「魚病研究」最新号です。
やっと、「読め」ました。
私達は魚病に関わるものとして、敢えて物を申させていただきます。
そういう意味での「やっと読めた」ということです。
全般嫌味が多いと思うのですが、全てに於いて
この精神で申しておりますのでご了承ください。
幾つか興味深い記事がありましたので、ご紹介致します。
1)昇温処理に伴うクリノストマム属吸虫のメタセルカリア寄生キンギョの大量死
安本信哉・樺山つかさ・近藤昌和・高橋幸則(所属/敬称略)
この文章の意訳を行います。
つまり、
①2015/9~11月にかけてヘルペス処理をしたら金魚が全滅した。
②大体そのへんに普通に居る吸虫が大量についていた
③検死したら昇温中にそれがめちゃくちゃ暴発していた
④高温にすればするほど死ぬ、それはもう確実に。
ということです。
以前より当研究所も申しておりますが、
「それは本当にヘルペスなのか?」
これは重要な問題です。
ヘルペスに類似した症状を呈する特に吸虫系疾病は腐るほどあり、同定は困難です。
その為、未だ都市伝説のように言われている
「調子が悪くなったら何も考えず昇温」などもっての他であるというより、更につっこんで言えば
「全頭殺処分」
をしているにすぎない、と。やっと証明されました。
ですので、以前から口酸っぱく申している通り、
純粋にヘルペス以外の要素が存在しない場合。この状況以外は昇温は厳禁です。
2018年3月に於いて、やっと「何がなんでも昇温処理」はNGだと、公の場として発表された次第で御座います。
※当研究所ではヘルペス単体について、自家製造した不活化ワクチン+コンディショナーの活用に於いて、投与後3時間生存ができれば100%救命に成功しております。よって、鎮圧方法はこの論文には書かれておりませんが、対処は十分可能な案件です。
2)抗非定型Aeromonas Salmonicidaモノクローナル抗体のニシキゴイの”新穴あき病”診断への利用
杣本智軌・丸山真平・長澤貴宏・中尾実樹・佐藤巧視・八田一・佐藤充・山口(村上)友貴絵・森(木津)久美子・平川由紀・成田宏史(所属/敬称略)
向かって左側のものです。
この文章の意訳を行います。
タイトル:従来型と新穴あきの科学的鑑別がさっさとできるようになる? という意味です。
お名前:この研究室に何があったのでしょう?チームが多すぎます。その上ご結婚か離婚をされた方が2名いらっしゃいます・・・。指導された先生も何人か交代された可能性があります。大人の事情は複雑です。退官されたのか辞職されたのか異動されたのか、このあたりを読み解くと、乙で楽しめます。
さて、本題です。
1)新穴あきが猛威を振るっています。
2)従来の手法では確定が出しにくかったんですが、工夫でできるようになりました。
3)既存資材の応用なので、おそらくどこでも可能になりそうです。
4)ということで、穴あきと新穴あきが鑑別できるようになりました。
※2000年前後に私達が新穴あきと呼んだものが本当にこうして「新穴あき」としてそのまま公にでたことがびっくりです。
科学的鑑別が可能になった、ということは、やはり「明らかに違う」ものであります。
症状が類似していても、従来の方法では何を以ても治らず、死を待つのみ…で、これは「違うものである」と、皆様ご認識ください。
少し嫌な読み解き方をすると、
この手のものは「隔離」一辺倒になりがちですので、やはり「輸入規制の強化」はしょっぱなにあがってくるかもしれません。
その上、国内生産物全般も先細りなので、もしかすると規制強化に乗っかろうとする人たちもいるかもしれません。
これ以上零細化はしようがないと皆様思っていらっしゃるかもしれませんが、文化に於ける「断絶」はいつでも起こり得ます。
”それ”が何か知らない人が多勢を占めたとき、文化は消滅します。
なので、これを機会に「旧穴あき」と「新穴あき」は違うものであるとご認識ください。
※この短報も他に異ならず、判断ができても鎮圧方法は一切わからないというスタンスです。なので、所謂「破壊消防」つまり池ごと放棄するための鑑別方法である、といわざるを得ません。
この手のものはミューテーション甚だしく、日進月歩で従来のものは一切効かなくなるということは常識です。
既に当研究所では治療方法は確立しております。多数の方々が新穴開きを余裕をもって克服できております。なのでご安心ください。
※2000年頃流行った抗生剤注射は今や全く効果はありませんので、おやめになったほうがよろしいかと存じます。
3)不顕性感染したサケ幼魚の長期飼育後の細菌性腎臓病による大量死
鈴木邦夫・水野伸也・勝又義友・三坂尚行・宮本真人・佐々木義隆(所属/敬称略)
向かって右側のものです。
意訳します。
1)他所で生産した稚魚と受精卵を持ってきて10~15か月飼育したよ。
2)細菌性腎臓病が出て、死に始めた。
最初の1尾が死んでから146日目で
・稚魚で連れてきたもの 56.1%
・受精卵で連れてきたもの 19.0%
が死んだんだよ。
3)生き残ってるのも死んだのも、全部細菌性腎臓病に感染してた。
4)死んだほうがより多くの臓器に細菌が浸潤してた。
5)だから、細菌性腎臓病が原因で死んだんだと思う。ていうか、それが原因だったと示唆しますね?
・・・・・・・・。
・・・・・・。
鱒グループの発表でした・・・・・・。
本文もしげしげと読んでみたんですが、個人的な感想としては、
信長さまの画像を超える以上の、ブラックエンジェルズの雪藤並みの感情が込み上げてきました。
こんなものに予算と人員をつぎ込んで・・・・・。の一言です。
出席していたら、質疑の際、挙手しっぱなしで進行妨害でつまみ出された自信がございます。
こういうことが許されるのは、皆様すごくお金持ちで、時間の余裕もあるんだな、と。
日本という国のすごさを改めて感じました。
鱒グループの発表は地球の終わりまで突き進む定期進行ということで置いておいても。
最近少しずつでも誌面風潮が変わってきたような気がします。
以前はエロモナスとビブリオさえ弄っていれば的な部分がありましたが、
最近の主題はやはりパラサイト=寄生虫に移行しつつあり、
日本魚病学会賞を授与された論文も「海産魚介類の寄生虫病に関する研究」
日本魚病学会奨励賞は
「養殖クロマグロの住血吸虫症対策に関する生態学的研究」
「魚類における自然免疫機構関連遺伝子に関する研究」
でした。
なんとなく、ですが、時代は自然治癒力と駆虫。この辺にしぼられていっているような気がします。
昨今の飼育相談でも、寄生虫症は主眼となります。
パラサイトの中には塩に耐性を獲得しているもののみならず、寧ろ好んで暴発するタイプのものも多く、安易な温度コントロールと塩分の添加は致死的な事態を招きかねません。
それにつけても、常々思うことは「死んだ」で結果発表をできる部分がどうなのかな?と。
池ごと放棄だの稚魚全滅だの、現場から言わせれば今期終了どころか下手をすれば人生終了フラグも良いところで、
「これをやったら斃死した」の一言を研究機関から言われても、現実的にどうすれば良いのか?と。
それは今から研究だと言われたら、怒られてしまうこと請け合いです。
水産研究機関で斃死魚のカウントをして報告をしていれば飯が食えるという現状を、まざまざと見せつけられているような気がしてなりません。
対策ができなければ「防疫」にはなりません。破壊消防は原始的防疫であり、それしか手段を講じられないことは恥じなければなりません。
ましてや、水産で生きる生産・労働者にとって、「観測記事」ほど意味を成さないものは無いのではないでしょうか。
最後に様々な研究を行っていらっしゃる研究者の皆様には敬意を表しております。
良いご報告が出来ますよう、私どもも微力ながら尽力を重ねて参ります。
乱筆乱文失礼致しました。
文責:水棲疾病基盤研究所





