日焼け止めの効果

 太陽の紫外線が肌に深刻な影響を与えることは明らかだ、かつて「トラックの運転手」のケースをお伝えしたように、紫外線にさらされた部分だけ、 しみ、しわ、 たるみなどの老化が顕著に表れる。

 その対策として日焼け止めがあるわけだが、その効果に驚かされる女性の写真が公開された。

 この92歳の女性は40年間欠かさず顔に日焼け止めを塗っていたのだが、首には塗っていなかった。その差は歴然。塗っていた顔と塗っていない首の皮膚が明らかに違うのだ

 

紫外線が肌を老化させる

 この画像は欧州皮膚科学会誌(The European Academy of Dermatology and Venereology)に掲載されたもので92歳の女性はの顔と首が写っている。

 彼女は顔に日焼け止めと保湿剤を使用していたが、首には何も使用していなかったと報告されており、その結果、一目瞭然の紫外線によるダメージが首にきている。

 皮膚はある意味ユニークな器官で、人体の中で唯一、日光などの環境によって大きな影響を受ける。

 日光に含まれる有害な紫外線は、肌を透過して、皮膚細胞にダメージを与える。それが蓄積すれば、年齢以上に老けて見えるようになる(これを「光老化」という)。

 それだけではない。皮膚細胞のDNAに傷がつけば、皮膚がんになるリスクも高まる。健康的に思われる太陽の光だが、じつは老化や病気とも関係しているのだ。

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何も塗らなかった首のシワとシミは92歳という年齢相応だが顔の皮膚は若い/Image credit: C Posch 2021

老化防止はがん予防につながる可能性

 クリスチャン・ポッシュ博士は、肌の老化を予防すれば、がん予防にもなるだろうと、今回の研究で述べている。

さまざまな理由から、人間は老化を打ち負かすことはできないだろう。それでも老化を抑えれば、寿命も健康寿命も延ばせる。あと20年か40年長く健康でいられることを、拒む人などいない

 そのためにも老化を予防することが大切なのだという。なぜなら老化とがんには密接な関係があるからだ。

 年齢以上に老けて見える肌は、細胞のダメージに起因するものであることが多い。これはがんのリスクを高める。

 健康的な食事やライフスタイルを心掛けるのはもちろん、日焼け止めで肌の老化を止めるのも効果的だ。そして塗るなら首まできちんと塗ろう。

 これで絶対にがんにならないわけではないが、いつまでもキレイなお肌を保て、病気の予防にもなるのなら、首まで塗ってもコスパとしては悪くないかもしれない。

References:Ageing research: rethinking primary prevention of skin cancer - Posch - 2021 - Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology - Wiley Online Library / This Is What Wearing Sunscreen On Your Face But Not Neck For 40 Years Does To Your Skin | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo