近頃は、テレビばかりかラジオの番組でも興味をそそられるようなものがなくなってしまった。私自身が全く視力を失い、世の中の流れについていけなくなったからではないかと感じている。

何の楽しみも無く、鬱々と時間つぶしをしている味気ない私の生活に、突然、興味津々、聞き逃すまいとラジオにかじりつくような番組にめぐり合ったのだ。

どうやらその番組は子供たちの長い休み、夏休みや冬休みの期間中に放送される特別番組らしい。

その番組は、子供たちが自分の疑問や質問を電話で発表し、それに対してスタジオで待機している先生方が、電話で答えたり、詳しく説明してくれる番組なのだが。一度聞くと癖になるこの番組の魅力は、以下に記す二点にあるのではないかと感じている。

一つは、子供たちの奇想天外な疑問、大人たちが見逃してきたような質問、などなど。

その二つ目は、

通常ならば、えらい先生方を相手に、講義しておられる先生方が、この番組では、お孫さんのような子供たちを相手に何とかして、子供たちに理解してもらいたいと、真剣に悩むその真剣さに、視聴者も先生方と一緒に一喜一憂してしまうのだ。

過去に放送された先生の解説のなかで、あまりにもインパクトがはんぱないので、時折、無意識に自分の課を撫で回し、あの時の説明を再確認している自分にはっと気づくことがあるのだ。

ページを改め、当時のやり取りを再現してみようと思う。

ご興味がおありなら、そのショックを共用していただければとねがっている。

 

何とも奇妙なやり取りの再現

専門分野では高名な先生。と四五歳ぐらいかと思われる男の子

男の子

 どうしてお魚の目は人間みたいに一列に並んでないの?

先生

 でもさ、人間だってお母さんのお腹の中にいるときは、お魚みたいに顔が一つにくっついていなかったんだよ。

男の子、明らかにショックでコトバを発することが出来ず、固まった様子が手に取るように感じられた。

先生

 それがさ、赤ちゃんがだんだん成長してくると、次第に顔の左側と右顔の距離が近づいてきてね、赤ちゃんがお母さんのお腹から生まれるときには、左右の顔がちゃんとくっついて生まれてくるんだよ。先生がうそついているんではないことをたしかめるには、自分の顔をそっとなでてごらん、

鼻の下にある二本のくぼみ、なんとなく左右が合体したみたいだろう?おでこをそっとなでてみると、おでこの真ん中辺りにも、合体したあとのような

でこぼこがわかるはずだよ。

こども

ショックから立ち直れず、無言のまま、それでも力なく、さよならとつぶやいて、立ち去る。

 

あの男の子が一日も早く、ショックから立ち直り、次の素朴な疑問で先生方を困らせてほしい、と摂に願っている。