飯館村 除染計画 | あなたの心に届ける詞

飯館村 除染計画

2011年09月29日08:39
カテゴリ小出裕章原発
小出裕章が語る、「飯舘村の年間1mSv以下への除染計画」と「国の除染責任は5mSv以上の地域」 9/28



2011年9月28日、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演しました。飯舘村の住宅地域の年間1mSv以下への除染計画と、国が責任を持って除染するのは年間5mSv以上の地域、ということについて考えを述べています。
(ざまあみやがれ)

音源
http://youtu.be/naucXnQ-SVE


※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

水野「小出さん、こんばんは」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いします」

小出「こちらこそ」

水野「そして東京には近藤さんです」

近藤「よろしくーお願いしまーす」

小出「はい。こんばんは。よろしくお願いします」

水野「えーまず、除染の話なんですけれども。」

小出「はい」

水野「福島県飯舘村が除染の計画を公表しました」

小出「はい」

水野「これによると、およそ2年で住宅地域の放射性物質の除去を終えると、いう計画なんですが。その時の目標値、ですが。住宅地域の追加の被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になる、そこまで抑えることを目標にしていると言うんですね」

小出「はい」

水野「ただ、小出先生。国はその一方で、こうした、あー、事を言っております。えー、国の責任で除染をすると野田さんもおっしゃっておりましたが、国の責任で実施する除染について、環境省がその原則は、年間の追加の被ばく線量が5ミリシーベルト以上の地域を対象とする、っていってるんです」

小出「はい」

水野「つまり、5ミリシーベルトに達していない地域については、国は除染をしないという意味ですよね、これ基本的には」

小出「そうです」

水野「そうしますと、飯舘村の皆さんは、1ミリシーベルト以下にしたいとおっしゃってるんですが、だいぶ、1ミリシーベルトと5ミリシーベルトに目標値の大きな開きがあると思うんです。」

小出「はい」

水野「これ、どうお感じですか」

小出「飯舘村の言ってることは正しいし。えー、日本の国は自分の決めた法律を率先して破ると言っているのですね」

水野「本来年間1ミリシーベルト以上を被曝してはならないんですよね」

小出「そうです」

水野「誰であっても。普通の場合」

小出「もし私が、管理区域から放射性物質を持ち出して、で水野さんなり近藤さんなりに1ミリシーベルト以上の被曝をさせるようなことをすれば、私は法律に則って処罰をされるはずです。」

水野「ああ、そうか、そういう法律を日本は持ってるんですね」

小出「そうです。はい。」

水野「ところがその、国がですね」

小出「はい

水野「5ミリシーベルト未満のところは除染をしないと、言っている話」

小出「はい

水野「こうなると、え、近藤さん」

近藤「はい」

水野「飯舘村のように1ミリシーベルトに抑えたいとなったら、後は自力でお金、自分のところでやってくださいってことになりかねないんじゃないんですかね」

近藤「うん。という問題も同時に出てくるでしょうが。僕はもっとうがって言うと……1ミリシーベルト……だったら際限がないから、やれないからじゃないですか。」

水野「はあ……。1ミリシーベルト以下にするという風に言ったら、小出先生、現実的にどうなんですか?」

小出「えー、私は、除染はすべきだと、これまでにも発言してきました。ただし、その除染をすべき場所というのは、子供たちが集中的に遊ぶというそういう場所に限って私は除染をしてほしいと言ってきました。えー、学校の校庭であるとか、幼稚園の園庭であるとか、あるいは家庭のまあ、ちいちゃな子どもが遊ぶ庭であるとか。そういうところは表土を剥ぎとって欲しいと言ってきましたけれども。出来るのは、そこまでだと、私は言ってきたつもり、です。えー、それ以上の除染というのはものすごく困難ですし。えー、田圃や畑の除染というのは、まずは原則的にできません! 森林も除染はできません」

水野「これ田んぼや畑が原則的にできないとするのは、どうしてなんでしょう?」

小出「えー、土を剥がした田圃や畑は死んでしまいます。表土が命です。」

水野「ああー……はあー……そうなんですか」

小出「はい

水野「うーん。で、森林の場合はですね、この国の考え方ですと。森林は土壌はもう除去しないで、落ち葉の回収でも対応は可能である、というふうに言ってるようなんです」

小出「落ち葉を集めるということはいいことだと思います。しかし、落ち葉だけでなくてすでに森林の土壌も汚れてしまっているわけですから。基本的には除染はできないと言わなければいけないと思います。」

