それでは、日本金魚に於ける「伝統・文化」とは、具体的にどのようなものを指すのであろうか?

舶来品として約500年前に日本にやってきた金魚は、日本の民俗・風土、日本人の気質の元で、様々なバリエーションを展開した。

「放生」を「習慣」ではなく「知識」に留めた日本人には、金魚と死者を結ぶつける発想がなかったのである。

何度も言うようだが、先ず最初に、金魚の存在そのものが舶来の貴重な宝物として扱われている。

「琉金」(琉球から来た金魚、の意味。婉曲的に中国から舶来したという表現)

「和蘭」(オランダ)獅子頭」(オランダ=外国から来た、の意味。獅子は日本では外国に居る瑞兆を示す空想の動物を指す。ライオンといういみではない。)

特にこの2種の名称にその痕跡は色濃く残る。

※いつの時代に「和蘭」と表現するかによって、単に外国という意味から、
中国・東南アジア諸国・イギリス・オランダ等、大きく意味が変わる言葉である。
年代がわからない場合には、「外国」と翻訳した方が無難である。

つづく。