交通事故に遭い記憶を失い目覚めたリアムは、助けを求めるため近くの町に向かう。しかし目に入るのは住民の死体ばかりで、ようやく見つけた生存者も、彼が近寄った途端に死んでしまう。最初はウイルスだと疑っていたリアムだったが、自分の半径15メートル以内に立ち入った者が即死してしまうことに気付く。なるべく人から遠ざかっていたリアムだったが、近づいても死なない女性ジェーンと出会い、同じく記憶喪失の彼女とともに、この現象について解き明かそうとする。



主人公リアムが、ひっくり返った車から這い出て、助けを求めた車の運転手が死んでいたり、ダイナーの客か死んでいる姿を発見(実際はリアムが近付いたことにより死亡した)する冒頭シーンから掴みはバッチリ!正体不明の恐怖に一気に心を鷲掴みにされる。

 


その後も、記憶を取り戻すための葛藤、警察からの逃避行など見せ場が盛り沢山で、最後まで飽きずに鑑賞することができた。
リアムの能力は、ジェーンといることで抑えられることがわかり、以後離れず行動を共にするのだか、病院のエレベーター内にリアムだけ取り残されてしまい、ジェーンが階段であたふたするシーンは何だかドタバタコメディのようだった(笑)

今作が凄いのは、なんと言ってもシャマラン監督作品ばりのありえない設定が非常にリアルに感じられる点だろう。
リアムに近付くと即死し、どの死体も目が濁っている。苦しんだりしないし、血を流さずスッと意識を失うように死亡する。決して目を引いたりど派手な演出かあるわけでもない。だからこそ異常にリアルなのだ。



ジェーンが実は双子で、実は姉はリアムによって殺されたという事実。命の恩人が実は逆に殺人鬼だった、という設定はサスペンスあるあるだが、まさか今作でも発動されるとは(笑)

リアムがすべてを終わらせるため拳銃で頭を撃ち抜き、そのまま余韻もなく終了するラスト!あの後更にダラダラと話が続いたら興ざめしていただろう。さすが、よく分かっている!
また、空から降ってきた光と超能力の不思議についてあれこれ謎解きがなかったのも、これまたよく分かっている!不思議なものは不思議なままで。それで良いのだ!



一時間半という長さの中で、二人が記憶を取り戻していく過程、そして自分自身とどう折り合いをつけていくかを、コンパクトにうまくまとめて描いている。

基本シチュエーションスリラーではあるが、サスペンス、SFとしても楽しめる良作!

評価★★★(星5つが満点)