この物語は非常に偏見と、妄想爆発ものです、誹謗、中傷、苦情は一切受け付けませんのでご了承ください


洗面所には歯ブラシが3つ身を寄せ合うように並んでいる。主の父親は単身赴任で、1年に2、3回しか家に帰ってこない。主が思うに、父親はあまり家族に関心がないであろう

。でも、りのとじゅりなは父親に凄くなついている。「俺は家にいれねえから、お前がこいつらを守ってやれ」といわれたことはある。わかってるよ、と心の中で反抗していた。

主はあまり父親が好きではなかった。

そんなことをぼんやり考えながらチューブから歯磨き粉を出して、シャカシャカと歯を磨きはじめる。後ろからじゅりなが「コンタクトだけさせて」と洗面所に入ってきた。

主は黙って少し横にずれる。じゅりなは鏡に顔を近づけてレンズを右目に入れている。その様子を見ながら主はちょっとしたイタズラ心が現れた。

主は自然と微笑が顔に出てしまっていた。本人はきづいていないのだろう。

「押したら怒るよ」

とじゅりなにまるで考えを見透かされたように言われる。

「え?!な、んの、ことだか」

じゅりなはクスクス笑いながら洗面所を出て行く。遠くのほうでたかみなとじゅりなの声が聞こえる。主は顔を洗い、シェイバーでひげを剃る。

いってきま~す、と大きなじゅりなの声がきこえてきた。主は整髪剤で髪型を整えるとじゅりなを追うようにビジネスバッグを抱えて革靴を履き始める。

「今日は遅いの?」

とたかみなからリビングから顔だけ出して訪ねた。

「あぁ、もしかしたら帰らないかも」

「ふふ……」

「あんだよ」

たかみなの不敵な笑いに気味悪がって思わず振り返る。

「お泊りでしょ?まゆちゃんと」

ニヤけながらたかみなが茶化すように言った。

「……食事するって約束はしてるが、わかんねえよ」

「あんた達うまくいってるみたいね~」

「うるせえな。普通だよ。もう、いいだろ」

「ふふふ。いってらっしゃい」

寒空の下、主は家を出て駅に向かった。