
朱川湊人さんの『スメラギの国』を読みました

おお…
これは、お腹の深いところにズシンとくるヨ


志郎の引っ越し先のアパートの前には、猫が集まる不思議な空き地があった。
「猫に構ってはいけない」という大家の忠告に反し、空き地を車庫代わりにし、家では野良猫を飼い始めた。
しかし、それが彼の幸せな日常を一変させてしまう…
愛するものを守るため、凄惨なまでに闘う、人間と猫。
愛と狂気を、SF要素もふんだんに描く、ホラーサスペンス。
正直言って、この手のヤツは苦手です…グロいから(>_<)
読むのにカナリ精神力を要しましたネ、身近な動物って、リアリティ強い

恋人との結婚を目前に控えた、幸福の絶頂にいる主人公。
交通事故で幼い息子を亡くした、自暴自棄の父親。
人間の思考を持つ“新しい猫”に生まれ変わった野良猫。
猫世界に君臨する神々しいまでに美しい白猫。
この四つが主になって、それぞれに物語が進みながら、ミッシングリンクしていきます


憎み合い、おとしめ合う、がんじがらめの狂気の根底にある、共通の思いは“愛”。
ただただ“愛するものを、守りたい”という純粋な気持ち。
足掻いて、もがいて、苦しむ分だけ、底無しの沼に引きずり込まれていく。。。
この本の良いところは、そこで終わらない事

逃げ場のなさや救いのなさを、悲しみや苦しみの持つ、果てしない闇を全面に押し出しつつ、
同時に、その永遠とも言える負の連鎖からの脱出という、一筋の光明を見出だそうとする悪あがきを、とても美しく描いている

“ホラー=怖い”の図式は基本ではあるけれど、それが全てじゃナイ。
その恐怖体験を通して、人間がどう生きるのか、どう変わるのか、或いは結局変われないのか、そういう事を念頭に、朱川さんのホラーは描かれている。
恐怖を煽るというよりは、逃避の出口を塞ぐという方が当て嵌まりそうなホラー。
生きるか死ぬか、生命や物理の問題じゃなくて、極限状態における精神的な意味での生と死を、サスペンスを通して紡ぐ。
「完全な」ハッピーエンドとは言えないながらも“ただ怖くて救われない話”ではナイところに、とても惹かれる部分を感じた作品でした

