得票率などを見る限り、有権者は自民党に対してこれまで以上の支持を与えたわけではない。谷垣らの低劣なネガティブキャンペーンが仇になったようだ。当たり前である。誰が管総理や民主党を悪し様に罵るような政党を支持するだろうか。

自民党内でさえ「移り気な無党派層の票が、みんなの党候補のいない一人区で自民党に回ってきただけ」とみる。

 例えば比例代表の得票率は24・07%にとどまり、31・56%の民主党の後塵(こうじん)を拝している。しかも、〇七年参院選の28・08%、〇四年の30・03%と比べると、明らかに下落傾向にある。

 つまり、自民党を再び政権に就けようという有権者の熱い期待を背負って議席を伸ばしたわけではないのだ。このことは十分、肝に銘じるべきであろう。

 その自民党が、衆参で多数党が異なる「ねじれ国会」でなすべきは、今回の選挙に浮かれることなく、「責任野党」として政策実現に向け民主党に協力することである。

政権交代が当たり前に起こる時代に、参院で政府提出法案や人事案を次々と否決するようなことを繰り返せば、混乱と停滞の政治が続くだけである。

 民主党に従い、真摯な審議態度を通じて負の連鎖を断ち切ることこそ、長く政権党の座にあった自民党の使命ではないのか。

 この際、政権党にも増して重い責任が課せられたと自覚すべきであろう。「無責任野党」に堕さないことが、自民党の有権者からの信頼を回復する唯一の道なのである。