今はもう閉店しましたが、何度か利用したレストランの話です。

味は嫌いではなかったんですけど、いろんな料理に同じソースを使っていたんです。
オムライスやハンバーグ、パスタ、ロールキャベツとか。
よっぽどそのソースに自信があったんでしょう。
けど、違うメニューを頼んだのに、ほとんどのメニューが何となく同じ味がするって分かってしまうと、その店は「もういいかな」ってなってしまいました。
この映画を観た後に感じたものが、このときの感じに似ていました。

『パンズラビリンス』が結構面白かったので、同じ監督のこの作品を『パンズラビリンス』を観たすぐ後にレンタルしたんですが、この監督って、違う作品でも作品から出る雰囲気みたいなのが同じなんです。
この監督の作品は "ファンタジーでありながらちょっと陰もある" って味付けがされているので、違うストーリーや登場人物なのに、何か同じようなものを観てる気分になりました。
同じ監督の作品にしても、ちょっと違う味が楽しみたかったです。

この映画だけで語れば、結構好きな作品です。
ストーリーは分かりやすいし、話のテンポもいいので観ていてダルくなることもありませんでした。
それに、主人公の "言葉が話せないおばさん" をはじめ、"ゲイで初老の画家"、"太った黒人のおばさん"、"気が弱い科学者"みたいに、それぞれキャラがあるので、顔が覚えられない僕でも「この人誰だったっけ?」ってならずにスムーズに観られたので助かりましたね。

気になるところもいくつかありました。
前も『バベル』でありましたが、必要性のないエロネタがありました。
主人公の女の日課が、朝風呂に入りながらオナニーって設定は要りますかね?
それに、怪物とセックスまでしなくてよかったんじゃないでしょうか。
ファンタジーの中にもそういう人間の秘められた性欲みたいなものを描きたかったのしれませんけど、種族の壁を超えて恋愛するくらいなんだから、もっとプラトニックな関係でよかったし、主人公も性に関しては控えめに描いてよかった気がしますけどね。
それにミュージカル・シーンはいらなかったかな。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とか『グレイテスト・ショーマン』のミュージカル・シーンは好きですけど、この映画のミュージカル・シーンは苦手でしたね。
歌への入り方もなんか無理矢理だったし、曲とかダンスとかシーンの雰囲気とか、あまり好きじゃありませんでした。
それに、妄想の中とはいえ、怪物を踊らせるのはイメージが崩れてしまうのでやめておいた方がよかったと思います。
『リング』の貞子があれだけ怖かったのに、新作公開時に舞台挨拶に出てきたり、野球の始球式をしたりして、もう全然怖くなくなった感じに似てます。
この映画の怪物も、華麗な踊りなんか見せなくてよかったし、気味の悪いモンスターのイメージを壊さないで欲しかったです。

この映画自体は悪い作品ではありませんでしたが、まだ『パンズラビリンス』を観た記憶が残っていたのがいけませんでしたね。
美味しいものはたまに食べるから美味しい、って感じでしょうか。
まぁ短い間隔で食べられるほど好物ではなかった、ということでしょうね。
『パンズラビリンス』と『シェイプ・オブ・ウォーター』はグロ・シーンさえ注意すれば他の人にもおすすめできるくらいいい作品だと思います。
けど、2作とも観るなら、よっぽどダーク・ファンタジーが好きでもない限り、ちょっと間を開けて観ることをおすすめします。