ITの進化により、色々なデータがより細かく、より正確に収集できる時代です。
物販であれば、過去の購買データから、今後どの年代の顧客がどれくらい、どんな商品を求めて来店するのか?という予測が高い精度で実現できるようになりました。生鮮品など入れ替えの激しい商品であれば、欠品も売れ残りもどちらも避けたい、ちょうどいい塩梅の仕入れができるようになっていく事で利益を増やしていけるでしょうし、回転率の高い商品は思い切って大量に仕入れる、という事もできるようになっていきます。
精緻なデータを手軽に入手できるようになった事を、大きな武器にできるのか宝の持ち腐れとするのか、それは入手したデータをどう分析して、どう活用するか次第です。データアナリストやデータサイエンティストといった職業もここ数年で脚光を浴びるようになりました。たくさんのデータを出すところまでは簡単にできても、そのデータをどう料理して自社のプロダクト改善に繋げていけるかは実に難易度の高い作業となるため、重宝されるのでしょう。
例えば老舗の寿司屋さんで、熟練の職人さんがいたとしましょう。過去数年間の顧客データを打ち出して「30代の男性客にはマグロが好まれている。来店した顧客のほとんどの人が注文している」という結果が出たとします。顧客比率は男性70%、女性30%。30代が占める割合が50%。こうなると、来店予測人数さえわかれば、マグロをたくさん仕入れておこう!と考えるかもしれませんね。しかし、マグロはその時々で価格も味も変わってきます。職人さんからすれば、そんなデータよりも長年の経験から「今年のマグロは脂が乗って旨い。こちらも自信を持って勧められるから、もっと仕入れたい」と考えるかもしれません。そこまでデータで分析するとなると、今度は店舗内のデータだけでは足りなくなりますね。市場でのマグロの価格動向までチェックしていく・・・しかし「美味しい、まずい」という食感まではデータ化なんて難しくなっていくかもしれません。そうなると最後の最後はどこかで<データ>と<経験値や感覚>とで折り合いをつけて判断しなくてはならない場面が出てくる事になる。その時々の判断をまたデータ化して、数年蓄積していく・・・。
データをうまく使いこなそうと思えば、膨大なデータ量に飲み込まれる事なく、そのデータ集の中から必要なものを取り出し、加工して分析しなくてはなりません。ビジネスはロボットが行うものではなく、顧客も生身の人間です。どこまでいっても、一定の「温度感」を推し量る力が必要である事は、ずっと変わらないのではないかとも思います。

