熱しやすく冷めやすいことで有名なNY銀が、最近私の中で話題となっています。
毎朝GSRを更新していますが、最近地味に上昇しているからです。
11月13日NY引け値ではGSRが85.96となり、おそらく世界恐慌以来の水準と思われます。
GSRが上昇するのは、金がより上昇するか銀がより下落するかのいずれかとなります。
先月25日にNY金は戻り高値1,246ドルを記録した後下落に転じていますので、現在のGSR上昇はNY銀下落によるものです。
GSRの上昇は気になりますが、今回はNY銀の下落について考えます。
まずは最近のNY銀がどうなっているのか、確認してみましょう。
12日月曜日にNY銀は14ドルを割り込みましたが、昨晩一時13.860ドルまで下落。
今年9月11日安値13.910ドルを下回り、年初来安値を更新しました。
ここを下回ると次のターゲットは、2015年12月15日の安値13.635ドルとなります。
ここはNY銀の強力なサポートとなっており、何年にもわたって買い支えられています。
冒頭に書きましたようにNY銀は熱しやすく冷めやすいのですが、「熱」の方は1980年の「ハント兄弟による買い占め事件」と2011年の「バフェットによる買い占め」が挙げられます。
後者は「太陽光発電」による需要増を期待した動きでしたが、前者はまさにGSRに着目した相場でした。
銀の木曜日
アメリカの石油王ハント兄弟は、当時ソ連によるアフガン侵攻などにより上昇していた金に比べ割安となっていた銀に着目し、銀の買い占めに走った。
兄弟による銀の買い占め量は、一時全米の約60%に相当する量まで拡大。
しかしCFTCによる相次ぐ証拠金の積み増しなどにより、銀価格は急落。
最終的にハント兄弟は破産に追い込まれた。
(5年前、弟のウィリアム・ハ ーバート・ハント氏が億万長者に返り咲いたということで、話題となりました。)
わずか2カ月前に50.35ドルまで上昇していたNY銀でしたが、3月27日木曜日に10.80ドルまで下落。
値下がり率78.6%の大暴落となりました。
さてハント兄弟の買い占めに対し毅然とした対応で臨んだCFTCですが、そのCFTCによるNY銀大口投機玉ポジションは、11月10日時点で2,470枚売り越しとなっています。
銀の売り越しは今年2月27日に始まり、いったん買い越しとなったものの、8月7日から再び売り越し。
14週連続で売り越しが続いており、期間中最大は9月4日の28,974枚です。
3月5日記事「NY銀売り越しが意味するもの」にて触れましたが、NY銀売り越しは2003年3月25日以来、すなわちイラク戦争開戦以来ですので、銀価格低迷は引き続き景気の先行き低迷を暗示しています。
土曜日朝更新のNY銀ポジションも参考にしてください。
お問い合わせ Tel:0120-448-520
(平日8:00~17:00)
日本フィナンシャルセキュリティーズ㈱
谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、農産物、オプション)、証券一種外務員