『家・・・出るって、離婚するって事?』


西は煙草に火をつけながら、上目遣いに私を窺うように言った。



『いえ、離婚は・・・後にして、まずは、家を出たいと思って・・

でも、今の仕事やったら、食べていけるほどもないし・・・


ほんで、西さんに相談!なんか良い仕事ありませんか?』



もう、単刀直入!一気に言っちゃった!( ̄▽ ̄)=3



『僕の愛人とかは、どないや?(´∀`)』



『(-_-メ・・・冗談は顔だけで・・・・・ほんまに悩んでるんですから。。。』



『僕も本気やのになぁ~・・・(^~^)

まあ、ええゎ・・・僕の会社の営業は?女性を一人募集してる所やねんけどな。』



『営業って・・・何の営業ですか?』



西は、具体的な内容を教えてくれたんだけど・・・かなり特殊な会社で、

ココでは、かなり特定されるからヒミツ・・・とします。



『そういうのは・・・ちょっと・・・私には無理やと思います。σ(^_^;)』



『そうか?真奈ちゃんやったら、ピッタリやと思ってんけどなぁ~

まあ、気がすすまんねやったら、しゃーないな。


あ!・・・そや!真奈ちゃん、金持ってるか?』



『はぁ????金って・・・??(@Д@;』



『僕の知ってる奴がな、今度、店を閉める事になってな。

ええ物件なんや。それが!○○駅前ビルの1階やで。

ああいうテナントビルとかの物件は、表に出ずに、そのまますぐ取引されるからね。

僕も、こないだ聞いた所やから、まだ・・・何の進展もしてないと思うで。』



『何の店なんですか?・・・そんなんメチャ高いでしょ?・・』



『カフェバーや。それくらいやったら出来るやろ?

値段は、僕がある程度、交渉したるから大丈夫。』



『大丈夫って言われても・・・。

第一、なんで、そんなええ店を閉めるんですか?

・・・売り上げが不振やからと違うんですか?』



『確かに、大した事なかったから閉めるんやけどな。

それは、会社としての利益が上がらんだけで・・いくつも飲食店を持ってる会社やからな。

考えてみ。従業員を沢山使って、給料出して、その上で、会社の利益がいるんやで。


でも・・個人で、自分自身も一生懸命に働いたら、十分、食べて行けるだけのもんはある。』



確かに、会社と個人では・・利益の幅が違うもんな。

喫茶店やったら、以前、自分でやってた事もあるから勝手が分るし・・・。



私が、しばらく黙って・・・悩んでたら、西はスッと立ち上がった。



『よっしゃ!今から、その店に行ってみよ!

見た方が早い!ほら!真奈ちゃん!・・・行くで!』







ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださぁ~~い!




ホテルのロビーに着くと、まだ西は来ていなかった。

私は息を整え、頭の中を整理していた。


ポンと肩をたたかれた。


『真奈ちゃん、姿勢が悪いで!』


振り返ると、にこやかに笑う西がいた。


『背中とか丸めてるとな、不幸が寄ってくるんやで。

昼、まだやろ?なんか、食べながら話しよか。』


そういうと、西は、サッサッとエレベーターに向った。

あまりお腹は空いてなかったけど、もちろん西は空腹だろうし、後に続いた。


西が選んだのは、個室のある高級そうな寿司屋だった。


私達は、一番奥の座敷に案内された。

ここなら、周りを気にせず、話が出来るとの、西の配慮だろう。


『え~~っと・・・この定食でええか?これは、旨いでぇ~!

これ、ふたつして。・・・あと・・・ビールも持って来てくれるか。』


西は私の返事も待たずに、サッと注文してすぐに私の方に向った。


『話は、食べ終わってからな。メシは美味しく味わって、食べんとな。』


『昼から、ビールですか?(^_^;) 会社、大丈夫なんですか?』


『もう、後は、大した仕事ないんや。

真奈ちゃんが付き合ってくれるんやったら、神戸でもドライブ行こか?』


『西さんとふたりきりでドライブは危ないから、遠慮しときますぅ。』


『何が危ないんや?運転は巧いでぇ』


『・・・何の運転ですか?(。・ε・。)』


『はははは、相変わらずハッキリ物言うて、おもろいな。』




私達は他愛ない会話をしながら、食事を終えた。

本題に入ろうと、私が口を開きかけると、


『お茶、飲みに行こう。ココで長居は迷惑やろ。場所かえよ。』




また西は伝票を持って、サッサと会計に向った。

完璧に西のペースだ。(-""-;)


そしてホテルロビー横の喫茶室に場所をうつした。

もう、西のペースに嵌らないように、私は座るなり話し始めた。





『私・・・、家を出たいんです。』




西は、きょとんとして私の顔を見つめた。




志賀さんとは、その後、メールや電話で少し話したりするだけで日が過ぎた。

食事とか誘われていたけど、その気にならなかったのだ。


だって、自分がこれからどうすべきかも見えない時に、そんな気になれない。




ある日、洗濯しようと洋服のポケットとかを点検していたら、

以前にK子と一緒に会った西さんの携帯番号を書いたメモが出てきた。


私は、そのメモをジッと見つめながら・・・K子の言葉を思い出していた。




『・・何個か会社も持ってるみたいやで!ええ仕事、紹介してくれるかもよ!』




ちょっと・・・相談してみようかな?あつかましいかな?

なにか、ええ話になるかも知れんし・・・気晴らしくらいにはなるかも・・。

でも・・・私の事・・・覚えてるかなぁ?


不安に思いながらも、私は、携帯の番号を恐る恐る押した。



すぐに、野太い声が聞こえた。( ̄Д ̄;;


『もしもし。・・・・どちらさん?』


うっ・・・相変わらず、土建屋さんみたいな声。。。


『あ・・・私・・・以前、K子さんと一緒にお会いした真奈ですけど・・覚えてます?』


『おおおお!!真奈ちゃんかぁ?嬉しいな♪

どないしたん?僕に会いたなったんか?』


このノリが・・・いややねん。。。ヾ(。`Д´。)ノ


『あのぉ~・・・いつか時間あったら、ちょっと相談したい事あるんですけど。。』


わちゃぁ~~~・・・言ってもた!1回しか会った事ないのに・・・


『・・・・んん・・・・後1時間ほどしたら、暇できるで。』


『え?・・・今日ですか?・・・(゜д゜;)』


『そうや。あかんか?』


時計を見ると・・・午前11時だった。

そっか・・・1時間後やったら、ちょうど、昼休みやもんな。。。


『いや・・・いいです。急にすみません。どこまで行ったらいいですか?』


『えっと~・・・梅田の○○ホテルのロビーやったら、近いからすぐ行けるけどな。。』


『はい・・・じゃ、そこでいいです。』


『じゃ、12時過ぎ頃に!』




電話を切ると、私はあわてて服を着替えて、化粧した。


どんな風に、話をしたらええんか?・・・考えながら。