小出裕章 たね蒔きジャーナル  | あなたの心に届ける詞

小出裕章 たね蒔きジャーナル 

2月27日 汚染水タンク1000基「原子炉建屋の地下もタービン建家の地下も漏れたって見えない だからただただ放置されてる」小出裕章(MBS)2012年2月27日(月)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

テーマは……。

・飛行禁止区域が20キロ圏から3キロ圏に縮小し、福島第一原発周辺を空撮。その際に汚染水タンクが1000基並んでいる写真が新聞に掲載。それを受けて、現在の汚染水漏れについて
・政府の事故調査・検証委員会が海外の原子力専門家を招いた会合を行った。そのなかで海外専門からの批判が相次いだことについて。


です。

番組内容

2012年2月27日【月】
東電どうなる? ツケは国民にまわされる!
来月、東京電力の再建計画が発表されます。多額な税金が投入され、金融機関も追加融資、社内カンパニー制で、再来年には黒字になるという骨子が明らかになっています。これで国民が望む電力会社に変わるのでしょうか?被災者への補償、除染、廃炉、発送電分離、原発といった問題は前に進み、東京電力が責任をとる体制になるのでしょうか?電力会社や原子力政策に携わる人たちの取材を続けている経済ジャーナリストの町田徹さんにスタジオに来てもらいます。
原発事故については京都大学の小出先生に聞きます。

録音
▼20120227 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


内容文字おこし
(1)http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65792511.html
(2)http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65792514.html

2012年02月28日09:30
カテゴリ小出裕章原発
汚染水タンク1000基「原子炉建屋の地下もタービン建家の地下も漏れたって見えない。だからただただ放置されてる」小出裕章 2/27(1)

2012年2月27日(月)、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。

飛行禁止区域が3キロ圏に縮小され福島第一原発周辺の汚染水タンクが1000基並んでいる状況を空撮したことを受けて、汚染水の処理について語っています。

=====(文字おこし、ここから)

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺います。小出さん、こんばんは」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いしますー」

平野「こんばんは、よろしくお願いします」

小出「はい。よろしくお願いします」

水野「まずですね。福島第一原発の周囲、半径20キロ圏というのは飛行禁止区域だったんですね」

小出「はい」

水野「飛ぶことができなかったんですが。それが3キロにまで縮小されました」

▼福島第1原発 空から見た3キロ圏の惨状 - 毎日jp(毎日新聞)

小出「はい」

水野「それで空から見た3キロ県内の、ま、非常に接近したところからの空からの映像というのが、公開されたんですが」

小出「はい」

水野「これを小出さんご覧になったかと思いますが。どんな…」

小出「すいません。」

水野「あっ」

小出「私あの週末ずうっと慌ただしく過ごしていて」

水野「そうですか」

小出「実はあの、新聞記事の写真ぐらいしか見ていないで。」

水野「はい」

小出「申し訳ありません」

水野「いえいえ。」

小出「はい」

水野「あの、記事でも」

小出「はい」

水野「ね、非常に近い」

小出「はい」

水野「所から撮った映像」

小出「1枚だけ見ました」

水野「有りましたよね」

小出「はい」

水野「これはなにか、小出さんから見られて、印象というのはございますか」

小出「え…、私が見た1枚に関しては特にありません。私が思っていたとおりというかですね」

水野「ふうーん」

小出「え…まあ、破壊もひどいし」

水野「はい」

小出「今現在雪も降り積もっているというような映像、あ、写真で、あ…作業員の人たち大変だろうなと、その写真を見た限りではそう思っただけでした」

水野「ふうーん…。汚水のタンク」

小出「はい」

水野「らしきものが」

小出「はい」

水野「ものすごい数になっているようなんですよね。」

▼汚染水タンク1千基ずらり…上空からの福島第一 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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小出「あ、そうですか。あの、わた…その、私が見た写真にはそれはありませんでしたが。当然のことであって。これからもどんどんどんどんタンクを作っていかなければ間に合いません」

平野「先生これはあの」

小出「はい」

平野「汚水処理というのは」

小出「はい」

平野「その場では、もうなかなかできにくい、んですか?」

小出「え…できますけれども」

平野「ええ」

小出「今現在もうどんどんどんどん水を入れなければいけないという事になってる、わけですね。とにかく原子炉を冷やさなければいけませんので」

水野「はい」

小出「え……減ることはないわけだし。必ず増えていってしまう。え…そして、ん…放射能を汚れている、わけですから。出来る限り、食い止めなければいけない。もちろん食い止められずに今でもどんどん海に流れていってるわけですけれども。出来る限りやはり安全な場所に移さなければいけませんので。今現在出来ることは、い…私自身はあの、タンカーをとにかく、巨大タンカーがいいと、言ってるのですけれども。それをやらない限りはタンクを増設する以外の逃げ道はありません」

