僕がこうして映画の感想を書き垂らしてみようと考えたのも、ダウンタウンの松本氏の影響が大きいと思います。
あまり本を読まない僕ですが、『シネマ坊主』は数回読み返しているくらい愛読しています。 
そんな松本氏の監督2作目。
世間では評判が悪い松本氏の映画、この作品も他の作品と同じく評判が悪いと聞いています。

松本氏の出てくる部分は笑えました。
僕ってベタな笑いが好きなんだなぁ、って再認識しました。
それに、壁の突起を押したら壁から出てくるものを使ってどうやって部屋から出るか、という謎解きをするんですけど、これを主人公と一緒に考えるのは楽しかったです。
「それ使ったらいいやん」って自分なりに部屋を出る方法を考えるけど、話が進むにつれ間違いだと気付かされます。
また考え直すけど、それもまた間違いで…の繰り返しは、僕にとって楽しい作業でした。
ただ、これって『ソウ』でも似たようなことしてたな、とも思いましたけど…

逆にメキシコのシーンは退屈でしたね。
格闘家の父親と、それを応援する息子って「コッチまでベタか」と、つまらなく感じてしまいました。
メキシコのシーンが退屈過ぎて、松本氏のシーンに早く行ってくれ、と思っちゃいましたね。

けれど、面白かったのは2つのエピソードが繋がる直前まででした。
話が繋がったときには「あぁ、そういうことか…」と、少しガッカリしてしまいました。
この手の話のネタばらしってハードル高いのは分かるけど、あの松本氏が考えたオチがこの程度のものかと思いました。

それに、そのシーンから笑いのカタチが「ベタ」から「シュール」に変わるんどけど、それが気持ち悪い。
「シュール」も嫌いなわけではないんですけど、その急激な笑いのジャンルの変化に観ているコッチとしては突き放された感じがしました。

ラストに近付くにつれ、松本氏が演じる男の正体も分かってくるけど、これも面白くはないかなぁ。
明確な正体は映画の中では語られないけど、多分 "アレ" でしょうね。
正体が "アレ" って、ありきたりな上に、いろんなことが何でもありになっちゃうからちょっと反則な気がします。

そしてラストシーンは、その男がある行動に出る直前で終わり…
「何が起こるかは見ている皆さんの想像にお任せします」って終わり方。
この終わり方もスッキリしませんね。
この話の流れじゃ何が起こるかなんて絶対分かるはずありません。
結末でハッキリした答えがないと、自分的には気持ち悪くて、好きになれません。

『修行』『実践』『未来』と章が分けられてるけど、この3つの章の繋がりも感じません。
『修行』でしたことが『実践』で生かされているように観えないし…
『未来』に関しては意味不明です。
章を付けない方が話をスムーズに観れたと思うんですけどね。

タイトルの『しんぼる』が、壁の突起が男のシンボルの形をしているからだな、とは後で気付きました。
壁にそれが無数にあるのは、見ていてあまり気持ちいいものではありませんでしたけどね。

まとめるなら、前半のベタなコントだけが楽しめた映画。
けど、映画である必要はなかったかな。
松本氏の映画は『大日本人』とコレしか観てないけど、『さや侍』と『R100』は期待しない方がいいのかもしれませんね。