小さい頃からゴジラ映画は何作か観てきましたけど、「ゴジラ、もう出て来んでくれ」と思ったのはこの作品が初めてです。
今までの作品ではゴジラが出て来ないシーンはダルくて「早くゴジラが見たい」って思ってたんですけどね。
今回のゴジラは怖いんです。
今までのゴジラは、ただゴジラの通るところに人間や建物があったから踏み潰したりなぎ倒したりしてたように感じます。
だから人間の方や建物の方へ目線を送ることはほとんどなく、ただ進む方向を見ていたように思います。
けど、今作のゴジラはちゃんと人間を睨んで人間を襲っていました。
完全に人間を敵と認識してるんです。
こんな凶暴な巨大生物から敵意を持たれたらめちゃくちゃ怖いじゃないですか。
もちろんビジュアル的にも怖いです。
今までのゴジラの中でも段違いに目つきが悪いし、牙の剥き方が獲物を前にハイになってるライオンみたいです。
ゴジラに襲われる人や建物の崩壊の描写もリアルでしたね。
スクリーンを観ながら何回か顔をしかめてしまいました。
今までは作りものと線引きできていたものが、今作ではスクリーンの中の世界に飲み込まれてしまいました。
僕もゴジラから逃げ惑う人々の感情に少なからず共感してしまったようです。
最近、ホラー映画を怖いと思えなくなった僕が、久しぶりに映画を観て怖いと思ってしまいました。
退屈になりがちなゴジラが出ないパートですが、人間ドラマはこれまでしっかり描かれていて退屈しませんでした。
これまでの作品の中でもゴジラが出る時間は短い作品だと思いますが、ゴジラ以外にも魅力がある作品でした。
戦争で傷つきながらたくましく生きていこうとしている人々の姿は心打たれますね。
結末は全てが都合よく行き過ぎたくらいのハッピーエンドでしたが、すごく安心感がありました。
今作のテーマが「生きること」であり、困難な敵であっても命を犠牲にすることなく倒せたことが個人的にはグッときました。
今まででいちばん怖いゴジラだった分、少ない犠牲で倒せたことが嬉しかったですね。
ひとつ気になったのは、放射熱線を吐く前に背びれが浮き上がるところでした。
ひとつずつ順番に「ガシャーン」って浮き上がってて、何か機械的でしたね。
ラストも続編がありそうな終わり方だったし、この背びれの「ガシャーン」ってヤツも何かの伏線とかだったら仕方ないですけど。
そこはちょっとゴジラが生き物っぽく見れなくて残念でした。
『シン・ゴジラ』の庵野秀明監督、今回の山崎貴監督と畑違いの監督にこれだけ面白い作品を作ってもらいました。
今後も意外な監督がゴジラを撮っていくかもしれませんね。
次は誰がゴジラを撮るのか楽しみになってきました。
個人的には北野武監督に撮って欲しいですね 笑