この映画について「面白かった?」って聞かれたら一言では答えられそうにないですね。
ここはよかったけど、ここはあまり好きじゃなかった、ってくどくど語らなければいけません。
今からそれをくどくど語りますね 笑
まず、嫌なところを話します。
なんとなく "予測不能な結末が泣ける" という触れ込みに惹かれてこの映画のDVDを手に取りましたが、僕はこの結末は嫌かな。
風呂屋が亡くなったときに葬儀を銭湯でしていた例があるというのは聞いたことがあったので、そこはなんとか許容できましたか、火葬まで銭湯でするのはちょっと受け入れられませんでした。
残された家族が遺体を火葬した火で沸かしたお風呂に入りながら「暖かいね」と笑い合うのはサイコパスでしたね。
「人間焼いて赤い煙は上がらんやろ」「そんなところで火葬して関係者は全員逮捕やろ」ってツッコミはまぁこらえます。
少なからず映画はファンタジーで、現実離れした描写はあってもいいと思っているので。
それでも、遺体を火葬しながら湯を沸かして風呂に入るのは、ファンタジーとして見ても感動できませんでした。
ここは賛否両論でしょうね。
これが究極の愛のカタチと思う人もいるでしょうから 。
他人から見ると愛は歪なものとはよく言ったものです 笑
他の方のレビューで、いじめられている娘を無理矢理学校に行かせたり、人を叩いたり人の家にものを投げ込んでガラスを割るなど暴力的な部分があったり、その破天荒なキャラクターが受け入れられないというのをよく見ました。
僕はそこに関しては大らかな気持ちで見れたし、むしろ面白い人だなぁと思って観ていました。
自分の不遇な立場を利用して逃げようとする人間を甘やかしたりしないし、悪いことをした人間に鉄槌を食らわせるところは僕は好印象でした。
僕はいわゆる昭和脳なんでしょうね 笑
けれど、性に対して奔放なところはなんか嫌でしたね。
娘に下着をプレゼントして「彼氏とそういうことがあったときどうするの?」とか言うのは余計なお世話です。
それに、会って数時間の松坂桃李をがっつりハグするところも気になりました。
"昭和気質の男まさりな女" を描きたかったとは思いますが、こういうセクハラっぽいところはちょっと嫌でしたね。
よかったところは、ラスト近くのピラミッドのシーンです。
病床の宮沢りえがピラミッドを見たかったから、というのがあると思いますが、これから家族支え合っていきますよ、っていう意思表示にも見えました。
僕は学生の頃、運動会で組体操をしてピラミッドをしたことがありますが、一番下の土台の人も、頂上の人も、その間の人も大変なんです。
ピラミッドを作る全員が助け合わないと簡単に崩れてしまうので、立派なピラミッドを形成するためにはそれぞれに思いやりが大切です。
それがこのピラミッドだったのかな、と思ってます。
僕がこの映画で泣いたのはここだけです。
それと、関西弁の探偵はよかったですね。
個人的に関西弁ってキツい印象になりがちなんですけど、この探偵の関西弁は優しくて、それだけでいい人に思えました 笑
娘に優しく語りかける姿もすごく印象的で、この俳優のことをあまり知りませんが、他の作品ではどんな演技をするのだろうと気になりました。
しれっと入ってくる笑いもよかったです。
宮沢りえがオダギリジョーを汁物をすくうお玉で殴って、滴る血をそのお玉で受け止めるシーン、杉咲花が子どもがお漏らしして脱いだパンツを「〇〇(子どもの名前)、ここにあり」と言って子どもを捨てた母親の家のドアノブに引っかけて去っていくシーンはくすっと笑いました。
「ここで笑えよ?」と押し付けがましく笑いを入れてくる映画が多い中、この映画みたいにさりげなく笑いを入れてくる方が逆に笑えますね。
エンディング・テーマもよかったです。
ラスト・シーンの赤い煙が上がるシーンとすごく合ってました。
きのこ帝国ってバンドあまり知らなかったんですが、この曲で気になったので他の曲も聴いてみます。
と、好きだったところ・嫌いなところをくどくど述べてきましたが、映画でも小説でも漫画でも、結末の印象が悪いとその作品全体の印象はマイナスになると思っているので、この映画は僕の中ではマイナス寄りになるかな。
ただ、この結末はいい話のネタになると思います。
後味の悪い話として、ですが 笑