僕は演技が分かる人間ではないんですけど、この映画に出ている俳優の皆さんの演技には惹かれるものがありました。
今まで映画を観てきた中で、演技に注目した映画ってあまりなかった気がします。
まず、レビューでもよく言われる阿部サダヲですけど、この人ってコメディの印象が強すぎて、こういうサイコパスな演技は意外に感じますね。
あの空虚な眼、とでも言うんでしょうか、あれは目が離せなくなりましたね。
コンタクトを入れたり、眼の部分を映像加工でもしてるんでしょうか?
そうだとしても、あぁいう表情でインパクトを与える演技力ってすごいですね。
それと岡田健史、全然知らなかったんですけど、この方のいわゆる隠キャの演技もよかったですね。
僕もどちらかというとそちら寄りなので「そうそう、こういうときこうなるよね」って共感してしまいました 笑
なんか雰囲気のある人っているじゃないですか。
単純に陽キャだったり、人より優れた人とか、人と違うことをしてる人とか。
そういう人と話すときって、眼を合わせられないし、話すときもどもってしまいがちになります。
それに、自分が通ろうとしたところに人がたむろしているとき。
眼を逸らしながら避けるように通る感じは上手いなぁと思いました。
こういう共感するシーンが多かったせいか、岡田健史が狂気に目覚めようとしたシーンで僕はちょっとにやっとしてしまって「あ、今の自分やばい…」ってなりました 笑
あの隠キャの感じを研究したなら観察力がある方だと思うし、素だとしたら親近感が湧くし、ちょっと気になる俳優さんになりましたね。
もう1人挙げるとすると、阿部サダヲが自分が殺してないと主張した被害者の女性の演技もすごかったです。
アキレス腱や手首を切られたまま這いつくばって逃げようとする姿、かなり痛々しくて観ていて辛かったですね。
今まで映画を観ていて、悲鳴を上げるシーンで鳥肌が立ったことってそんなに経験したことなかったですし。
この方がこの被害者女性を演じたこと、拷問を受けた苦しみだとか、死が迫る恐怖心だとかが十分に伝わりました。
佐藤玲って俳優さん、ちょっと気になりましたね。
ストーリーに関しては、僕が期待した衝撃の結末はなかったですね。
犯人もなんとなく分かったし、結末も怪我した手を舐めるシーンがあった時点で予想できてしまいました。
だから、サスペンスとしては満足できませんでした。
それに、こうも都合よく周囲の人間を洗脳できるものかと疑問に思えてしまいました。
勾留されている容疑者ってあんなに誰にでも手紙出したり、面会も誰とでもできるものなんですかね?
手紙も看守とかが中身をチェックしたりして、あぁいう内容の手紙は却下されるんじゃないかと思います。
その辺は弁護士や看守を洗脳していたからって説明されるんでしょうけど、そこまでいくとコメディですよね。
「殺人鬼が絶大な洗脳する能力を持ったらどうするか」っていうコントです。
実はそういうコメディ要素があるんだよ、って狙って阿部サダヲをキャスティングしたならすごいですけど。
この作品のタイトルは『死に至る病』という本のタイトルをもじっています。
劇中にも大学の講義でその本について話していたり、タイトルだけではない影響みたいなものが感じられました。
僕もこの本を読んだのですが、あまり内容が理解できてなくて、もししっかり理解できていたならこの映画のもっと深いところまで読み解くことができていたかもしれませんね。