水野「ただ、このような、その、現状がですね」

小出「はい」

水野「しっかりとした情報として言葉で伝えられるということが本当になくなってきてると思うんですよ」

小出「そうですね」

水野「今、小出さんおっしゃった汚染水が海に流れているとおはなしもね」

小出「はい」

水野「以前だったら、まあ、あ…僅かな数字であっても出てくる時がありましたけれども。」

小出「はい」

水野「そんな数字すらも全く出ない」

小出「は(※なにか言おうとする」

水野「汚染水が海に流れだしてるなんてことをみなさん、もう、全く頭にない方が多くなってるのではないかと思いますが」

小出「と、思いますけれども。でもみなさん、ただ、普通に考えていただければ、いいのです。汚染水は原子炉建屋とかタービン建屋とかトレンチピット、縦坑というところにたまっている、のです。じゃーじゃーじゃーじゃー、入れてるわけですからそういうところにたまるしかない。でもそれはコンクリートでできてる、ものなのです。必ずひび割れているし、必ず漏れる以外にないのです。」

水野「もう以前のひび割れ、縦抗のひび割れだとか、」

小出「はい」

水野「いろんな話いっぱい出てましたよね、漏れてたって」

小出「そうです。はい」

水野「それがどうなったかっていう後の話は出てこないまま…」

小出「はい。あのー、ピットで例えば漏れていたのが、え…ジャージャー漏れてるのが見えたからそこを止めたと言っているわけですけれども」

水野「そうですねえ」

小出「ほとんどは地下に、要するに、原子炉建屋の地下もタービン建家の地下も、その、漏れたって見えないのです。だからただただ放置されてる、というだけのことなのであって」

水野「見に行くこともできないんですね」

小出「できないのです。」

水野「危なくて」

小出「そうです」

水野「見えないことがないことになってる、という恐ろしさですね」

小出「それで…そうですね…それで、当然そんなことはだれにでもわかるはずだけれども、」

水野「はい」

小出「言わないということなのです」

水野「ふーむ。言われないと想像しないと」

小出「はい」

水野「無かった事にすると」

小出「そうですね(苦笑)」

水野「いう…こんな悪循環に入ってるような気がいたします」

小出「はい」

水野「それからですね。この週末2日間、政府の事故調査検証委員会というところが、海外から専門家を招いて意見をきいたんだそうです」

小出「はい」

水野「で、その、海外からきた人たちの意見というのがですね。ま、いくつかご紹介したいと思います」

小出「はい」

=====(文字おこし、続く)
2012年02月28日09:31
カテゴリ小出裕章原発
政府・事故調 海外専門家らの批判「こと原子力に関する限りは米国から全部教えてもらって米国につき従ってきたというただそれだけのこと」小出裕章 2/27(2)

2012年2月27日(月)、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。

政府の事故調査・検証委員会が、海外の専門家を招いて意見を聞く会合が行われたことに言及しています。
=====(文字おこし、続き)

水野「それからですね。この週末2日間、政府の事故調査検証委員会というところが、海外から専門家を招いて意見をきいたんだそうです」

小出「はい」

水野「で、その、海外からきた人たちの意見というのがですね。ま、いくつかご紹介したいと思います」

小出「はい」

水野「小出さんはどう思われるか感想教えてください。1つはアメリカの原子力規制委員会の元委員長さん、です。リチャード・メザーブさんというかた」

小出「はい」

水野「このように言ってます」

小出「はい…」

水野「事故現場で、『線量計が作業員に行き渡るまで、3週間もかかった。これについては信じられない対応だ。もっと早く揃えられたはずだ』。と、おっしゃっています」

▼中日新聞:原発事故調、海外専門家から批判続出 :社会(CHUNICHI Web)

小出「はい」

水野「これはどうですか」

小出「私もそう思います。え…当時も私はそんなことは発言したことはありますけれども」

水野「ええ、おっしゃっていました」

小出「はい。え…線量計自身は例えば、東電の福島第2にもあったわけですし。」

水野「はい」

小出「柏崎刈羽にもあったわけですし。もちろんメーカーの在庫もあったわけですし。え、そんなモノはすぐにでも借り集めてきて作業しなければいけなかった、のです。それが足りないから渡さないまま、仕事をさせていたということですから。え…言い逃れじし…ることは、もちろんできない。し、え…信じられない事だと私も、あの…思います。ただ、ただ、と思うけれども。え…福島の第一原発…はですね。本当に悲惨な状況だったのです、あの事故後は。はい。もう…まあ吉田所長という人が、今はもうやめていますけれども、彼も死ぬかと思ったと」

水野「ええ」

小出「ということを彼自身がいってるわけですし。もう持ちこたえることができないから全員撤退するというところまで、彼らは追い込まれていた、のです。それほどひどい状況、の中で、え……事故が進行していたわけですから。確かに私も信じられないという気持ちはあるけれども。原子力発電所の事故というのはそれほど悲惨なものなんだ、と」

