたはずの景色や匂いが、何気なくそこに残っている。

思い出というものは、案外、物の隙間にしまわれているらしい。

僕自身にまつわるものは、もちろんほとんど出てこない。そんなことは最初からわかっていた。

それでもアルバムを開く手は、自然と止まらなくなった。

最初に見つけた写真は、誰が写っているのかも、いつ撮られたものなのかもわからない。



でも、その一枚を眺めていると、「本当にこんな時代があったんだな」と、妙に静かな実感だけが胸に残った。

それは会ったこともない曾祖父の写真だった。



思っていたよりずっと背が高く見える。そしてどこか、日本人離れした輪郭をしている。

これは八十歳の頃の写真だと聞いた。

不思議なことに、その表情には年齢よりも、長い時間そのものが写っているように見えた。

古い写真だから、もっとぼやけているものだと思っていた。

ところが驚くほど鮮明だった。

まるで、その時代だけが丁寧に保存されていたみたいに。

次に出てきたのは祖父の写真だった。



もちろん祖父にも会ったことはない。

たぶん伊勢神宮へ初詣に出かけたときの一枚なのだろう。

祖父もまた、背の高い人に見えた。

同じ場所で、自分も一枚撮ってみようかと思う。

できればロングコートなんか羽織って。

そういう余計なことを考えているから、片づけはまったく進まない。

まあ、それも悪くない一日だった。

では。