マスターテープが紛失したとか、日本でのテレビ放送も1回きりだったとかで、幻の映画扱いされているものがなぜかAmazon primeで配信されていました。
配信終了するみたいなので、再び幻になる前に鑑賞してみました。
プレミアム価値でまつり上げられてる映画ですね。
「世界一怖い」とか書かれてしまっていますが、全然怖くありません。
あの幽霊の見ためとか、モノクロで不気味さが助長されたりとか、そのへんが評価されているんでしょうけど、僕はあまりそう感じませんでした。
僕は純粋なホラー作品だと思ってましたけど、探偵物の要素が強かったですね。
ただそちらも犯人とか事件の真相とか大きなサプライズはないし、古典ミステリーって感じでした。
幽霊が起こしたとしか思えない事件が実は人間のせいだった、けれど不可解なところがあってそれはやっぱり幽霊のせいで…みたいなミステリーは僕の好きな作風なんですけど、この映画に関してはストーリーが単純すぎて物足りなかったです。
僕にとってはホラーとしてもミステリーとしても満足できる作品ではありませんでした。
「幻の映画 = 面白い映画」という方程式は成り立たないことを頭に入れておかなければいけませんね。
主人公と依頼人それぞれの家政婦は気になりましたね。
主人公側の家政婦は特に特徴もない普通のおばさんです。
よくある設定だと、この家政婦が若い女性で、主人公への恋愛感情を匂わせたりしますよね。
でもこの映画では本当にただのおばさんだし、事件解決に協力したり、不意にヒントを与えるわけでもない。
途中ちょこちょこと出てきて、なぜかラストにもふと出てくる。
そういう存在意義がよく分からないキャラなんですけど、主人が心霊調査員という割には幽霊を信じていなくて、それゆえの2人の絡みがコミカルで、そこがこのホラー映画の緩和剤みたいになっていたのかもしれませんね。
依頼人の方の家政婦はキャラが濃くて「絶対こいつ悪人やろ」って見た目です。
こういうあからさまに悪いヤツって最近の映画ではいないのでもの珍しく観てしまいました。
最近の映画では、悪いヤツに見えて実はいい人だったり被害者だったりしますが、この映画ではそのまま悪いヤツだったのでちょっと笑えましたね 笑
ただこの分かりやすい悪人っぷりも見どころではありましたね。
登場キャラで言うと、浜辺で出会った若い女性はなんだったんでしょう?
主人公との会話で今夜パーティーをするから家においでと誘われたけど、その後全く出てきません。
なんか事件解決に関わってくると思うじゃないですか、普通。
思い返してみれば前述したオープニングの波が街並みを飲み込むシーン、なんかの暗示かなと思ったけど、観終わったら「あれどういう意味やったん?」ってなりました。
古典映画ってこういう意味不明なシーン盛り込んでくるって思ってた方がよさそうですね 笑
何もないところをじっくり映して「何か出るよ」って匂わせながら何も起こらないシーンが何回かあって「何も出てこんのかい」って肩透かしくらいます。
けど、そういう焦らされ方も悪くはなかったですね。
多分、今でも使われている技法なんでしょうけど、ホッとさせておいて不意打ちを食らわせるためなんでしょうね。
こういう手法が確認できるのは古典映画だからこそのシンプルな撮り方所以かなと思います。
こういう基礎的な技法の確認ができるのも古典映画の個人的な楽しみ方なのかもしれませんね。
古典映画って現代映画の礎になっているので、馬鹿にできるものではないのは分かりますが、必要以上に面白いとか持ち上げる必要はないかなと思います。
今の映画と比べると物足りないものが多いのは事実ですから。
特にこの映画は「幻の映画」なんて看板まで付けられたものだからハードルが上がっちゃいましたね。
「古典映画」とか「幻の映画」って、面白い作品を観るというより、教養として映画を観た方がよさそうですね。
もし面白かったらラッキー、くらいにハードル下げて。
だから、面白いと絶賛はしないけど、これまで何作かあった「観た時間が無駄だった」って感じはないです。
「幻の映画を観たことがある」って勲章を付けておきたいと思います 笑