父親が亡くなったとの知らせを受け、自家用セスナで家族とともに故郷の村へ向かうマーキスだったが、嵐に襲われ墜落してしまう。目覚めると、誰の家か分からない屋根裏部屋に一人監禁されていた。マーキスは、家主の老婆エロイーズに、何度も家族を探したいと訴えるが聞き入れてもらえない。さらに彼女は怪しげなフードゥー教の呪術で彼を治療すると言う。エロイーズにフードゥー教の呪いをかけられたマーキスは、家族を救うため常識の通じない不気味なエロイーズたちに立ち向かう、というホラー。

 

 

今作で取り扱っている呪術について、ブードゥー教じゃなくて、「フードゥー教」らしい。あと、サム・ライミ監督作品の「スペル」とは全く別の作品。いろいろな意味で、「じゃない方」の作品(笑)

 

家主エロイーズの常軌を逸したイカれ具合が凄まじい。夜な夜な村人たちを集めて、動物を殺しその体の一部や血液を使って怪しげな儀式はおこなっている。彼女の呪術に心酔し崇拝している村人たちの姿は異様で不気味だ。

また、エロイーズは、いつの間にかマーキスに似た人形を作成。しかも、人形を傷つけると、マーキスも同箇所が痛むといった藁人形仕様。

さらには、マーキスに食事を与えるのだが、実はその材料はマーキスの息子の手!お腹を満たしたマーキスが、息子が掘っていたタトゥー入りの肉片を見つけるシーンの絶望感といったら・・・。

 

 

中盤、マーキスは足にぐるぐる巻きにされている包帯を解くのだが、自由に歩けないようにするために足裏に釘が刺されていたのだった!痛みに耐えながら、恐る恐る釘を抜いていく。ヌルヌルと化膿した膿と血が大量に飛び出してくる。しかも釘がやたら太くて長いため、抜くまでに時間がかかるのだ・・・。苦痛に身悶える。

ここで彼に更なる悲劇が!エロイーズが包帯を替えると言うのだ。気付いたことがバレないよう、さっき抜いたばかりの釘を再度自身で刺されていた足裏の穴に刺しなおすシーンといったら・・・。どうしても奥まで刺さらないため、ベッドの端を思いっ切り蹴って奥まで突き刺す・・・。彼と同様、観る者も苦悶させる最強の演出(笑)

 

 

待ってました!の復讐劇の幕開けは、エロイーズの言いなりで魂が抜けたような夫から!マーキスは催眠にかかったふりをして、隙を突き手に隠し持っていたナイフで一刺し!サイコーすぎる!

 

お次は、彼らの仲間であった警察官!ナイフでぶっ刺して切りまくる!お見事としか言いようがない!ストレス解消で大興奮!

 

続いて、不気味な巨体の使用人!一番強そうだったが、マーキスお手製使用人版呪いの人形を水浸けにすることで、あっけなく溺死。

 

そして、待望のラスボス、エロイーズ!彼女が得意としてきた呪術をかける薬品とこれまた呪いの人形を駆使して復讐を果たすシーンは最高のカタルシスを味わうことができる。まさに目には目を!

 

 

今作、このラストの復讐劇を観るために存在しているといっても過言ではない!このカタルシスは、ジョーダン・ピール監督の「ゲット・アウト」と近いかもしれない。「ゲット・アウト」ほどの不気味さは残念ながら今作には無いが、これまで苦しめられた復讐を果たしていく過程の興奮度は共通している部分がある。

 

1時間31分という短さの中での、起承転結の配分も素晴らしい。ラスト、スカッとすること間違いなしのエンターテインメント・スリラー!

 

評価★★★★(星5つが満点)