ふぇありーの恋はどうなる

ふぇありーは体育館で

行われる集会が大好きだった


けいくんは小柄なタイプで

ふぇありーも小柄


背の順番に並ぶと

ふぇありーとけいくんは隣になった


集会の時はいつも

ハートがドキドキしていた

横目でけいくんを見る

ふぇありーは傍から見たら完全に怪しい


スキの気持ちを悟られないように

平然を装っているけど

スキスキ光線を

かもし出していたかもしれない


この時期親切な友だちが

時には

悪魔のような行動をとる時がある


小学校からそろばん仲間の

ともやんだ


自分の気持ちを伝えられない

ふぇありーに変わって

一肌脱ごうとする


それも頼んでいないのに


けいくんの好きな人は

たかちゃんと分かっているのに

何故か

ふぇありーのことをどう思っているか

ふぇありーに内緒でけいくんに聞いていた


もちろん

「何とも思っていない」と

返事は返ってきたと思うが


そんなことを言われた

けいくんは

ふぇありーのことを意識し始める


心の中で

【俺のことスキなのかなぁ】と

思っていたに違いない


進展のないふぇありーの恋に

転機が訪れたのは中学2年生のとき


転勤族の親をもつ

けいくんが転校することになった


それもふぇありーの

住んでいる町からはかなり遠い都会


もう会えなくなる

けいくんはとても

優しい男の子だったため

男の子からも好かれていた


ふぇありーだけではなく

みんなけいくんと

お別れすることを悲しんだ


ある日

けいくんのお別れ会をしようと

男の子たちが話し合い

そこになんと

ふぇありーとともやんが誘われた


と言うか

また親切なともやんが

ふぇありーのことを思って

お別れ会に呼んでほしいと

男の子に懇願した模様


ともやんはどうにかして

ふぇありーがけいくんに

スキと告白しないか

伝えることのできる機会を

作ろうとしていた


もうこの頃には

けいくん本人はもちろん

周りの男の子も

ふぇありーがけいくんのことを

スキなことは完全に分かっていた


親切なともやんのお陰で

みんなの協力のもと二人になる機会を

つくってもらったものの


結局

自信がないふぇありーは

スキと言うことは出来なかった


断れたときの

ショックを受け入れる器を

ふぇありーはまだもっていなかった


それでも

みんなに後押しされて

ふぇありーとけいくんの

ツーショット写真を撮ってもらった


けいくんはニッコリ笑っているけど

ふぇありーは真っ赤な顔をして

下を向いている写真


やっぱり自信がない


その写真をふぇありーは

宝物として持っていた


ふぇありーの中学生初恋は

けいくんの転校で

呆気なく終わってしまった


けいくんが目の前から

居なくなったからって

ふぇありーの恋心は直ぐに

終止符を打つわけではない

けいくんに恋心がある中で

ある日突然ふぇありーのことを

スキと言う男の子が現れた


よしくんと言う男の子だった


けいくんと仲良しだった

よしくんは

けいくんのお別れ会にも参加していた


もちろんふぇありーがけいくんの

ことをスキということは知っている


けいくんが転校した後に

「付き合って欲しい」と

ふぇありーに告白してきたのだ


ふぇありーにとって

完全に寝耳に水


人生初めて告白された

ふぇありーは動揺した

なぜ

ふぇありーのことが

スキなのか


ふぇありーのどこが

スキなのか


コンプレックスの塊だった

ふぇありーにとって

よしくんの想いが

さっぱり分からなかった


ふぇありーは自分のことを

受け入れていない


自己受容が育まれていない

ふぇありーにとって

どうしていいかわからなかった


スキという気持ちがない人と

付き合うわけにはいかない


ふぇありーはよしくんに

付き合えないことを伝えた


それでもよしくんは引き下がらなかった


スキでなくてもよいから

付き合ってほしいと


中学2年生ともなると

あちこちでカップルが成立していた


どうにかして彼女が

ほしかったのかもしれない


男の勲章というやつを


ふぇありーはともやんに相談した


ともやんの答えは

「とりあえず付き合ってみたら」

スキになるかもしれないよ」と

悪魔のような囁やき


自分の意志はあるものの

うまく表現できないふぇありーは

外の世界にいるともやんの

意見を採用して付き合うことにした


全くもって自分の意志がある

と言っときながら

自分の意志がない行動


初めて付き合う人が

自分のスキな人ではない


それでも「スキになるかもしれない」と

信頼しているともやんに言われたから


巷では時々

自分のことをスキ

言ってくれた人を

スキになり

恋愛が上手くいく人もいる

ふぇありーにとって

恋愛はそんな甘いものではなかった


人のことをスキになるには

それなりの理由が必要


理由がなくお互い

惹かれ合う恋愛もあるが

それでも目に視えない

何かをキャッチしてスキになる


オーラとかエネルギーとか


よしくんは本当に優しい人だった


でも優しいだけで人を

スキになることはないことを

この時ふぇありーは知った


やっぱり

自分がこころからスキになった人と

付き合って自分のこころを満たしたい


ルックスも男らしいよしくん


ふぇありーは男らしい

ルックスの男の子が苦手


ふぇありーのナイ

女性らしい色白の

中性的な男の子がタイプ


やっぱりスキでない人と

一緒に居ても自分のこころは

満たされない


女ごころは秋の空


昔の人はステキな例えをしたと

感心する


ふぇありーは

よしくんと付き合いながら

よしくんと仲良しだった

さわくんに惹かれていた


けいくんに恋心はあるものの

目の前にいるさわくんに

恋焦がれていった

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