水野「そうですね」

小出「いうことを改めて示したということだと思います」

平野「けどまあ、こういうことをその……判断する、例えば線量計の話でも、やっぱりこう、現場だけではなくて、国とかですね、」

小出「そうですね」

平野「原子力安全委員会とか。」

水野「ええ」

平野「ま、司令塔、が機能してなかったということを改めてやっぱり浮き彫りに」

小出「はい」

平野「なってますよね」

小出「そうです。平野さんのおっしゃるとおりで、司令塔自身がもう何の機能も果たさなかった。官邸と保安院、そして原子力安全委員会の連絡自身がほとんど何も無いまま」


水野「はい」

小出「指揮命令系統もなんにもないまま、ただただ、事故が過ぎていってしまったという、その問題は大変大きいと思います」

平野「ねえ」

水野「フランスの原子力安全局長のアンドレ・ラコストさんちゅうかたはですね」

小出「はい」

水野「『日本では5年に1度、原子力関係の事故が起きていた。大事故があるなら日本だと思っていた』」

小出「(笑)」

水野「そんなこと今言われて、あたくしもう、大変ショックを受けましたが」

小出「はい(苦笑)」

水野「それぐらい日本は外国から見たらそう見えるんですか」

小出「ああ、もちろん、ですね。」

水野「ええー…?」

小出「あの、日本の皆さんは何か日本というのは、凄い知的レベルの高い国で、科学技術が進歩してる国で」

水野「はい」

小出「みなさんそう思ってるかもしれませんけれども」

水野「はい」

小出「もちろんそんなことは初めからないし。こと原子力に関する限りは米国から全部、教えてもらって、米国につき従ってきたというただそれだけのことなのであって。日本が原子力の先進国だなんていうのであれば、ほんと、世界の物笑いになってしまう」

水野「そうなんです…」

小出「はい。ただし、私はあの、フランスがそういうふうに言うということに対しては、え…ちょっと異議もありまして。」

水野「ええ」

小出「これまで原子力を進めてきた、国」

水野「はい」

小出「イギリス、え…あ、米国、え…ロシア、フランス、日本、というような国ですけれども。イギリスでもウインズケールさい…あ、ウインズケールの再処理工場、というのが膨大な汚染を引き起こしたし。ウインズケールの原子炉の事故も起きたし。ロシアのチェルノブイリでも起きたし。米国のスリーマイルでもおきたし。残ってたのがフランスとイギリ…あ、日本なわけで。」

水野「ああ…」

小出「どっちかで事故が次に起きると、私は思って、いました。まあ、幸か不幸か日本で起きたということなのであって。フランスが安全だなんて言うのであれば、多分次はフランスです。」

水野「…なるほど。はい。ありがとうございました」

平野「ありがとうございました」

小出「はい。ありがとうございました」

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺いました」

(参考)

◆<仏核施設爆発>原発大国に衝撃 政権、担当相を現地へ急派
 毎日新聞 2011年9月12日(月)23時50分配信

「フクシマから6カ月後、原子力が人間生活に受け入れがたいリスクをもたらし続けていることがまたも明白になった」--。
フランス南部の低レベル放射性廃棄物処理施設「セントラコ」での爆発事故は、原発大国のフランスを大きく揺さぶり、来年の大統領選の新たな混迷要因となる可能性が出てきた。

「代替エネルギーは存在する。脱原発にかじを切るべき時が来た」。
来年の大統領選候補者の一人、「欧州エコロジー・緑の党」のジョリ氏は事故後すぐに声明を出し、冒頭の発言をした。
ジョリ氏は
「住民や職員の状況、リスクについて透明性を確保し、リアルタイムで情報を開示することを求める」
と述べた。

電力の約8割を原子力に依存し、原子力発電所の数で世界第2位、また原発輸出大国でもあるフランスでは、ドイツのような脱原発のうねりは起こらなかった。
サルコジ大統領ら首脳は東京電力福島第1原発事故を原子力の最新技術を売り込む「商機」ととらえた。
日本では汚染水処理機などの販売、老朽化した原発を数多く抱える米国でも次世代原子炉の販路拡大を狙った。

それだけに、今回の事故は大きな衝撃波となって政権を揺さぶった。
サルコジ政権は事故からわずか2時間後にコシウスコモリゼ・エコロジー相を現地へ急派し、原子力を推進する原子力庁は爆発事故直後から「原子力事故ではなく産業事故」と位置づけ、火消しに躍起となった。

サルコジ大統領は来年の大統領選をにらみ、仏ドービルで開かれた5月の主要8カ国首脳会議(G8サミット)で安全基準作りを提唱するなど、「フクシマ後」の世界の原子力政策で主導権を握ることで、脱原発の動きを抑えるとともに、国内向けに指導力をアピールするもくろみだ。

だが世論調査では、社会党のオブリ第1書記、オランド前第1書記に後れを取り、極右「国民戦線」党首のルペン氏にも迫られている。
「欧州エコロジー・緑の党」は現在のところ支持を伸ばしていないが、福島事故直後は原発反対派が6割を占めるなど、潜在的な支持層は存在する。
「原発」が争点化した場合、大統領選はさらに混迷を深めそうだ。
【宮川裕章】


フランスは現在ドイツから電力を買っている