実は別の作品(『トーマの心臓』)で萩尾望都さんを語るつもりだったのだが、記憶の中からいろんな作品が溢れてきて、とても一回では語れないような気がしてきた。
映画、小説、音楽、漫画、そして実体験。
それぞれに、私をカタチ造ってきた山脈、大河が幾つかある。
萩尾作品はその一つ。
そして今は、prediaが私の人生をカタチ造る大きな山脈となっている。
さて、萩尾さんを語る上で困ったことは
今、作品が手元にない、
ということだ。
我が家の本箱を捜して見つかった萩尾さんの本。
実家に置いていた多数の本は残っていない。
文庫サイズで漫画が出版されるようになったのは、おそらく「小学館文庫」が始まりではないかと思う。
(のらくろの「少年倶楽部文庫」ってのもあったが、それはまた別の話…)
私は高校生だった。
そして萩尾さんの漫画文庫に出会った。
『11月のギムナジウム』
『精霊狩り』
『11人いる!』
その中に短編「塔のある家」が収録されていた。
田舎に住む少女がある日、塔に至る階段を登る。
そこには3人の妖精が住んでいた。
少女の母親は若くして亡くなり、妖精たちは少女の心の支えになる。
少女はやがて大人になり、恋に傷つき、都会に出ていく。
しかし都会は彼女の水に合わず、みるみる精気を失っていく。
疲れて田舎に還ってきた彼女。バラの花を見て、ふと3人の妖精の名を思い出す。
屋敷はすでに人手に渡っている。
が、その屋敷を買ったのは幼なじみの庭師の子だった。
二人は結婚し、可愛い女の子が生まれる。
3人の妖精は塔の上で待っている。
…その赤ちゃんが少女に育ち、塔の階段を登って自分たちに会いに来る日のことを。
学生時代の記憶を頼りに書いた。
もし内容が合っていれば、それだけ印象が深かったということだ。
私はこの本を北海道の故郷の町で読んだ。
今は東京でサラリーマンをやっている。
都会の洋品店で働くヒロインの、やつれた灰色の表情が強く印象に残っている。
この記憶も正確であろうか?
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