懐かしさと新しさが同居したネオ・ポップ・パンク!

 

アメリカはオハイオ州出身の、マシン・ガン・ケリー(以下MGK)による初のポップ・パンクアルバムである5th“Tickets to My Downfall”。

 

 

いやーたまげた!

ここまで本気のポップ・パンクをやっているとは!しかも全編ブリンク182のトラヴィス・バーカーによるドラムときた!

絶対にヒップホップ色も入りのハイブリットな感じかと思ったいたから。確かにところどころトラップ要素がなくはないし、エイリアンとマリファナについてのふざけた会話のインタールードもあったりする。けど、そんなことどうでもいいくらい瑞々しい青春のサウンドを鳴らしている。

 

自分たちがブリンク182やグッド・シャーロット、シンプル・プランを貪るように聴いて青春を過ごしたように、いまの10代の奴らはこれを聴いて青春を謳歌するんだろうな。なんか羨ましくなってきた。

 

 

1."Title Track"

オープニングから純度100%のポップ・パンクが押し寄せてくる。

 

2."Kiss Kiss"

シンセのようなリードギターと、分かりやすいサビが超キャッチー。

 

3."Drunk Face"

サビで盛り上がる訳ではないけど、哀愁があり、聴き入ってしまう。

 

4."Bloody Valentine"

MGK流ブリンク182オマージュソング。イントロのアルペジオから完全にブリンク節全開!

そしてトラヴィス・バーカーによるサビのドラムテクは、毎度のことながら人間技じゃない(笑)

 

5. "Forget Me Too" (featuring Halsey)

これ聴いて胸が熱くならないポップ・パンク・ファンはいないんじゃないかな。リズムギターのミュートからプンプンと漂ってくる、あの頃熱心に聴いていたポップ・パンクと、そんな音楽をBGMに過ごした青春と苦い思い出が一瞬にして戻ってくる。ホールジーの高音ボイスも、MGKの低温ボイスと相まってアルバム全体のいいアクセントになっている。彼女が入ってくると完全にパラモアだな(笑)

 

6."All I Know" (featuring Trippie Redd)

途中トラップ・ボーカルが入ってくるが、ポスト・マローンを聞き慣れている自分としては、違和感なく受け入れられる音作り。

アウトロなんか完全にポップ・パンクとトラップの融合。

 

7."Lonely"

ここでは打って変わって壮大なロック・バラードへ!大文字のロックを高らかに鳴らしていて、MGKがスタジアムを掌握する姿が容易に想像出来る。ここでも、中間のドラム・ソロの妙技っ!

 

8."WWIII"

説明不要なテンションかブチ上がるファストなポップ・パンク!惜しげもなく、ポップ・パンク愛を放出!

 

9. "Kevin and Barracuda" (Interlude)

アホな会話のインタールード。ここでヒップホップ・アーティストの悪い癖が発生(笑)

 

10."Concert for Aliens"

後半戦。おー、涙なしには聴けない。待ってました。あの時にタイムスリップ!

特にサビ前がエモーショナル。この単曲だけだと、サビで連呼する「ローラーコースター」繋がりで、ブリンク182の“ローラーコースター”に勝ったんじゃ?(笑)

 

 

11."My Ex's Best Friend" (featuring Blackbear)

楽曲を最後まで引っ張るミュートギターは完全にポップ・パンクのそれだが、トラヴィス・バーカーが叩くリズムはトラップ使用。それでも違和感なく受け入れられるところ、流石はポップ・パンクとヒップホップの橋渡しをしてきた第一人者トラヴィス兄貴。ラップはブラックベアが唄い、ここでもMGKは得意のラップを封印している。(それらしい唄いまわしすらない)今作はポップ・パンクをやるんだ!という決意が伝わり熱くなる。

 

12. "Jawbreaker"

シンプルなポップ・パンクに、サビではシンセが壮大に盛り上げる。それでもMGKはクールに、いい意味で抑揚を付けず低音ボイスで男らしく歌い上げる。

 

13. "Nothing Inside" (featuring Iann Dior)

純粋なポップ・パンクにみせかけ、こちらも2ヴァースからトラヴィス・バーカーによるトラップのリズムになり、ゲストボーカルもおそらくトラップ・ミュージシャンなのに、声はそれらしく加工しているがなぜかラップはせず(笑)

フューチャリングいる?MGKだけでええやん!と思わず突っ込みたくなるが、楽曲自体素晴らしいので良しとする(笑)

 

14. "Banyan Tree" (Interlude)

男女の会話が始まり、はよ終われやと思っていたら、優しいアコギのストロークが入り壮大なサビが突如として入ってくる。そしてあっさりとフェードアウト。このメロディで一曲作れそうなくらい素晴らしいメロディ。

 

15. "Play This When I'm Gone"

ラストにふさわしいアコギメインの弾き語り。優しいメロディとアウトロの「アイミスユー」の熱い連呼に酔いしれ、アルバムは終了する。

 

国内盤ボーナス・トラックのパラモア“ミザリー・ビジネス”のカバー、サビの野太い叫びがエモーショナルでかなり様になっていてびっくり!

リアーナのカバーは別にいらんな(笑)

 

2000年代前半から音楽シーンを席巻したポップ・パンク、エモの高音ボーカルに耳慣れている身としては、ラップする時と同様、あの低音ボイスで唄われるポップ・パンクは、どこか新鮮に響く。

それに、従来のポップ・パンクにあった、サビで高音に切り替えて、かつ多重コーラスを用いて一気に盛り上げる、といった分りやすい起伏がないのも面白い。そんな分りやすさがないにも関わらずキャッチーに響くのは、やっぱりメロディが尋常じゃないくらい磨かれているからだろう。これ、凄い離れ技だと思う!

 

 

更には、ブリンク182のトラヴィス・バーカーの超絶技巧のドラムテクニックが全編に渡って聴けるのも、相当贅沢!

 

この時代に(だからこそ)ポップ・パンクに新たな息吹を与え、こんなにも無条件に気分を高揚させてくれる音楽を創ってくれてありがとうMGK!

 

オススメ曲

捨て曲なしのため、選ぶのがめちゃくちゃ難しかった。哀愁のあるバラードが大好きなので、あえてこれで!

 

7."Lonely"

関係を修復して間もなく他界した父に孤独で寂しいと訴え、あなたと代わりたいと訴える壮大なサビが胸を打つロック・パラード。

不器用で切実な声だからこそ、胸に迫る!

 

評価★★★★★(星5つが満点)