🇬🇪ギガ・チカゼ🇬🇪(UFCフェザー級)
生年月日 1988年8月25日(32歳)
プロMMA戦績 13勝2敗
ジョージアで生まれ、5歳の頃から空手を習い始めたギガ・チカゼ。
剛柔流空手3段で黒帯の腕前を持つチカゼは、プロキックボクシングの舞台でも38勝6敗22KOの戦績を残す。
キックボクシング世界最大のメジャー団体GLORYでも、王者経験のあるセルゲイ・アダムチャックやケヴィン・ヴァンノーストランドといった強豪に勝利するという活躍を見せていた。
キックボクシングと並行して、多くのUFCトップファイターを輩出している北米の名門MMAジム、キングスMMAに所属しMMAの練習を積んできたチカゼは、2015年にMMAデビュー。
2018年にUFC入りを賭けてデイナ・ホワイトコンテンダーシリーズに出場するも、3Rに一本負けを喫してしまい、MMAのプロの壁を痛感する。
その後、ローカル団体で2連続秒殺KO勝利を上げたチカゼに、UFCからまさかのお声が掛かったのが2019年。
ブランドン・デイヴィスを相手にスプリットの判定勝利を上げ、コンテンダーズでは叶わなかったUFCデビューを果たすと共に、そのデビュー戦で見事初勝利を上げた。
そこで弾みを付けたチカゼは、2020年はコロナ禍の中で4試合に出場。
キックボクシングのトップレベルの試合においては若干生かし切れなかった感のある、スイッチを交えた変則的なコンビネーションと打撃スタイルが、キックのリングよりも広いフィールドであるオクタゴンで存分に活かせるようになったチカゼは、MMA仕様の巧みなストライキング技術でUFCデビューから6連勝を達成。現在UFCフェザー級で一番勢いのある選手と言っても良い程の活躍を見せている。
キレのあるリードジャブと、左右どちらでも蹴れる多彩かつ華麗な足技、そして空手スタイルならではのスイッチと淀みの無いフットワークを生かし、打たせずに打つ、そして予測不能なコンビネーションで相手を翻弄するストライキングを特徴としているチカゼ。
キックボクシングの試合では、リングの狭さやローキックをカットするという仕様上、構えの重心を高く上げざるを得なかったが、打撃戦の間合いが遠くなるMMAの試合では重心の低いワイドスタンスで力強い攻撃が打てるようになり、オマール・モラエス戦では右のオーバーハンドでダウンを奪っている。
必殺技はGLORY時代に2度のKO劇を魅せている、サウスポースタイルから放たれる相手のボディを抉ってくるような地獄の左ミドルキックで、最近行われたUFCベテランのカブ・スワンソンとの試合では、左の三日月蹴りを相手の肝臓に中足を突き刺して見事に効かせて悶絶させ、1RTKO勝利を納めている。
🔆ギガ・チカゼ ハイライト動画🔜https://youtu.be/PmBR1_G8Fbk 🔆
今後チカゼがトップ5クラスの上位陣と渡り合うためには、GLORY時代からの課題である接近戦での対処力やグラウンドスキルが求められてくるだろう。
UFCトップファイターが多く在籍するキングスMMAで、更なるMMAのスキルを磨いていく事で、UFCの舞台での頂点も見えてくるはずである。
🇷🇺モブサー・イヴロエフ🇷🇺(UFCフェザー級)
生年月日 1994年2月11日(26歳)
プロMMA戦績 13勝0敗
モブサー・イヴロエフは、ハビブ・ヌルマゴメドフの出身地としても知られているロシア・ダゲスタン共和国と同じ、北カフカス地方に属するイングーシ共和国出身のファイターだ。
北カフカス地方出身選手らしく、幼少期からグレコローマンレスリングの練習に明け暮れていたというイヴロエフ。
2014年にロシアの古豪MMA団体、M-1GLOVALにてMMAデビューしたイブロエフは、2017年7月、同団体のバンタム級王座統一戦を戦い、判定勝利した事で、M-1GLOVALバンタム級正規王者となる。
