この週末はAmazon primeで『関心領域』を観ようと思っていたんですが、Netflixでもうすぐ配信終了みたいなのでこちらを観ました。

多分、この2作の設定って似てますよね?

代用としてはピッタリだったかな 笑


胸糞系で結構名前が挙がる作品ですけど、確かに後味が悪い終わり方ではありましたね。

けど、戦争では理不尽に人が死ぬってことなんですよね。

この映画みたいに、子どもの純粋な好奇心だとか他人への思いやりがその子どもたちの生命を危険に晒してしまう環境なのが戦争なんですよね。

それを教えてくれたという意味では、戦争の恐ろしさ、愚かさを伝えるに十分な作品ではありました。

ただ、子どもたちがある計画を立てた時点で結末が見えてしまいました。

もう少し結末が見えるのが遅かったらもっと個人的な評価が上がったんでしょうけど。

先に胸糞系と知ってしまった自分にも否があるんでしょうけど 笑

とにかく、結末が早めに分かってしまったことがこの映画の評価をちょっと下げてしまいましたね。


この作品の制作がアメリカとイギリスなのが少し気になりました。

この2国は第二次世界大戦ではこの映画の舞台であるドイツの敵対国でしたね。

そんな2国がドイツが戦中にしたことの愚かさみたいのを描いたのってどうなんだろう、と観ながら思ってしまいました。

「お前らがしたことってこういうことやぞ」って言ってるみたいじゃないですか。

僕は特にアメリカの戦争映画の描き方ってあまり好きじゃなくて。

アメリカ側の視点で戦争映画を作ると「アメリカは正義!敵は悪!アメリカは強い!敵は打ちのめされて当然!」って描くじゃないですか。

それがドイツ側の視点で作ると「ドイツがしたことはこんな悲劇を生んだ残酷で馬鹿げたことでした」って言ってますよね。

それが僕はいい気持ちはしませんでしたね。

戦争に勝ったら自分たちのことは棚に上げて、敗戦国のことは貶していいんですかね?


この映画で目に止まったのは、ズームインとズームアウトの使い方です。

他の映画より多く使われていて、そのスピードはゆっくりで時間も長く感じました。

これはすごく効果的だと思います。

ゆっくり長い時間をかけてズームインしながらある個体にゆっくり近付く。

ゆっくり長い時間をかけてズームアウトしながら全体像を見せる。

これによって観る者に「その個体やその空間にはどういう役割があって、どういう意味を持ってるんだろう?」って考える時間を与えます。

ラストシーンも、強制労働させられていたユダヤ人がいた部屋をズームアウト。

そのズームアウトしている時間は、この部屋の役割や意味、またここにいた人たちのことを考え、主人公やその家族の行く末に対する思いを巡らせ、鑑賞後の余韻に浸るのに十分な時間を与えてくれました。

映画の撮影技法とか全く学んだことがない僕ですが、そういうことを感じられたので、この映画のズームイン・ズームアウトの使い方は効果的だったんじゃないでしょうか。


反戦映画としてはすごく優秀だと思うんですが、制作したのが誰かで印象が変わってしまいました。

家具や小物が時代の割には彩りが豊か過ぎかな、と気になりましたが、全体的な雰囲気とか前述したカメラワークは好きな作品でした。

この監督、この映画以外に有名で鑑賞しやすい環境にある作品がなく、2008年にこの作品を撮った後は作品を発表していないみたいですね。

この監督の他の映画が気になったんですけど、観る機会を持つのは難しそうですが、いつか観てみたいですね。