昔、BLANKEY JET CITYってバンドが好きで、『SALINGER』って曲があったり、vocalの浅井健一氏の愛車(バイク)が「SALINGER号」って名前だったりで、"サリンジャー" って言葉がすごく気になってました。
後でそれがアメリカの小説家の名前と知り、彼の代表作『ライ麦畑でつかまえて』がネット上で話題になっているのを多く見かけて、その作品もずっと気になってたんですけど、最近やっと読み終えることができました。
読み終えてまず思ったのは「退屈だったな」ということでした。
大きなアクシデントが起こらないんです。
ただ、学校をドロップアウトした少年が、いろんな人に出会っていろんなことを思うだけのお話です。
僕はふだん、推理小説を好んで読むので、殺人事件とかそんな大きな事件を期待してしまっていたんですね。
犯人探しをすることばかりが小説じゃないことを忘れていました 笑
この小説には野崎孝氏と村上春樹氏それぞれの翻訳本があるんですが、僕は野崎孝氏の方を読みました。
初版が1984年で、今から40年以上も前の訳なものだから、やはり言葉が古くさいんです。
やっこさん、とか、今じゃ全く耳にしない言葉が出てきたときには笑いました。
あと、英語特有の強調する感じ。
例えば、「それは○○だぜ。本当だ。嘘じゃない」みたいな。
日本人は絶対そんな言い方しないですよね。
それがこの本では原文がそのまま訳されているので、こういう文章がいっぱい出てきます。
そこもなんだか読みながらおかしくなっちゃいましたね。
けど、アメリカン・ジョークというか、言い回しみたいなところは前述のBLANKEY JET CITYの歌詞でも影響を受けたような部分がありましたね。
浅井健一氏はこちらの野崎孝氏の訳の方を読まれたんでしょう。
そこが好き嫌い分かれて、最後まで読めるか、途中で読みやめてしまうかになりそうなところだと思うんですけど、僕はそんな古くさい言い回しも嫌いじゃなくて、最後まで読めました。
こうなってくると村上春樹氏の訳も気になるのでいつか読んでみようと思います。
もう少し中身について話すと、まぁ少年にありがちな世の中のことに反抗するような時期のひとりごとみたいなものです。
「とりあえず何でも反抗したれ」という精神なもので、いろんなことが上手くいかない。
それを大人や社会のせいにしてるだけの話です。
これに共感する人が多いから今でも話題に挙がる小説なんでしょうけど、僕は比較的真面目に少年時代を過ごしてきたので、あまり共感できませんでした。
むしろ滑稽に見えてしまいましたね 笑
ただ、真面目に過ごしてきた中でも、ちょっと反抗的に構えてしまったこともあったでしょうし、他人事ではないんだろうなぁとも思いましたけど。
それでも「分かる、分かるよ!その気持ち」とはなりませんでしたね。
だからこの主人公の考え方はあまり好きになれませんでしたし、この主人公が実在したなら、彼も僕のことは嫌いだったでしょうね 笑
一部の方は愛読書にされてますけど、僕はそこまではなかったかな。
この小説を「どんな本だったの?」と聞かれても、相手が自分も読んでみたいと思わせるような説明もできないと思います。
ただ少し神格化されて、いろいろな別の作品で触れられるものだから、特別な本のような扱いを受けているんではないんでしょうか?
昔、激しい反抗期があった人は共感するかもしれないので、読んでみていいかもしれませんね。