まず、この映画はタイトル詐欺ですね。
“それ”が見えたら終わり、って言いながら、ペニーワイズを見て生き残った人間は結構いましたから。
たしかに、『イット』だけではタイトルにインパクトがないのは分かるんですが、邦題だからって適当につけるのはよくないと思います。

そもそもこのペニーワイズってモンスター、そんなに怖くないんです。
オープニングで子どもの腕を食いちぎって、用水路みたいなところに引きずりこんだときは、「子どもでも容赦なく、こんなむごい殺し方するんや。これはどエラいホラー映画始まったな。」ってちょっとビビっちゃうんです。
でも、話が進むにつれて「あれ?こいつ…」って思うところがあって。
まず、見た目はピエロなんですけど、髪の生え際はオッサンなんです。
そこに気付くと「このオッサン、ピエロの格好で何してるんやろ…」って思えてきて、全然怖くなります。
それに、子どもだけだと襲うくせに大人が来たら姿を消して、セコいヤツやなぁとも思いました。
子どもの妄想だから子どもにしか見えないし、子どもしか襲わないんだって言う人もいるでしょう。
でも、実際に子どもがコイツに殺されてるわけだから、妄想では済まされない存在だと思いますよ。
多分、大人を襲ったら返り討ちにあうくらい弱いヤツなんじゃないですか?笑
殴られたらダメージ受けてるし。
これは、お化けは実体がないから殴っても効かない、って日本の幽霊のイメージかもしれませんけど。

いちばん気になったのはペニーワイズの着地の仕方です。
棺だったか、箱みたいなものから飛び出すシーンがあったんですけど、その着地の仕方がまるで忍者なんですよ。
こんな感じです。
この着地の仕方って、絶対かっこいいヤツがする着地ですよね?
少なくとも、僕の中ではそうです。
それをモンスターがしたものだから、「?」ってなりました。
もっと気持ち悪い着地、何なら着地せずにそのまま空を飛んでってもよかったんじゃないでしょうか?
まぁこれも忍者を知っている日本人ならではのイメージです。
これに共感してくれる人がいたらいいんですけど。

この映画、R15指定らしいですけど、もったいないですね。
モンスターこそイマイチでしたけど、子どもがモンスターを倒す勧善懲悪モノとしてはすごくいい作品だと思います。
子どもが色々な逆境を乗り超えて行く姿も、観ていて爽快でした。
子どもの成長モノとして見れば、子どもに見せたい作品なんですけどね。
ついでに言うと、太った子どもが女の子に好意を持ってたんですけど、その女の子は主人公の男の子を選ぶって下りがあるんです。
このことから、「女はやっぱり見た目がよくて、リーダーシップを取れる男が好きになるんですよ」って恋愛の厳しさみたいなものまで教えてくれましたからね 笑

文句の方が長くなってしまいましたが、僕はどちらかと言うと好きな方でした。
言葉遣いの悪さとか、ごくわずかにある残酷なシーンのせいで年齢制限を食らったのが惜しいですけど、大人より子どもが観た方がよさそうな作品でしたね。
続編があるので是非観たいと思います。