家族信託は今後の家族経済!                                                         

 

 

【使い分けの目安:家族信託と任意後見、遺言】

 

 親の財産管理、承継対策の必要が生まれていても、最初から家族信託ありきで決めてかかってはいけません。

少なくとも家族信託、任意後見、遺言の三つについて特徴を比べてみることから始めます。

 

以下にこれらの制度の使い分けの目安をお伝えします。

 

家族事情

 ・高齢化対策→ 家族信託、任意後見

 ・認知症対策→ 家族信託、任意後見

 ・資産凍結対策→ 家族信託、任意後見

 ・遺言の代わりに→ 家族信託

 ・相続(財産の承継)対策→ 家族信託、遺言、法定相続

 

家族の要望・意向ニーズ

 ・身上監護だけしっかり行いたいなら任意後見がふさわしい。

  → ただ、本人に抵抗感が出やすい→ 適切な時期に後見監督人の選任請求がされにくい。

 ・財産管理だけをしっかりやりたい→ 任意後見がふさわしい。

 ・財産承継をしっかりやりたい→ 遺言、信託がふさわしい。

 

財産状況

 ・収益不動産はない、投資の予定もなく老人ホームで余生をおくる予定

  → 財産の承継は遺言や法定相続で十分→ 任意後見がふさわしい

 ・賃貸アパートやマンション等の収益不動産があり今後も活用したい

  → 信託、任意後見がふさわしい

 ・将来ローンを組んで不動産を購入したい→ 信託がふさわしい

 ・将来ローンを組んで賃貸アパート等の修繕や建て替えをしたい→ 信託がふさわしい

 ・株式等の投資を行っていきたい→ 信託がふさわしい

 

財産管理のみが目的

 ・信託又は任意後見がふさわしい。株主権の行使も行える。

  手元にある財産(身の回りの生活資金とご自身の住居用の住まい)の管理と身上監護(施設入居手続、役所手続、病院

  手続)だけの必要なら任意後見で足りる。

  

財産承継のみが目的

 ・遺言がふさわしい。

 ・確実に2回以上の財産承継を実現したいなら信託がふさわしい。

  (30年プラスアルファまで続けることができる。)

  → 信託終了後の帰属権利者又は残余財産受益者を定めておく。 

 ・委託者兼受益者以外に、将来の生活維持について特別の配慮が必要な家族がある

  → 信託(後継ぎ遺贈型の受益者連続信託)がふさわしい。

  (最長で30年プラスアルファまで継続できる。)

 

 無料相談▶ 家族信託の窓口 ホームズ法務事務所

       コンサルタント・行政書士 川上 徹

 

財産の種類

 ・年金受給権、証券会社が信託の取り扱いをしない有価証券、農地等なら任意後見がふさわしい。

 ・所有権移転について農地法の許可があることを停止条件として信託することはできる。

 

借り入れや財産の運用、投資の予定がある

 ・任意後見ではまず無理

 ・信託がふさわしい。投資はできるが、元本保証の商品・サービスが望ましい。

 ・賃貸アパートを信託譲渡したときに委託者と受託者の併存的債務引受のやり方がある。

 ・受託者による信託内借り入れ(信託財産を担保にして)可能→ 通常の事業ローン融資より銀行審査は厳しい→ そもそ

  も信託内借り入れに対応していない銀行もある。

 

受託者を確保できるか?

 ・委託者宅の近辺の居住者が好ましい。

 

任意後見人を確保できるか?

 ・あらかじめの見守り契約と死後事務委任契約をセットで行うと、いわゆる終活の全体を手当できる。

 

一時的な制度の利用(一時的、単発的な財産管理)なら

 ・任意後見は本人死亡まで継続されるのが原則だから、一時的・単発的な財産管理には不向き。

 ・信託は、委託者の判断能力が衰えた後の受益や死亡後の財産承継を勘案するものであるから不向き。

 

裁判所関与の回避の意向(利便性)

 ・任意後見は本人のための財産保護を行い、本人にためだけに活用する制度なので家族にとっては利便性がない

  → 家裁の後見監督人の選任が必要

 ・信託は委託者兼受益者、受益者、後継受益者、帰属権利者、残余財産受益者に関して、財産管理(受益)と財産の承継

  の両方をはかることができる。

 ・信託は原則的には裁判所の監督が及ばない(例外的に裁判所が関与するケースもあり)。

 

※身上監護(役所手続、施設入所手続、病院手続)

 ・任意後見人がふさわしい。

 ・受託者の立場では行えないので、そのかわりに家族として行う。

 

※身上介護

 ・任意後見人や受託者は行えない。

 ・家族及び介護関係者がふさわしい。

 

※医療行為の同意権

 ・任意後見人と受託者は行えない

 ・家族がふさわしい。

 

※家屋修復等の事実行為を自ら行う

 ・信託の目的に付随するなら受託者は行える。

 ・任意後見人は事実行為を行えない。食事や理髪等の支援は家族や介護関係者がふさわしい。

 

上記のように、家族事情と本人の意向や財産状況を総合的に勘案して、ご家族に最適な制度の利用を検討するわけです。

 

 無料相談▶ 家族信託の窓口 ホームズ法務事務所

       コンサルタント・行政書士 川上 徹