2019年にUFCデビュー。基本に忠実なシャープなボクシングと、レスリング仕込みのタックル等を織り交ぜた巧みなレベルチェンジの戦術を駆使し、UFCデビューから4連勝を果たしており、プロMMA無敗の戦績を現在も継続中だ。
イヴロエフは、元UFCライト級王者フランク・エドガーを彷彿とさせる、ボクシングとレスリングを軸とした頭脳的なMMAスタイルを得意としている。
スタンドでは回転の速いパンチを駆使し、必殺のハイキックへのコンビネーションに繋げつつ、相手の反撃に合わせて即座にフットワークやディフェンス、テイクダウンといった次の動作へと移行し、レベルチェンジで相手を撹乱し、試合を支配していく。
🔆モブサー・イヴロエフ ハイライト動画🔜https://youtu.be/hEzOf1ETWVw 🔆
しかしながら最も特徴的な部分は、コンバットサンボやロシアン・レスリングを軸とした、テイクダウンへと移行する多彩な投げ技の数々であり、上のハイライト動画の一番最初にあった、バックを取ってから足を引っ掛けて倒すチェア・スロー(裏投げ)と言った技は、ハビブ・ヌルマゴメドフを始めとするロシア系ファイターがよく使う技として知られているものだ。
そこからTDへと移行し、パウンドやサブミッションでのフィニッシュへと繋げてゆく。
🔆paky21さんがMMAにおけるサンボの技について解説している記事はこちら🔜https://theanswer.hatenablog.com/entry/2021/05/03/054438 🔆
UFCでは4連勝を記録しているものの、一方で全てが判定勝利であり、接近戦に持ち込まれた時の被弾も目立っているイヴロエフ。
今後はフィジカルを強化しフィニッシュ力を向上させつつ、巧さのみならずトップ戦線に食い込んでいける「恐さ」も身に付けていきたいところだ。
カフカスが誇る「ロシアのフランキー・エドガー」は、美しくも豪快なMMAスタイルでUFCを席巻できるか。
🇪🇸イリア・トプリア🇪🇸(UFCフェザー級)
生年月日 1997年1月21日(23歳)
プロMMA戦績 10勝0敗
次に紹介するのは、ドイツ生まれ、現在はスペインに在住しているイリア・トプリアだ。
ジョージア人との両親の間に生まれたトプリアは、幼少期からグレコローマンレスリングを習い、15歳の時にスペインへ移住。そこでMMAのトレーニングを積み、18歳でプロデビューを果たす。
ブラジリアン柔術黒帯の腕前を生かし、BRAVE CFやCage Warriors等のネイションMMA団体で数々の一本勝ちを納めたトプリア。
2019年にBRAVE CFで行われたスティーブン・ゴンカルベス戦では、初回にダウンを奪われるも、直ぐ様テイクダウンを奪って流れを取り戻し、アナコンダチョークやギロチンチョーク等を仕掛けて積極的に極めに行った上で、最後は強烈な右フックで相手を失神させノックアウト勝利を納めた。
🔆イリア・トプリアVSスティーブン・ゴンカルベス 動画🔜https://youtu.be/vWbwfGSzxoM 🔆
その実績を買われ2020年10月にUFCデビュー、ユーセフ・ザラルを相手に3R判定でUFC初勝利を上げる。
その名前をUFCマニアに知らしめたのは、昨年12月に行われたデーモン・ジャクソン戦で、トプリアは初回からボディ打ちのコンビネーション、下がりながらのアッパーや左右のフックといった、グラップラーらしからぬ巧みなボクシングテクニックで相手を圧倒すると、最後は威力の衝撃が画面越しから伝わってくるような強烈な左ボディブローを効かせ、右クロスでジャクソンをKOした。
🔆イリア・トプリア ハイライト動画🔜https://youtu.be/fxAH-0NVj4E 🔆
直近のデーモン・ジャクソン戦を見る限りだと、いかにもボクシングを得意としているハードパンチャーといった風に見えるのだが、キャリア10戦で7つの一本勝ちがある事を示している通り、彼の本質はあくまでもブラジリアン柔術だ。
