リッドとゴレムは気絶していたので、とりあえずはダインさんに預けた。
『ダインさんにはご迷惑をかけました。リッドには上手く伝えておいてください。多分、怒るだろうと思います。でも、リッドの為には、きっと僕といるよりガンヌさんにつくことが、今の彼には必要です。』
『安心しなさい。任されたからには、私がしっかりと面倒を見る。もちろんゴレムもな。』
『宜しくお願いします。』
村を出て、もう一度船に乗った。
東へ。
長い船旅。
一人ということに寂しさを感じた。
しかし、これもまた必要な経験なんだろう。そう言い聞かせることで、自分を励ました。
何日かして、母に手紙を書いた。
寂しさを紛らわせたかった。
もしかしたら、リーフに戻ることはないのかもしれない。
軽い気持ちで始めたことだった。
しかし、もう後戻りはできない。
ある夜、不安になって、あの旅人の手紙を眺めた。
目を閉じて、もう一度、思い出す。
『虹の生まれた場所』
それを想った。
甲板に出ると、見たこともないほどの数の星が瞬いていた。
夜風は柔く、潮の匂いがした。
旅立つ前に、ディルガインが言ったことを思い出した。。。
『リトス。世界は面白いものだ。書物には載っていないことで溢れている。恐らく、数々の困難が君を待ち受けているだろう。だが、同時に今までにないほどの感動もまた待っている。
今はまだ、自分のことなど知らないでいい。まずは世界を知れ。そうして初めて見えるものがある。
また会おう。その時は剣ではなく、話をしようではないか。次に会うまでに、私は私で、王たるに相応しい人物になっておく。』
穏やかにそう言った。
水平線の向こうに、何があるのか。
沸々と、僕の中でまた、火が点く音がした。
知りたい。
まだ見ぬものを。
そして、
虹の生まれた場所を。。。
一週間ほどで、目的地のバードルに着いた。
港だけでもとても大きく、人もまた多い。
そこからまた、数日かけて山を越える。
高い岩の山の頂上。
そこに、バード族はいる。
人の寄らない、自然の極地。
息を切らせながら、やっとの思いで登った。
一目には分からないが、岩肌からせりでるようにして、城とおぼしきものが立っている。
白く、神々しい。気高さを感じるものだった。
入り口を探していると、上から声をかけられた。
『こんな所で何かお探しスか、人間さん。』
見上げると、背中に翼の生えた人が空中に浮遊している。
妖精だ。
『すみません。ディルガインさんの紹介で来ました。リトスといいます。失礼ですが、入り口はどこでしょうか。』
『あ、君が例の人間スか。オレは、イーグルっス。まぁ、見たら分かるように妖精っス。話は聞いてるっスよ。今案内してやるっス。』
空中を一旋回したあと、ふわりと降りてきた。
『オレの足に捕まってっス。』
言われた通りにすると、バサッという音ともに飛んだ。どうやら入り口は高いところにあるようだった。
『ここは一種の要塞っスから、防衛の為に、入り口は二階にあるんスよ。』
口調の軽い妖精もいるんだな。。。ディルガインの後だけに、ギャップが大きい。
城の中は、とても大きかった。
外観同様、白が基調になっていて、何だか本で見た神殿のような作りになっている。
『こっちっス。バーハルト様が、お待ちかねスよ。』
案内されて三階に登った。
吹き抜けになっているフロアに出ると、大きい重厚な鉄の扉のある部屋が一つだけある。
『バーハルト様は中にいるっス。』
イーグルは、言いながらノックをした。
『客人を連れて参りましたっス。』
『…入れ。』
低く、威厳の漂う返事があった。
『失礼します。』