僕は一つの決心をした。
そして、その旨を伝えるべくバーハルトを訪ねた。
『話というのは何だ、リトス。』
『私はこれから旅をしたいと思っています。これまで、バーハルト様が私によくしてくださった恩は返しても返したりないほどです。
それは重々承知しています。ですが、先程彼らに三年ぶりに会い、成長した姿を見ていたら、いてもたってもいられなくなりました。
私は、まだ、未熟です。心技体どれをとっても、取り柄と呼べるものはまだ得られていない。そんな私のような者が何を申すかと、バーハルト様は思われることでしょう。
しかし、私はやはり、世界を見て回りたいです。この世に何があり、そして何をすべきなのか。。。それを是が非にも知りたいと考えています。
勝手な申し出ではありますが、この地を離れてみようと、そう思っている所存です。』
『ふむ。言いたいことはそれだけか、リトス。』
『バーハルト様には一言断りをと。』
『良いだろう。』
『え、、、今何と。』
『だから、許可しようと言うのだ。
確かにお前はまだ未熟だ。そして若い。しかし、その若さや未熟さこそ、お前の武器でもある。
私の思いは今でも三年前と変わってはいないんだ、リトスよ。
私には、いや、妖精と人間と双方にとって、お前の存在は極めて重要だ。これからの世に必ずお前の出番がある日がやってくるだろう。
そして、それはそう遠くない。。。ならば、その前に、自分で自分自身を知ることが必要だ。
ふむ、少々もったいつけてしまったな。まぁ、あの二人を引き合わせたのも、お前がそう考えるに違いないと思ったからだ。
但し、よいか、どこにいても、何をしても、お前は家族だ。我々バード族やひいては妖精と、な。忘れるでないぞ。』
優しげな瞳に、射貫く様な眼差し、激励とともに、彼が真剣に想っていてくれていたことを再確認した。
『ありがとうございます。』
旅支度を終え、出発の時。
イーグルとアルバロ、スワロフが見送りに出てくれた。
『リトスの空いた穴はいただくっスよ。これで俺も晴れて隊長の仲間入りっス。』
『あら、イーグルさん、それとこれとは別問題ですよ。まだまだ、貴方は資質に欠ける部分があるですから。』
『まぁ、心配することはねぇよ。俺様がいりゃあ、こっちは問題ねぇからよ。』
『アルバロさんまで、それではリトスが可哀想です。彼のような人材を育成するのは、とて難しいことなのですよ。まして、人間ともなれば。少なくとも、バードは貴重な方を手放すことになるですから。』
『皆さん、本当にお世話になりました。このご恩、生涯忘れません。そして、僕は必ず、またここに戻りますから。それまでお元気で。』
深く頭を下げて、反転し、歩き出した。
しばらく山を下ると、広い道に、二つの影が見えた。