ストーリーとしては、事故死したモデルが着用していた赤いドレスが百貨店で販売され、着用した者に死をもたらしていく、という内容でよかったのだろうか?観た後も、いまいち全容が理解できず(笑)

 

 

というのも、やたらとサイケ感漂う音楽と、繰り返される百貨店のセールCMの荒いアップの映像によって、ただでさえ気が狂いそうになるのに、百貨店の美しい女性店員が実はスキンヘッドで・・・実はマネキン?しかもその女性店員は、マネキンを使って老オーナーと変態的な行為をしているしで、シンプルなストーリーのはずが、複雑な孤高のアート作品を観せられているような気持ちになる。

 

 

赤いドレスを所有することになる二家族を軸に2部構成となっており、前半は息子を女手一人で育てる銀行員の黒人女性シーラに起こる悲劇を、後半は洗濯機の修理工レッグとその妻バブスの地味な夫婦に降りかかる摩訶不思議な現象が描かれている。特に後半からサイケ感が増してくる。まだ、序盤の黒人家族に起こる悲劇は、ああ~なるほど、呪いで死んでしまったのね、と納得のいく内容ではあったが、後半からが、今作の本領発揮といったところなのだろう。

洗濯機の修理工であるレッグの、延々と述べられる故障した理由と修理の説明が、修理を頼んだ若奥様はもとより、男たちまでも気付かぬうちに魅惑の呪文のように虜にしてしまうという、なんともイカれた設定からして意味不明すぎる(笑)

 

 

かといって、途中で観るのをやめたいと思うことは無く、最後まで何かを期待して観させてしまう謎の魅力。赤いドレスの呪いで交通事故死するシーンも地味だし、洗濯機が音を立ててぶっ壊れたり、フロアが火事になるくらいで、結局最後までこれといってホラーだ!スリラーだ!といった分かりやすい現象が起こるわけでもない・・・。この不思議な感覚は酩酊状態で何も考えられずフワフワした感覚に近いかもしれない。

 

ホラー映画という括りにはなっているようだが、「赤いドレスを身にまとうことで呪いが降りかかる」というストーリー以外にホラー要素はほとんどなく、どちらかと言えばブラック・コメディ的なノリを楽しむ作品かもしれない。

ハマる人はハマるが、分からない人にとっては一生分からない謎のゴミ映画として終わることだろう。自分は申し訳ないが後者に近く、あまりにも独創的過ぎてこの世界観に置いてけぼりにされてしまった(笑)迷宮入りした記念すべき初の作品!

 

 

女性店員のゴシックで官能的な魅力と、レトロな衣装や小道具(金属の筒に代金を入れ、機械に放り込むとお釣りが出てくるという仕掛けは面白い!)、ラストの火事のドタバタ感は楽しめた。

 

評価★★(星5つが満点)