太陽がぎらぎらと眩しく輝いていた。ぼくは父さんの車の横に立っていた。エンジンを掛けっぱなしの車は、ブルブルと低い音をたてていた。
まだ舗装のされていない道は、ずっとずっと真っ直ぐで、その始まりと終わりは森の中に消えている。
道の両脇には田んぼが広がっていて、その両端はずっと向こうの森まで続いているように見えた。
稲の葉が、太陽の光を反射してキラキラと光っていた。
車の中の掛けっぱなしのラジオから声が聞こえてくる。男がけたたましく早口で話し女の人が笑う、それの繰り返しだった。
ぼくは車の影に隠れるように座り、汗でべとべとになったシャツを両手で掴んでパタパタとおなかや背中に風を送り込んだ。
父さんがぼくに待つように言って、もう随分時間が経つ。
ぼくは少し後悔していた。「やっぱり、母さんと家にいればよかった。」小さな声で独り言を言った。
車の影から空を見上げると太陽がそこから動くのを止めた様にさっきと同じ場所でぎらぎらと輝いている。時々思い出したように車が通り過ぎるだけで、まるで時間が止まっているようだった。ずっと同じ時間の中でじっとしているような感じがしてきた。
あれっ、ぼくは座ったままで首を回し車の中をみた。ラジオからGilbert O'SullivanのAlone Againが流れてきた。その次がAmericaのA Horse With No Nameだった。少し気分が良くなってきた。日差しも心持ち柔らかくなった感じがした。
「もう少し、このままでもいいかな」NilssonのWithout Youを聴きながらそんな気分になりだしていた。
涼しい風が僕の顔をくすぐるように吹いていった。稲の葉がさわさわと揺れた。シャツの汗もとうに乾いていた。
父さんが戻ってきたら言おう「少しも退屈じゃなかったよ」って。
Gilbert O'Sullivan The Best of Gilbert O'Sullivan
Alone Againは、シングルのみでの発表だったので、オリジナル・アルバムには入っていません。ベスト・アルバムでなら聴く事が出来ます。
America Definitive America
素敵なアルバムが多いのですが、廃盤も多いようです。
Harry Nilsson Without You
一癖も二癖も有るので(笑)、ベストから入るのが楽じゃないのかな。
