救済 | タイタンを遠くはなれて。

救済

 系統的な訓練を積み重ねることでしか、

たどり着けない領域は、確かにある。

僕はそれを信じているし、

それだからこそ、今の単調な訓練生活に

耐え続けるこができるのだと自分で思う。

でも、僕は「努力」っていう言葉が嫌いだ。

村上龍さんが言ってたけど、

「才能は努力を要求するけど、

努力で才能が生まれることは決してない。」

っていうのはホントだと思うよ。

僕は、だから むだな努力って嫌いなんだ。

僕は、才能が服をきて歩いているような

人が好きなんだ。

そういう人をみると、本当にすごいと思う。

羨ましいってニュアンスとは違うけど、

ある種の残酷さを感じる。

「この人は、僕が欲しくて欲しくてたまらなかった

ものを、生まれた時から全部もってるんだな。」

ってうちのめされる。


でもね。そういう世界にはね 救いはないよ。

だから、大切なのはバランスだと思う。

訓練を重ねて、細分化された世界に

突入する気なら。バランスだ。

細分化されてしまった世界で、

バランスを見失えば、悲惨だよ。

僕は、そういう種類の悲惨さを、

幾度となくこの目に焼き付けてきたんだ。

この世界で、落ちてゆくと底はないから。

目の前で、僕より、すくなくともぼくよりは

まともな人間が、僕より先に落ちてゆくのを

見るのは。ほんとにすり減ってしまう気分だ。

だれも。

だれも。

だれも。

だれも、助けてはくれないし。

だれをも、たすけてあげることなど。


できない。