平和な家族物語

平和な家族物語

家族のつながりが希薄になるこの時代。
日本の家族のありかたを見据えて

みんながハッピーになる
そして心が平安になることを
願って、新たな家族のつながり
喜び合いをお伝えします

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8年程前、VIPクラブという異なった業種の会社が集まって交流する会合での出来事です。


私はその会合で司会の担当でしたので、講師のお話しの前に秋にふさわしい童謡をハーモニカで演奏ができたらと考えました。しかし、私の周りには、そのようなハーモニカの演奏者を見つけることはできませんでした。面白い企画だったのに、もう無理かなと諦めかけていました。


VIPクラブの会合の前日、心斎橋を歩いていますと、群集の合間から、美しいハーモニカの音が聞こえるではありませんか。急いで音色のする方へ走っていきました。すると地下鉄の入り口のところで、薄汚れた洋服とは対照的に澄んだ音色を響かせている一人の老人が目に留まりました、


「おじさんうまいね。好きな曲をどんどん吹いてみて」とお願いしました。

うれしそうにハーモニカを吹くおじさんの顔を見ながらそうだ このおじさんに明日の演奏を頼もうと


「おじさん、明日私の司会をする集まりでハーモニカを吹いてくれませんか?」


いや いや わたしは そんな大勢の皆さんの 前ではふけないよ。」「いいや おじさんは、りっぱな 大道芸人ですよ。そういわずにお願いします。」


何度か 押し問答の末、その会合で ハモニカ演奏をしてくれる約束を やっと取り付けることが出来ました。 

さて翌日、会場では、私の背広をきて緊張気味のおじさんが スタンバイしていました。いよいよおじさんの出番です。「秋の夕日に照る山もみじ・夕焼け小焼けの赤とんぼ」など数曲を演奏してくれました。会場は すっかり秋モード。背広姿のビジネスマンが、どの顔も笑顔で ハーモニカ演奏に 聞き入っています。おじさんからは、「演奏が終わったら、さっさと帰るよ」といわれていました。


しかし、演奏が終わった後の、立食パーティーにも参加してくれていました。パーティーの席では、会場で数人の人々に囲まれて、リクエストに応え、首を振り振り、精一杯演奏しています。歯の抜けた口でハーモニカをしっかり加えて・・・実に嬉しそうに、黒い顔に笑顔が一杯でした。



会合が終わり、おじさんを送るために二人で車に乗りました。

車の中では、「今日は楽しかった。 本当に楽しかった。 沢山の人がわしのハーモニカを聞いてくれた。」と 何度も何度も嬉しい思いを伝えてくれました。 

車から降りるときに、おじさんが急に手を出して、



田路さん、お前はいいやつだ。お前は、わしの友達だ。親友だ。神様はいるよ」と言いながら目にいっぱい涙をためて顔をくしゃくしゃにして車の中で二人抱き合うように肩寄せあって祈りました。


「神様今日の一日ありがとう!!わしは今日神様を信じます。さびしい時もうれしい時も困った時もいつもともにいてくださる神様を信じます」と


 そして出会った地下鉄の階段の方に向かって歩いていきました。それから2週間程 おじさんと出会った心斎橋の地下鉄の階段出入口におじさんを探しにいきましたが、一度も姿を見ませんでした。もしかして、あのおじさんは天使だったのでしょうか? 



秋色に染まった街路樹を見るたびに郷愁を帯びたハーモニカの音色が今でも私の心の中に響くのです。


平和な家族物語