ちょっとした奇跡の物語 ![]()
「ありがとう」と言う言葉の
本当の力を思い知ったのは
父との最後のやり取りを通してでした。
私は、親から
「ありがとう」や「ごめんね」
といった言葉をあまり聞いた記憶がありません![]()
だからこそ、
自分が結婚して家族を持つようになった時、
夫や子供たちには
「ごめんね」「ありがとう」
といった当たり前の言葉を大切にしようと心に決めました。
しかし、そうした言葉すら
交わし合えないままだった親との会話は
いつも 緊張感 でいっぱい。
子育て真っ只中の私は、
子供たちの部活動の予定で、休日も慌ただしく過ごしていました![]()
当時、親に頼るという発想はなく...
忙しさの中で、
一人で頑張っているように見えたのか、
父から突然の電話 ![]()
『試合の後は、夜ご飯は食べさせてーって連絡してこないか!』
と少々、怒り口調。
でも、優しく気遣ってくれていました。
その瞬間、私は耳を疑いました👂![]()
「頼っていいの?」
「甘えていいの?」
今まで甘えることなど、想像すらしていなかった私は
その言葉に戸惑いと共に、
初めて味わう感覚を覚えました。
私が父という人を深く知るようになったのは
父が闘病生活に入ってから...
強さだけでなく、弱さ、そして深い愛情。
特に、孫たちとの接し方を通して
父の優しさと愛情に気づかされました。
しかし、
それでも父との会話には依然として
緊張感が伴っていました![]()
そこで、私はある 決意 をしました。
父との関係を
最後はいい形で終える!と。
そして
「ありがとう」という言葉を、
父との会話の最後に必ずつけることにしました。
実家から帰るとき、
「お父さん、ありがとう」
たとえ父が怒っていても、
小言を言われても、
感情を抑えて
とにかく「ありがとう」と言い続ける。
それは最初、感謝の気持ちがこもっていない、
ただ 形だけのものでした。
むしろ、内心では
腹立たしさすら感じていたこともありました。
そんな「ありがとう」を続けて
1年ほど経ったある日...
実家を出ようと立ち上がった時、
父が先に「ありがとう」と言ったんです。
その時は本当に驚きました![]()
その帰り道、私は車を運転しながら、
心が温かく、幸せな気持ちで満たされていくのを感じました![]()
自分が先に出したものが返ってくるー!
「人は鏡だ」
ということを実感した瞬間でした。
そして、父が亡くなる日の明け方。
私は誰かに手を握られる感覚で目を覚ましました。
「ありがとね」という言葉と
一緒に握られた手🤝
その感覚は間違いなく父のものでした。
嫌な予感がし![]()
すぐに父の入院している緩和病棟へ
向かいました🚗![]()
不安を振り払うかのように、
明るい色の服を着て🌈
その日
父はこの世を去ってしまいました。
後に、緩和ケアの先生から
「その握手は間違いなくお父さんだったね」
と言われ、号泣![]()
振り返ると
最初は、気持ちのこもっていない
「ありがとう」でしたが、
それを習慣として続けたことで、
父との関係に少しずつ
変化が生まれていったんだと思います。
「ありがとう」という言葉には、
本当に力がある。
人と人を結びつけ、心を温かくする強力な言葉。
言葉の力は、私たちが思っている以上に、
相手の心に深く響くのだと
父との奇跡
で学びました。