水野「そうしたら、その森林で働く方達、林業の方達は、もう、仕事できなくなりませんか」

小出「えー、そうですけれども。本来であれば1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないのですね。林業関係者も。しかし日本の国はもうそんなことはどうでもいいと言ってるわけですから。……野放しにされると思います」

近藤「あのー先生、落ち葉でもね、」

小出「はい」

近藤「要するに光合成っちゅう働きがあるわけでしょ」

小出「はい」

近藤「でそういう自然の営みー……も……その落ち葉とっちゃったら、その分えらいことですよね」

小出「はい。生態系てい………生態系って言うのは循環していますので、その一部を断ち切るというようなことをやれば、また、それなりの悪影響が出るだろうと思います」

近藤「うーん……」

水野「はあ……。この5ミリシーベルト以上の地域を対象とする除染の計画について、環境省はなんで5ミリシーベルトかと、いう理由の1つにこういうことを言っているようです。

『時間が過ぎれば、放射性物質の量も減るし、風や雨で拡散していくので、目標の年間1ミリシーベルト以下になっていくであろう』

と。これはどうなんですか。科学的に」

小出「何十年か先にそうなります

水野「何十年か先。」

小出「はい」

水野「何年か先ではないですか」

小出「えー、今汚染をしてる正体は、セシウムの134番と137番です」

水野「はい」

小出「で134番の方は2年経つと半分に減ってくれますので、えー、もし5ミリシーベルトに簡単にできるのであれば、2年後には2.5ミリシーベルトまで、あ、ごめんなさい、セシウム134の部分が、えー、半分に減ると。」

水野「はい」

小出「137のほうは減りませんので」

水野「これはどれくらいかかるんですか?」

小出「137は30年です。ただし、あの環境省が言ったそうですけれども、風やなんかで吹き飛ばされていくものもありますし、地面の下にもぐりこんでくという部分もあって、えー空間ガンマー線量は、30年よりは早く減ると、思います。」

水野「はい」

小出「それでも15年とか、20年でようやく半分になる程度、です。えー、ですから今2.5ミリシーベルトの内の半分は137の寄与ですので、えー、それが半分になるとしても、15年後、20年後に、セシウム137が、まだ1ミリシーベルト以上は残っているということになると思います」

水野「ふーん。また、環境省、この5ミリシーベルトについて、こうも言ってますね。ま、それ以下の低い線量の地域では、表面の土壌を削るなどしても、どんだけ下がるかということでいうと効果がなかなか上がりにくいと」

小出「はい」

水野「言うんです」

小出「はい」

水野「つまりこれは、費用対効果を考えてるって、そういう意味でしょうか」

小出「そういうことですね。」

水野「はあー……。同じお金を掛けてどれだけ下がるかということが見えにくい」

小出「はい」

水野「実施しにくいということですね」

小出「というところはもうやらないでおこうと言ってるわけですね」

水野「うーん。ただこれ、先生がおっしゃるように1ミリシーベルトを目標に、もし除染するとしたら、」

小出「はい」

水野「えー……ものすごい量の除去した汚染土壌が出てきますよね」

小出「その通りです」

水野「えー、今の計画だけでもですね」

小出「はい」

水野「5ミリシーベルト以上のところをやるだけでも、除去すると東京ドーム23杯分の土壌と落ち葉、という量になるそうです」

小出「はい

水野「えー……それが、福島県の面積の13%に当たるという話も、ありますので」

小出「はい」

水野「全部になると、東京ドーム何百杯分なのか……」

小出「そうなってしまいますね

水野「わかります。そうすると、それをどうするのかというのも問題ですよね……」

小出「そうです。どう仕様も無いのでどこかにまた積んでおくということしかできません」

水野「飯舘村の計画によりますと」

小出「はい」

水野「除染作業で出た放射性廃棄物は、コンクリート製の容器に入れて、村の国有林、林に仮置きするということなんです」

小出「はい

水野「この計画は、どのように評価なさいますか」

小出「えーこれまで原子力発電所で、生み出されてきた低レベルの放射性廃物というのがあるのですが。それは青森県の六ヶ所村に今、ドラム缶に詰めた形で運び込まれていまして。すでに、23万梵文が六ヶ所村に運ばれています。それはコンクリート製のプールのようなものの中に次々とドラム缶を積んでいって、いっぱいになったらコンクリートの蓋をするということでやっています。で、ですから、飯舘村の計画はそれに近いような形でやろうとしている、ということだと思います」

