ワシミミズクのイーゴリィ君の続報です。

 

前回ジェスがぶっちぎれて応急処置をした、という話を致しました。

その時には自作のものを付けるつもりだったのですが、個体の様子を見て保定をするのが傷口に響く可能性を鑑み、そのまま仮止めで過ごしておりました。

そして、本日。

一瞬蘭丸息子君のガムが何故飼育部屋に!?と思ったらぶっちぎれたジェスなんですね。

なんていうか犬のガムじゃなければ干しスルメです。

両脚分ぶっちぎれて、夜のうちに一番部屋の中で高い箇所に陣取ってご満悦でした。

とても嬉しかったようで、餌も干物にして遊びまわっていたようです。

モンステラは穴だらけになっておりましたが、もう、いいと思うように致します。

この鳥がうちに来たときに専門店にお願いして新品に交換してもらった本革ジェスは、半年持ちませんでした。

因みに今付けているジェスは、amazonで20メートル599円で買ったプライム商品のパラシュートコードです。多分25㎝ぐらい使ったと思います。すごく丈夫で使いやすいです。しかも軽いので、イーゴリィ君も大喜びでした。

費用対効果っていったい何なのかな、とか、なんか「だせぇ!」と、プチ怒りを感じました。

 

一番治りが遅かった1番目の風切り羽根も、ワサワサ沢山生えてきて、今度こそうまくいきそうです。

どこの文献を見ても、羽根の回復過程に関する記述が無く、どうやって治るのだろう、どうやって骨が再生されるのだろう、と手探りの八か月間でした。

この個体に関して言えば、とにかくやたら滅法、明らかに余剰の羽根がワサワサ生えてきて、必要な角度のもの、必要な場所のもの以外全て抜け落ちて、定位置が決まらないとまた一からワサワサ生える繰り返しでした。

併せてこの個体は骨+軟部組織がゴッソリいっておりましたので、そこの患部が塞がるまでの戦いも非常に困難を極めました。結論として開放創で処置して正解でした。縫ったり保定を行っていたら、永遠に治らないか安楽死、若しくは斃死の道を辿っただろうと思われます。 

(獣医にいけばレントゲンをとられ、怪我+被ばくで二重遭難的に負荷をかける可能性大)

 

ほぼ、飛べるようになりました。

飼育部屋が少し手狭だったせいか、どのぐらいの距離を飛翔できるのかは現段階ではわかりませんが、離着陸にあたってはかなり微調整をかけながら、思う場所に好きなように移動し、日々モンステラがズタズタにされます。

現在はあくまでリハビリで、フリーフライトの調教にはなっておりません。

やられたことを考えると、性格のこじれかたや激しい裏表(A面とB面)程度、かわいいものかもしれません。

人間を見るなり問答無用で襲い掛かってきても文句が言えないような体験をした個体なので、イーゴリィ君が飛ぶようになって、奥さんやバイト君たちはそろそろアクリルの盾やヘルメットの導入を検討しています。特に頭や眼鏡に集中的に攻撃しようとするので、迂闊に近づけないようです。それほど私以外の他者を寄せ付けません。

こういう状態はいわゆる可愛くて仕方がない状態なのかもしれませんが、私が長期間病院から戻ってこれなくなったら、本当にどうなってしまうのか、誰が面倒を見るのか、重さを感じます。

イーゴリィ君がうちに来た日からその後の様子はカテゴリーでわけました。

もし同様のアクシデントでカラシニコフが必要になる方がいらっしゃったら、使い方と出血への対応、経口投与の方法についてかなりシビアですから、必ずご相談ください。

 

進展がありましたら、またご報告を致します。

 

文責:水棲疾病基盤研究所

 

追記

イーゴリィ君は何だかわからないワシミミズクだったので、『ワシミミズク』としておりましたが、

1)体格と目の色

2)時と共に出現した三角の白い襟巻模様、その他色柄

3)声の波形と発声時間(決定打)

この3点から、

【ファラオワシミミズク】か、ファラオよりに形質が表現されたハイブリッドと考察されました。

なのでイーゴリィ君は『bubo sp』と受け止めます。

外観はベンガルとかトルクメニとかユーラシアとか諸説あったのですが、音声が明確に取れてようやっと腑に落ちました。外観が裏切っても、ニャーニャー鳴くライオンが居ないように、声帯が種族を裏切ることはめったにありません。

イーゴリィ君のお陰でイランとアラブ首長国連邦に知り合いが出来て、とても嬉しく思います。