夜行バスの移動を快適にするために「フルフラットシート(180度ペタッと倒れるシート)」を開発した企業さんが話題になりました。
普通に考えれば、ただでさえ狭いバスの中で、ペタンと倒れるシートを作るためには、通常の倍ほどのスペースが必要になりそうです。スペースを確保すれば座席数が減少してしまうため、1台に乗せる事のできる乗客数が減る=売上も減ってしまう・・・逆に、座席数をギリギリまで増やそうとすれば当然1席あたりの面積は狭くなるので、快適さはどんどん失われてしまう、という事になります。実際、長距離バスに乗る際に安いと座席は4列シートであるケースが多いですし、セパレートの3列でゆったり座れるシートだと新幹線より高い価格設定だったりします。
快適で、かつ座席数も減らさない。そんな相反する希望を叶えるために創意工夫を繰り返し、特殊な形のシートを作り上げてしまったそうです。実際に180度フルフラットまで倒れるため、快適に寝られそうです。
この企業さんのストーリーで痛快だったのは、国土交通省に許可を取るための電話をする際に「フルフラットシートを作ってもいいか?」というダイレクトな質問をせずに「バスシートのリクライニングは何度までと決まっているのか」という質問にして、「特に決まりはない」→「180度でもいいですね?」→「まあ、そういう事になりますね」という流れでOKを引き出した事です。真正面から「YesかNoか」と突きつけるような質問をすると、役所仕事ではリスクを負う事を嫌がるのは間違いないわけで「よくわからないから、やってみましょう」とはならず「よくわからないし前例もないから、ダメです」となってしまいそうです。なので「どこまでならOKですか」という質問に変える事で、「どこまでしかダメだというルールはない」という言葉を引き出す事に成功できたのでしょう。作戦勝ちですね。
最後に許可を取る際も、「模型では判断できない、実物を見せて」という返答しか得られず、1/1サイズの実物を作ってアピール、「ダメとは言えない」という言葉を勝ち取って無事に実装に至ったそうです。お役所を相手に仕事をする際には、この考え方はとても有効なのですね、勉強になりました。
一度、ぜひこのフルフラットシートの長距離バスに乗ってみたいものです。



