賭博堕天録カイジ 24億脱出編・第304話『憑依』感想 ~迫真の母親劇場開幕~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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前回・・・これまでの事情を上手く包み隠して伝えきったカイジですが、今度は帝愛からの探りのオレオレ詐欺が降りかかりました。

 

そこでお母さんが取った行動は、まさかの傍にカイジが居るという宣言!w

息子を騙っての詐欺に腹が立ったとはいえ、盗聴を丸々忘れてしまうのは天然の域を越えているよ・・・(・・;)

 

カイジも流石に呆れるばかりですが、ともかく電話を替わる訳にはいかない。

これ以上こじれる前に、いち早く家を出ることに決めました。

 

あれ、まだ肝心の保険証を貰っていませんよね。ここまで来て一度撤退したら再訪問はかなり難しくなるのでは・・・。

というより第一目的がそれなのですから、最初に要件として伝えて確保しておくべきでしょうに。

これは脱出編全体を通して言えることですが、基本的に全員が悠長に構えすぎですね・・・。

 

カイジは玄関へ急ぎますが、その一方でお母さんは・・・!

演技が下手すぎたっ・・・!(;''∀'')
これも天然なのか動転からなのか、最早似せているのかすら分からないクオリティw
 
この状態では任せて退散できるはずもなく、カイジは一旦様子を見守ることに。
おいらも 誘惑に打ち克ってんだぞ!
1年に1回くらい故郷(くに)に帰れーっ!
 
それはカイジへの本音でしょw
物理的に帰れない事情があったにせよ、ごもっとも。ここまで態度には見せていませんが、長らく息子が音信不通となれば当然親は心配ですよ。
 
お母さんは一通りまくし立てると、更に追い打ちを掛けようとしますが・・・
向こうから切った・・・!?
取りあえず、傍にカイジが居ることはバレずに済んだと見て良いですよね。
 
遡って状況を整理すると・・・
傍受班が探りの電話を入れたのは、居間に気配が無いにも関わらずTVが付けっ放しだった違和感が原因。
 
その状況で風呂からの気配があるのを感じていたなら、まず考えるのは盗聴が察知された可能性。
わざわざ風呂場の方に行って会話しているとするなら、把握していない相手が上がり込んでいる事になります。
 
よって詐欺電話は、その人物がカイジであるかの確認を取るためでした。ここまでは間違いのない考察です。
 
その電話に対し、一主婦であるカイジの母親はガチ説教。
傍受班はそれ以上の探りを入れることなく、ただ苛立って反射的に切ったように思えます。
あの場面で苛立つ演技をする必要性はありませんから、思考が雑になった証。
 
帝愛に関わり、詐欺を仕掛けるような男は、基本的に高圧的で自意識過剰。そうでなければ務まらない立ち位置でもあります。
市井のおばさんは普段から無意識に見下しているでしょうから、機転といっても所詮は自分たちの想定する範囲内に収まると思っているはず。

ですから・・・オレオレ詐欺を見抜いて息子のふりをするのはまだしも、そこに本人がいると宣言した上でこちらの感情を逆撫でしてくるとはまったくの想像外。
それもグダグダな声色からの感情に任せた暴走でしたから、まさかここまで酷く振り切った対応が演技とは逆に見破れない。
結果的にそれが、息子が本当にそこにいるから敢えて行ったトラップとして機能するとは夢にも思わない事でしょう。
 
実際にカイジも一度は凍り付いたわけですから、天然の底力といった所でしょうか。彼らの考える道理からは完全に外れていたことが功を奏しました。
 
とはいえ、完全に見過ごされたという保障もありません。
念のため、お母さんに見張り班の状況を確認してもらうと・・・
これはつまり、特別に注意喚起する必要は無いと判断されたという事・・・!( ^^)
僅かでもカイジの存在を疑っているなら、確実に報告が飛んでいるはずです。
お母さん、大手柄ですね・・・!
ひとまずの危機が去り、二人は胸を撫で下ろしました。
 
その頃、痛恨を犯したとも知らない傍受班は呑気に夜食中。
帝愛の精鋭という意識が、いつの間にか自己を肥大化させていたのかもしれません。しかし彼らはここぞで油断する程度の器。
本当の賢人は予断を遠ざけるために常に謙虚なのです。
 
見張り班も含め、今夜の担当は残念ながら全員その資質に欠けていました。
カイジとしてはこのツキを活かし、無事に脱出しなければなりませんね。まだ本当の敵が現れるのはこれからなのですから・・・。
 
・週刊ヤングマガジン№4・5(2019/01/13・15合併号)より。