レスリング仕込みの素早いタックルで自らテイクダウンを奪い、そこから一本勝ちを納めるのは勿論の事、トプリアとの打撃戦を嫌がってタックルを仕掛けてきた相手に対してカウンターギロチンをセットし、一本勝ちを決めた試合も何度か見られている。
高いグラップリング能力を盾にして相手にプレッシャーを掛け、距離を詰めてボクシングと寝技の二択でフィニッシュできるのは大きな強みだが、爆発力のある反面、長期戦になった時の試合運びやスタミナ配分、カーディオといった部分に不安要素があるので、上位ランカーとの対戦に向けてしっかりと経験を積んでいきたいところだ。
ノックアウトパンチとブラジリアン柔術の両輪で、立っても寝てもフィニッシュで試合を終わらせる完全決着男の次なる試合が見逃せない。
🇨🇦シャルル・ジョーダン🇨🇦(UFCフェザー級)
生年月日 1995年11月27日(25歳)
プロMMA戦績 11勝3敗
シャルル・“エア”・ジョーダン。
往年のNBAスターと、自身のラストネームに掛け合わせてのニックネームを持つ彼は、カナダのケベック州で生まれる。
同国のスーパースター、ジョルジュ・サンピエールの活躍に憧れてMMAキャリアをスタートさせたジョーダンは、2013年にアマチュアMMAデビュー。
2016年にプロMMAファイターとしてもデビューを果たし、地元カナダを拠点とするフィーダーショー団体、TKOでキャリアを積んでいき、フェザー級王者とライト級暫定王者の二冠を達成。2019年にUFCデビューする。
デビュー戦は判定負けを喫するも、続く2戦目の相手は、韓国人UFCファイターとしてカブ・スワンソンやジェレミー・スティーブンらUFCベテラン勢とも死闘を繰り広げた経験もあるチェ・ドゥホ。
1Rこそ、若くUFCでの経験値も上のドゥホの圧力に飲まれてしまい、ダウンも奪われ劣勢を強いられるも、2Rになるとジョーダンは別人のように動きが良くなり、サウスポースタイルからの左ストレート→右フックでダウンを奪い、逆転のTKO勝利を納め、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞する。
今年3月に行われたマルセロ・ロッホ戦では、1Rから両者スイッチを頻繁に織り交ぜた現代MMAらしい激しい打撃戦を繰り広げたジョーダン。
3R、ジョーダンがサウスポースタイルからロングの左ストレートを当ててダウンを奪い、ショータイムキックよろしく金網を蹴ってからパウンドを打つという何とも豪快な技も披露し、最後はクリンチアッパー、ボディ連打と左のショートフックでダウンを奪い、見事なTKO勝利を納め、この試合もファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。
🔆シャルル・ジョーダン ハイライト動画🔜https://youtu.be/yiqYqvo7Mbc 🔆
ムエタイとボクシングを軸としたアグレッシブな打撃がジョーダンの持ち味で、サウスポースタイルからの左ストレートと、そこからの返しの右フックは得意なパターンの一つだ。
TJ・ディラショー的な、左右どちらでもスイッチングできる構えから繰り出されるパンチとキックのコンビネーション、バックブローといった変則的な技や首相撲の技、そして相手の首を抱えてブルドックチョークへと移行するなど、攻撃のバリエーションも非常に多彩だ。
グラウンドでは、相手を叩きつけるようなキレのあるパウンドにも定評がある。
アグレッシブ過ぎるが故に、まだまだ安定感に欠けるのが課題ではあるのだが、華のあるルックスと魅せる試合運びで、ファンを魅了するスター性に満ち溢れている。
“エア”ジョーダンはファイトスタイルの勢いそのままに、UFCフェザー級の頂点へと飛翔する事が出来るのか。