あの日の出会いから10年後、わたし達は結婚することになった。


10年前、美しかった彼は今もまだ美しい。


少し翳りを帯びつつも、鍛え上げられた体に、小さな整った顔。優しい笑顔はあの時と変わらない。


1年前の夏、もしあの時偶然あなたが私を見つけなかったら、今のわたし達はいない。


恐い時や大変な時に頼れる人。守ってくれる人。家族が出来るってなんて心強いんだろう。


信頼しあい、尊敬しつつ、半分の嘘も情も含む、わかりあってるがゆえに期待の無い気楽なわたし達の結婚。


たまにこのまま結婚していいのか気が狂いそうになるけど、あなたのやさしさや笑顔に触れ、彼がどれだけ幸せかを語るたび、


それだけで幸せな気持ちになる。


もし他に心惹かれる人が出来たなら、どうぞ行って下さい。


そんなことでわたし達の関係は今更壊れない。


なぜなら体だけ惹かれてしまう情熱は、そう長くもたないということがわかるほどにわたし達は大人になったから。


今、他にデートしている心惹かれる男が2人いるけど。


若さや楽しい会話、恋が始まる前の駆け引き。


こんな楽しいことを結婚するからってしちゃいけないなんて、誰が決めたの?


もし相手が傷つかないようにと、一途になり、それがお互いを束縛し、諍いの発端になるなら


恋愛も結婚もしないほうがまし。


女は体で嘘がつけないから、肉体関係はそうそう持てないけど。


でも、楽しくデートして、話が盛り上がって、語り合って、お互い何かを高めあい、勉強できるなら


旦那や恋人以外にも出かけるべきだ。


セクシーな会話もうまくかわし、情熱的なくどき文句を跳ね除け、それでも慕ってくれる年下の男の子達。


そしてそれを何もかも許してくれる年上の紳士達。


私に何か起こればすぐに駆けつけてくれる素敵な旦那様。


今私は最高に幸せな女だ。



足がくさい!!!!


靴を脱いだ瞬間、尋常ではない強~~~烈なにおい!!


部屋中にしみつくのでは?と、思われたので彼の靴を部屋の外へこっそり出す。


ふう。。。どうしよう。今更帰れっていうのも可哀相だし。


でも、そのくさい足でわたしのベッドに入られるのもイヤ。


あぁ、なんてことだ。。。


その夜、人の良すぎるわたしはリビングのソファで寝て、彼にベッドを貸してあげた。


次の日シーツを即効洗濯に出したのは、言うまでもない。


朝になり、やんわ~りとお風呂に入らせようとしたけど、No!と言ってシャワーも浴びないし歯も磨かない。


まあ、ベニスに友達がいたらいいなぁ、ってぐらいだったけど。


友達すら無理。。。かも。。。


その後、何度となく連絡をくれたけど、やんわ~りとフェイドアウト。


今まで皆ものすごく清潔だったせいか、かすかに体臭がにおったりすることがあっても、ここまでひどい人にはお目にかかったことはない。


いつか誰かが、彼の為に「もの~~すごく、くっさいですよ!」と言う日が来ることを祈ります☆


ハワイとプエルトリコから来ていた男友達3人で、食事に行こうとタクシーに乗りお店の前に着いたその時。


道端から車中をのぞく男性が。


けげんな感じで見返し目をこらすと、時折思い出し、忘れたことの無かった美しい横顔を持つイスラエル人の彼が笑顔で立っていた。


「うわ~!変わらないね、相変わらず君は綺麗だ!」


「あなたも全然変わらない。すごい偶然!!」


抱きしめ合い、お互いの頬にキス。


ちらりと私の男友達に目をやり


「君の番号は何番?」


彼に番号を渡し、とっさに彼の名前が思い出せなかった私は


「スペルどうやって書くんだったっけ。。。?」


彼は苦笑いで名前のスペルをゆっくり私に伝え、「電話するよ。」あのとろける様な笑顔と共に去っていった。


それから3ヶ月間、彼の作った美しい家具がシンプルに飾られた部屋で時折愛し合うようになった。


私はいつも花束と共に現れ、彼はいつも冷えたシャンペンを用意して。


ロマンチストで繊細な彼の性格、笑うと出来る優しい目じりの皺、兵役にいた頃の口元の傷と美しい筋肉がしまった裸体。


こんなに素敵なのに、なぜか夢中になれない。


だから時折連絡を絶ち、その間に若くて可愛い日本人モデルやイタリア人の男の子達と一緒に過ごす。


そして、やっぱりイスラエルの彼の居心地の良さ、女の扱いに手慣れたスマートな振る舞いを恋しく思った頃


彼からの電話。「どうしてる?最近会ってないね。」


それから約束の日に電話せず、何日か過ぎてクリスマスイブ。


「この間はゴメンなさい。何してるの?」


「家にいるよ。待ってる」


「じゃあ、行くわ。」


2時間後、1ヶ月ぶりの彼と抱き合う。


お互いの仕事の成功と新しいスタートを祝して乾杯し、とめどないゆるやかな会話。


太ももの筋肉が痛いからオイルマッサージして欲しいというので、彼のたくましい太ももにオイルをたらしゆるやかにマッサージ。


時折彼のアンダーウエアの下に指をすべらしながら、上半身も脱がせキスをしながら優しくなでてあげる。


「Feel so good.Now you turn me on.」{気持ちいい、興奮してきた}


「Yeah,Me too.」


でもなんだろう、彼が優しくすればするほど、頑張れば頑張るほど冷めていく。。。


イケナイ私に気付いた彼は途中で止めてくれ、抱き合いながら眠る。


しばくして寝ている彼をゆっくり犯し始める。


自分の好きなように。


お互い同時にいった時、お互いが思いやりあってることに気が付いた。


贅沢なようだけど、わたしはそれを彼には求めていない。


自由奔放に、わがままに、お互い自分勝手に振舞うのがわたし達だったから。


優しさは自信の無さの裏返し。


素敵な彼だからこそ、いつまでも強気でいてもらいたかった。


3月にある彼のショーまで、会うのはやめよう。


その時は素晴らしくドレスアップして、お互いの再会をまた楽しみにしていよう。