水野「んー。今としては、これがベスト……と思われますか?」

小出「うーん……。分かりませんけれども、本当だったらもっとちゃんとやって、青森県六ヶ所村の奴も、私は賛成しているわけではない、のです。えー、そこに300年間じっとしていて欲しいと国の方は言ってるわけなのですけれども。」

水野「300年……」

小出「はい。300年後という未来は多分予測できない、です。えー、300年昔のことを言ったら、えー、昭和……元禄時代の忠臣蔵の討ち入りの時代になってしまいますので。えー、そんな先まで見通すことはできないし、私は六ヶ所村のようなことをやってはいけないとこれまでも言ってきました。えー、それをまあ飯舘村がやむにやまれずそれをやろうとしているわけで。ん……、大変難しい選択だなあと思います。」

水野「はい。えー……、もう1つ伺いたいのは、文部科学省が公表しているデーターなのですが。」

小出「はい」

水野「セシウムの蓄積の、量を、測定した、汚染マップを公表しております。それを見ますとですね。汚染の帯と呼ぶべき、ですかね」

小出「はい」

水野「これがですね。福島第一原発から250キロも離れているところまで広がっていると。」

小出「はい」

水野「言うんですね」

小出「はい」

水野「えー、で、例えば180キロ離れております、これ、群馬県、ですね、みどり市や桐生市などの一部では、1平方メートルあたり10万ベクレルから30万ベクレル、という数値が出ております」

小出「はい」

水野「これ、どれくらいのものですか」

小出「1平方メートルあたり、4万ベクレルを越えるような汚染物は、えー、管理区域から持ち出してはいけない、つまりそういう汚染物は管理区域の外側にあってはいけないというそういう法律が日本にはあります。」

水野「つまり一般人が立ち言ってはいけない、区域ですね」

小出「もちろんです」

水野「4万ベクレルあるところは」

小出「そうです」

水野「しかしながら、180キロ離れたところで10万から30万ベクレルということです」

小出「はい。そうですね。ですからそれが、大地そのものがそれだけの汚染を受けてしまってるというのですね」

水野「チェルノブイリの時には」

小出「はい」

水野「3万7000ベクレル以上は、もう汚染地域と指定されたんですよねえ……」

小出「はい。そうですけれども。えー、ほんとであればそういう地域に住む人達を避難させなければいけなかったのですが、えー、ちぇ、ソ連という国もそこまでとうとう力が及びませんで。崩壊してしまったわけですね。ですから、1平方メートルあたり3万7000ベクレルを超えるようなところに、未だに565万人の人が、住み続けています」

水野「はあー……」

小出「日本の場合も、それに近いことになるわけですね」

水野「はあー……。しかしながらチェルノブイリの周辺では、様々な子供たちの悲劇が、伝えられていますよね」

小出「はい。」

水野「それからあの、近藤さーん」

近藤「はいー。」

水野「こういう実態がどんどん明らかになってくると、こんな実態がはっきり分かる前に賠償の枠組み決めていってますけど。どうなんでしょうね」

近藤「そらー、ちょっと意味が無いよねえ。除染の面積が広がるにつれて、えー、賠償額も当然それに比例していくでしょうし。ねえ。そうなってくると今決めてる数値というのは仮の数字でしかないよね。あくまでね」

小出「そうですね

水野「そうですねー……。えーこうした、あの測定した県の汚染マップは文部科学省のウェブサイトで公表されております。えー今日も小出先生ありがとうございました」

小出「ありがとうございました」

近藤「どうもー」

小出「どうも」

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました」

=====(文字おこし、ここまで)

■番組内で言及された文部科学省の汚染マップ

文部科学省及び群馬県による航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月27日)(PDF:1500KB)


日本は いま 人類初めての事故に向い合っている

300年後の日本

誰が想像できよう

人はいるのか?? 健康な人は??

いままで 発表されずに今ごろされても どうすればよい??

いまから 避難か??

想像もつかない


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