ボローニャの健康・環境プラン

 ボローニャは、1991年から始まった都市計画を策定する過程で、1994年にWHOの健康都市プランに参加した。この作業はコミュニティの健康活動における役割を拡大して自己防御健康プロジェクトへの発展と健康ショップの開店へと発展していた。この作業は、健康に関する情報の収集と作成において地方コミュニティを積極的に巻き込んだ。

 このような地方レベルでの連携は、都市レベルの活動と開発に反映されていった。ボローニャ市はオールボー憲章に署名しており、ヨーロッパ持続可能都市・市街キャンペーンとWHO健康都市プロジェクトに参加しており、1996年から「アジェンダ21」というプロジェクトを開始していた。

 ボローニャ市の環境課がこの「アジェンダ21」という地方都市の計画の責任部門であり、市政の範囲内と外部の両方との連携を調整していた。「アジェンタ21」と「ボローニャ健康都市プロジェクト」を同時に達成するという目標は1995年から1999年にかけての政策プランに明確に述べられており、最終的な長期目標は持続可能な都市機能の構築であった。

 

 健康都市計画の目的は他職種・他業種との戦略的連携を含んでおり、将来的に健康に良い影響を与えて国との協力と支援システムを強化しようとしていた。最終目標は、包括的な健康都市の枠組みを形成することと、市民の公平や持続可能な開発といったような課題に取り組む計画をたてることだった。

 

“すべての人への健康”という概念や行動目標は、アジェンダ21と重なる部分が多く、ボローニャ市は環境問題と健康増進を、市民の健康と環境プランを統合しようとしていた。地方政策である「アジェンダ21」の担当チームと健康都市プロジェクト事務局がボローニャ市における環境要素を分析し、市の健康プランの準備をしていた。

 

環境指標

「アジェンダ21」チームはすでに80項目の環境指標を開発しておりそれらは3つのカテゴリーに分類されていた。

すなわち、現状、課題、そして対応である。明らかになった課題として、空気汚染と騒音、水資源、エネルギー利用、ゴミ処理、輸送手段、産業活動、都市水資源計画、そして資源の誤使用であった。これらの指標は将来に向けて固定されたデータベースを形成し、定期的に更新されていく予定である。その中の12の使用をもとにして、持続可能性指標が形成されるのである。

 指標形成の進行に平行して、ボローニャでは市民へのヒアリングやセミナーを開催して、彼らの地域の「アジェンダ21」のための市民フォーラムを作り出そうとしていたのである。このフォーラムは環境分野からの代表や労働組合、職人連合、企業連合、職能団体、消費者協会、その他ボランティアグループなどが参加し、「アジェンダ21」を準備する段階で重要事項を決定する場面のすべてで招集された。市民フォーラムは12の環境指標を作り出す際にも「アジェンダ21」チームから招集を受けた。「アジェンダ21」の業務や優先順位は市民フォーラムとともに話し合いが行われ、彼らの助言や要望も考慮された。最終書類は、コミュニティと行政の共同制作という形がとられ、この計画が実行される際の連携にふさわしい基盤が作られた。

 

市民健康プロファイルと社会公平指標

 ボローニャの健康都市プロジェクトは、1995年に最初の市健康プロファイルを終了し、その後は社会の公平指標の選定に力を入れている。これは健康政策の多職種連携を行っていく上で重要な段階であると考えられている。これは将来、社会の持続可能性や収容能力の指標を決める際に大きな助けとなるであろう。社会的公平を健康や社会の分野で達成することは環境分野での達成に比べて困難が多い。健康都市プロジェクトチームはそのための方法を作り出そうとしており、どんな課題から取り組んでいくべきかなどをコミュニティと話し合いをしているところである。

 中でも健康ショップが、コミュニティの健康に影響を与える社会・環境要素を発見し、統合していく中で重要な手段として活用されることが期待されている。また、活動を市の中の9つの区に分散した際に、各地区からでも新しい情報に直接アクセスできるよう健康ネットワークが構築されつつある。このネットワークは健康ショップを基点とする予定である。

 

健康・環境プラン

健康・環境プランは、市民健康プロファイルと環境報告書での発見をもとに作成されることになっており、今後の活動の優先順位を決めるための指標となることが予定されている。