闇の子供たち
久しぶりに気分の悪くなる映画を見た。
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これは知らないだけで実際に起こっている現実の話であるわけで
(もちろんストーリー的には現実的ではなく映画として話を進めているわけなので100%現実ではないけど。)
醜い描写は目を逸らしたくなる・・・
タイやフィリピンなどで幼児売春や臓器売買などがあるということは
よく聞く話だったりする。
この映画はそんな人身売買に関わる映画でした。
ジャーナリズムの南部(江口洋介)が生きたまま心臓を提供させられるタイの子供たちの現状を知る。
見たことをありのまま伝えるべく、聞き込みなどの調査を進めるにあたり
NGO職員の恵子(宮崎あおい)やカメラマンの与田(妻夫木聡)らと過酷な現実に向き合う・・・
というようなだいたいのあらすじな訳ですが
この映画に出てくる醜悪な大人たちに吐き気を覚えます。
ペドファイル(幼児性愛者)と呼ばれる人間たちですが、子供たちを人間として扱うのではなく
自分の性欲の捌け口、ただの玩具としてしか見ていません。
少女をスーツケースに詰めてホテルに持って帰り、行為を行おうとした日本人は少女のことを
『雛饅頭』と呼び
行為中に少年にホルモン剤を打ちすぎて死なせた西洋人のカップルは
少年を死なせたことを恐れたのではなく、自分が警察に捕まるのを恐れクレジットカードでその命を買っていました・・・
幼児売買の仲介人チットもまた少年時代売り飛ばされ大人たちの被害者になり
大人になった今、加害者となっている現状。
おそらくこういったことは実際行われていることで現実にあることだと思います。
ほんとに気分が滅入る・・・
そして売春宿でエイズに感染し使い物にならなくなれば
ゴミ袋に詰めて捨てられる。
健康な子どもは生きたまま臓器提供させられる。
これは本当か嘘かはわかりません。映画の演出で大げさに描写しているだけだと願いたいですね。
そして子どもを売らなくてはいけないほどの貧困。
さすがに日本ではそこまで貧困に悩んでいる人は少ないでしょうが(少ないだけで皆無とはいえない)
これは本当に起こっていること。
臓器移植に対しても、正規ルートで待っていたら幼い命が消えてしまう。
闇ルートで臓器移植を行えば他の幼い命と引き換えに助けられる命。
これだけ問題提起されて、いったい私たちは何をすればよいのでしょうか?
奇麗事ではすまない現実。少しでも意識が変われば良いのですが。
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物語の内容に戻りますが、やっぱり気になったのが南部の不可解な回想シーン。
まさかまさかと思っていましたが、ラストで明かされる南部の秘密。
売春グループを摘発し、主犯格は捕まり客達も警察に捕まっていましたね。
仲介人チットも捕まったことで晴ればれとした表情をしていました。
おそらく客たちの絶対強者から一転弱者へと落ちていく様を見て
気持ちが少し晴れたのかもしれないですね・・・
めでたしめでたし・・・
では終わりませんでした。
与田が南部の部屋に遊びに来たとき、換気扇?に釣り下がる黒いロープ。
これで南部が自殺をしたことがわかります。
なぜ自殺したのか?
回想シーンで南部が小さな少年の手を引きながら道を歩いていました。
その横には『ホテル』と書かれた看板・・・
それからチットの「気色の悪い日本人め!」と罵られて、南部が怒っているシーンがありました。
俺を気色の悪い日本人と一緒にするな・・・
そして壁一面に貼られた幼児性愛者たちの逮捕の記事。その真ん中に鏡・・・
恐らく南部は幼児性愛者「ペドファイル」だと思われ、過去(もしかしたら最近まで・・・?)少年を買ったことがあり
その症状を否定する意味で、もしくは向き合うことなく臓器売買などの取材を行っていた。
自分は買春するような人間ではない!と思っており、
チットに言われた言葉は図星であるのも関わらず怒りを覚える。
もしくは取材を続けることでやはり自分は買春するような日本人とは違うんだと自分に言い聞かせたかった。
一方で少年の写真を飾っていたりと矛盾した行動のようにも思えるけど
逮捕された小児愛者たちの切り抜きに自分の顔を交えさせることで自虐的になり
罪に意識を逸らしバランスをとっていたのかもしれない。
そうやってバランスを取りながら生きてきたのに
恵子の「手を放して!」との一言であの時の少年とリンクし、
罪悪感や自分自身への嫌悪感が止まらなくなって自殺したのかしら・・・?
など推理してみる。
正直、南部に死なれてしまっては逃げているように思えるし
生きてその罪を背負っていて欲しかったですね。個人的には。
タイには旅行に行ったことがあったので、余計気が滅入ります。
活気のある国だと思いましたが
小金持った日本人のくだらない欲求によって涙の流し方を忘れてしまった子どもがいるのだと思うと・・・
そしてタイに限った話ではなく
どこに行っても『光』があれば『闇』がある。もちろん日本にも・・・
この映画の見所、それは実力者俳優の演技ではなく
子供たちの大きなまなざしに映る『光』だと思います。希望は捨てない。だからあえての『光』。
おしまい*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;: