最近あまりいい映画に出会えなかったのですが、この作品はすごくよかったです。

ありきたりすぎて信用できなくなるような言葉ですが、"心温まる" という言葉がピッタリで、僕のボキャブラリではその言葉以外で表現できません。

とにかく、いい映画なのでオススメです。


まず、主人公の声を出しているのが大竹しのぶということに驚きました。

あの華奢でおっとりとしている大竹しのぶが、こんな太ってハイテンションなキャラクターを演じるんだから、俳優さんってすごいですよね。

それに娘役のcocomiもよかったんじゃないでしょうか。

両親が超有名人ということくらいしかこの人のことを知らないんですけど、達観しているようで思春期の複雑な心境で揺れる女の子を上手に表現できていたんじゃないでしょうか?

俳優が声優をやるのを嫌がる人もいますが、僕はこのキャスティングは大成功だと思ってます。


肉子は魅力的でしたね。

どんなに苦労しても明るく一生懸命に生きていく、人間の理想そのものの人物です。

肉子だけ他のキャラクターに比べて作画がデフォルメされていたり、動きがコミカルだったり、他のキャラクターと区別されているのは面白かったですね。

最近のアニメって、1作品の中でコミカルなキャラクターがたくさん出てきて騒がしくなるものが多いじゃないですか。

僕はそれがちょっとわずらわしく感じてしまうようになっていて、この作品みたいに1人がドタバタしてるのがおかしくて、新鮮にも感じました。

他の登場人物は大人しくて笑いを取るような人がいなくて、肉子が特別目立っているので「この作品はこの人が主人公!」って強く主張してる感じが気持ちよかったですね。


ストーリーも意外性とかはないんですが、肉子が余命◯ヶ月とかにならなかったのが個人的によかったです。

悲劇で泣くんじゃなく、人の幸せで泣けるってほんと気持ちいいですよね。

ラストシーンの「おめでとう」って言ったときの肉子の表情が、これまでのデフォルメではなく他のキャラクターと同じ画風になったときもなぜか込み上げるものがありました。

なんらかの意味がある表現なんでしょうけど僕にはそれが読み取れませんでしたが、この終わり方がすごくよかったです。


そんな褒めどころが溢れてくる作品なんですが、僕は映画採点アプリに登録していて、この作品に9/10点相当を付けました。

1点を引いたのは、ヤモリや猫やセミなどの動物や昆虫が人間の言葉を話すのがよく分からなかったからです。

それはキクリンの独り言を動物や昆虫に喋らせていたのかな、とは思いますが、そこの深い意味は読み取れませんでした。

その声優に明石家さんまが懇意にしているような芸人が固まっていたので、話題集めでしたのかな、と思えました。

そうなると、この動物や昆虫が喋るのはちょっと無駄なシーンに思えてしまって。

自分の解釈する能力が低いのかもしれませんが、そこがちょっと残念なところでしたね。


久しぶりに観てよかったなぁと思える作品に出会えてよかったです。

Blu-ray絶対買います。

原作の小説も読みたいと思ってますし、原作に動物や昆虫が喋る描写があったらその意味も理解したいですね。