成熟とあの頃がいい塩梅!

 

熱心な洋楽ファンでなくとも誰もが知っているアメリカのバンド、Green Day(グリーン・デイ)による14枚目のスタジオ・アルバム“Saviors(セーヴィアーズ)”。



高校生の頃に“International Superhits!”で出会い、“Dookie”まで遡って過去作を買い漁り、“American Idiot”からはリアルタイムでCDを購入し現在まで追いかけ続けている。

ある意味、Good Charlotte(グッド・シャーロット)やFall Out Boy(フォール・アウト・ボーイ)に並ぶ青春を共にして来た思い入れのあるバンド(笑)



1."The American Dream Is Killing Me"
壮大でワクワクさせるアイリッシュっぽいイントロから期待値が爆上がり!構成は“American Idiot”や“¡Tré!”に通じるロック・オペラ。素晴らしい幕開け!

2."Look Ma, No Brains!"
現代の"Nice Guys Finish Last"だ!“Nimrod”期のような爆走チューン!これぞ待ってましたなグリーン・デイ節!ヴァースのミュートギターのザクザク音だけでノックアウト(笑)

3."Bobby Sox"
まるでピクシーズやウィーザーのようなオルタナティブ・ギター・ポップをやってる!
しかも様になっていて、サビの叫びもGood!ギターソロもナイス!

4."One Eyed Bastard"
グリーン・デイ流ハードロック!単音ギターリフで押す曲って割と初じゃないか。サビのメロディはまるで“Holiday”のようだ。
シンガロング必須のギャング・コーラスもカッチョイイ!随所に酔いどれアイリッシュ・パンクも感じさせる。

5."Dilemma"
どこかで聞いたことのあるような優しいメロディ。ビリー・ジョーのクリーントーンによる弾き語りから、サビで一気に爆発。グリーン・デイ流グランジ?激しいディストーションの中にも、そこはかとなく哀愁メロディはやはりグリーン・デイならではだ。
こちらも単音ギターソロが素晴らしい。超絶簡単なのに曲にぴったりと寄り添っている所に好感が持てる。

6."1981"
紛うことなきポップ・パンク!ポップ・パンクに求める陽性メロディと性急なリズムのすべてを体現した、これぞポップ・パンクの教科書だ!

7."Goodnight Adeline"
    "Boulevard of Broken Dreams"の時から取り入れている、オアシスからの影響大のアリーナ・ロック・バラード!ボトムが利いていて、トレ・クールがいい仕事してる!こちらも、テクニックに任せないシンプルなギターソロが良し!

8."Coma City"
ニュー・ウェイヴ風イントロから激走ポップ・パンクへ!この壮大なリード・ギターで引っ張っていくような曲っていままでなかったかも。
タイトルの合いの手は思わず一緒に歌ってしまう(笑)マイク・ダーントのベース・ラインもクール!アウトロのジャムもロックだ!

9."Corvette Summer"
グリーン・デイ流AC/DC!でもメロディはグリーン・デイ印がそこかしこにあるから安心のクオリティ。
イースト・コースト・ロックっぽさもあり、今作で最も風通しが良く開放的な楽曲!ここでも、やはりシンプル・イズ・ベストなギターソロ(笑)

10."Suzie Chapstick"
イントロから名曲確定の哀愁だだ漏れバラード!サビのコーラスは、まるでジョン・フルシアンテのように美しく枯れている!グリーン・デイの中でも一二を争う名曲!シンプルな単音ギターソロも哀愁に華を添える!

11."Strange Days Are Here to Stay"
"Basket Case"かよってくらい、全く同じ展開だが(笑)、これを今演ることに大きな意味があるような気がする。
誰をも納得させるメロディと演奏に脱帽!またまたシンプルなギターソロ(笑)今作、ギターソロが多いううな気がする!しかも耳に残る印象的なメロディ!

12."Living in the '20s"
今作中、最も怒りが感じられるガレージ・ロック!!ミドルテンポのギターリフで押しまくる展開とビリー・ジョーの叫びのカッコよさといったら!
ギターソロもハードロックしていて、ガレージとハードロックのさじ加減はまるでJET!

13."Father to a Son"
アコギの弾き語りから徐々に音のレイヤーが重なっていく壮大なバラード。ストリングスも大胆に導入し、ビリー・ジョーの優しい温もりのある声が堪能できる。
アウトロのギターソロなんか完全にオアシスだ(笑)

14."Saviors"
タイトル曲ではあるが、今作中では最も地味な印象(笑)ただし、曲のクオリティが低いというわけではなく、「コレ◯◯っぽい」と当てはめることができないから感じることで、水準以上の曲なのでご安心を!

15."Fancy Sauce"
ラストを飾るに相応しいスロー・バラード。サビで合いの手のように入るギターリフがいい味出してる。ヴァース部分なんかまるでワルツのようだ。

16."Fever"
国内盤ボーナス・トラック。
今曲だけ、前作“Father of All Motherfuckers”でタッグを組んだブッチ・ウォーカーがプロデュース!前作のモータウン、ガレージ・ロック調ではなく、まるでAC/DCのようなギターリフと、まんまフィル・ラッドなドラムが心地良い!
サビの陽性メロディが素晴らしく、個人的には本編の14."Saviors"
と入れ替えてもいいのでは?なんて思ったり(笑)
セカンド・ヴァースのベースの入りがクール過ぎ!



本編とは関係ないけど、洋楽もCDが遂に3,000円台突入か〜財布に辛すぎる…。そりゃ盤離れも加速するよな〜。でもなぜかサブスクには手が出せない。所有欲なのかCD買ってしまう自分は時代遅れ、かつ金の無駄遣いでイカれているのかと自問自答…。

個人的には擦り切れるほど愛聴しまくった“American Idiot”以来の傑作の誕生だと確信している!
“Dookie”も当然素晴らしいけど、自分としてはやはりリアルタイムで聴いた“American Idiot”には叶わない。

ロブ・カヴァロのミックスも、“Insomniac”や“Nimrod”の頃を思い起こさせ、青春時代にタイムスリップしそうだ(笑)

年齢を重ねても、これほど瑞々しいロックを生み出せるグリーン・デイには本当に敬服するしかない!

15曲46分(ボーナス・トラックを除く)と、前作と真逆の大ボリュームなのに、中弛みせず一気に聴けてしまうのは、今作が各曲バラエティに富んでおり、捨て曲がないという証拠!
他アーティストを含めて、ここ最近感じることのなかった何度も繰り返し聴きたい中毒感があり、ホントあっという間に聴き終えてしまうという不思議!

評価★★★★(星5つが満点)

オススメ曲
10."Suzie Chapstick" 
この曲の哀愁コーラスをしたくて、すぐにギターを引っ張り出して弾いた(笑)
現在属しているコピー・バンドで必ずカバーしたい曲!ホント名曲!

2."Look Ma, No Brains!"
“¡Uno!”でも感じたけど、やはり青春時代を思い起こさせる、全人類がグリーン・デイに求める音が鳴っているから、これは外せない(笑)