3人の化学反応による濃密な21分間!

 

Julien Baker(ジュリアン・ベイカー)、Phoebe Bridgers(フィービー・ブリジャーズ)、Lucy Dacus(ルーシー・ダカス)、3人のシンガーソングライターによるグループ、ボーイジーニアスの1stEP“ボーイジーニアス”。

 

 

現時点でフィービー・ブリジャーズの1stしか聴いていないため、ジュリアン・ベイカーとルーシー・ダカスのソロ作品は未聴。フィービー・ブリジャーズの2ndを聴く前に、彼女のそれまでの参加作品を聴かねばと思い2ndと同時購入した。蓋を開けてみれば、EPだし…と購入を迷ったことがアホらしくなるくらい、本当に素晴らしい作品だった!

 

 

1. "Bite the Hand"

ルーシー・ダカス メイン。歪ませた無骨なギターが全面に出たロック曲。演奏も重たく、歪んだギターが重ねられていて時に不穏に鳴り響く。

 

2. "Me & My Dog"

フィービー・ブリジャーズ メイン。ソロと基本路線は一緒だが、二人の美麗なコーラスが加わることで、更に壮大で哀愁たっぶりに響く。ここでもバンドサウンドがエモーショナルに支える。

 

3. "Souvenir"

ジュリアン・ベイカー メイン。初めて彼女の声を聴いたが、一瞬で虜になった。人をどうしようもなく引き付ける儚くも魅力的な声だ。

アコースティックギターとバンジョーによる、ライアン・アダムスが歌っていても不思議ではない優しく包み込むようなカントリー。聖歌隊のように荘厳なコーラスワークが素晴らしい。

 

4. "Stay Down"

ジュリアン・ベイカー メイン。ピアノの弾き語りから始まる物悲しい影のあるエモーショナルな楽曲。ジュリアンの絞り出すような歌声が胸を締め付ける。

徐々にバンドサウンドが入ってきて、更に天上高くエモーショナルに盛り上げる。ラストのジュリアンの「ステイダーウン!」の叫びに完全に心を持っていかれる。

 

5. "Salt in the Wound"

ルーシーダカス メイン。歪んだギターで弾き語る。これが彼女のスタイルなのだろう。ここでもコーラスが美しい。3人とも個性があるのに、よく作品としてまとまったなぁと関心。

セカンドヴァースはジュリアンへ。やはり彼女の表現力が凄すぎる。感情を隠さず歌う叫び声といったら。まるでシューゲイザーのように狂いながらディストーションギターが鳴り響くラストは圧巻。

 

6. "Ketchum, ID"

フィービー・ブリジャーズ メイン。やっぱりこの声好きだ。少し掠れていて線が細いようで力強さも合わせ持った魅力的な声。先程の喧騒から一変、静寂の一時へ誘う。

セカンドヴァースのルーシー・ダカスの太い声も優しく囁くように歌われて引き込まれる。

 

 

もっと内に籠もったプライベートでアコースティックギターでの弾き語りメインの楽曲が占めると思っていたが、いい意味で裏切られた。しっかりバンドサウンドで作り込まれているし、まずもって緩急がついていてとにかく聴きやすい。

 

フィービー・ブリジャーズ目当てで購入したが、特にジュリアン・ベイカーの突出した才能に驚かされた。

フィービー、ジュリアン、ルーシー3人の突出したシンガーソングライターが、あえて3人で演奏して唄う理由が聴けば分かる!願わくば、今作だけのプロジェクトで終わらず新作のリリースを期待したい!

 

 

オススメ曲

2. "Me & My Dog"

フィービー・ブリジャーズの1stは、アコースティックギターの弾き語りがメインだった。曲調はソロ作の延長だが、バンドサウンドで演奏されることでエモーショナルに響き、更に多くのリスナーに開かれたロックソングとして仕上がっている。

 

4. "Stay Down"

ジュリアン・ベイカーというシンガーソングライターの底知れぬ才能を感じずにはいられない楽曲。物悲しいピアノの旋律に負けない、今にも壊れそうで繊細な彼女の声。終盤にかけては力強さが加わり、切迫感に圧倒される。バンドサウンドもエモーショナルの一言に尽きる!

 

評価★★★★(星5つが満点)